米議会襲撃の調査委、上院共和党が設置を阻止

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米連邦議会上院(定数100)で28日、今年1月の連邦議会議事堂襲撃事件を調査する超党派委員会の設置を、野党・共和党が阻止した。調査委設置法案は今月19日、下院が可決していた。
ドナルド・トランプ前大統領が今なお影響力をもつ共和党は、議会襲撃事件についてはすでに議会委員会が調査していると主張し、超党派委員会の設置に反対した。一方で与党・民主党は、2001年9月の米同時多発攻撃に関する9/11独立調査委のような委員会を設置して事実関係を調査することが、類似事件の発生防止につながると主張していた。
設置法案には、党の方針に造反した共和党議員6人を含めて54人が賛成したものの、この法案の可決には単純過半数ではなく60票以上が必要だったため、否決された。
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1月6日の議会襲撃では、2020年大統領選でジョー・バイデン氏が勝利した結果を議会が認定している最中、トランプ氏の支持者たちが議事堂に侵入した。議会警察の警官1人を含む5人が死亡した。
上院採決の結果を受けてバイデン氏は訪問先のオハイオ州から、共和党を非難。アイスクリーム店の店先で記者団に対して、「連邦議会が南北戦争以来の規模で襲撃されたというのに、調査委員会の設置に反対票を入れるなど想像もつかない」と述べた。
採決の前には、襲撃翌日に脳梗塞のため死亡した議会警察のブライアン・シックニック警官の母親が、警官の恋人と共に議会を訪れ、調査委設置を認めるよう呼びかけていた。
グラディス・シックニックさんは、「あの日に何が起きたのか正確に調査する1月6日委員会を置かないのは、あの日に職務を果たした警官全員の顔を平手打ちするようなもの」だと主張。設置法案に反対する議員は全員が、首都ワシントン郊外のアーリントン国立墓地にある息子の墓を訪れるべきだと述べた。
シックニック警官の死因については自然死という検死報告がされているが、捜査によると、襲撃参加者になんらかの薬品をスプレーで噴きかけられていたという話もある。
これまでに、議会襲撃に参加した疑いで440人以上が逮捕された。司法当局によると、すでに訴追した400人以上に加え、さらに約100人を起訴する見通しという。
司法省による捜査としては過去最大級の規模で、審理手続きのため首都ワシントンの裁判所は飽和状態にある。
逮捕者の中には、現役の警官が複数いるほか、退役兵も数十人いる。起訴された被告たちは、連邦政府施設への不法侵入、暴力的な侵入、治安紊乱(びんらん)行為などの罪に問われている。
共和党の主張は
上院共和党のトップ、ミッチ・マコネル院内総務は、1月6日調査委の設置に反対する理由として、すでに上院国土安全保障委員会で行われている超党派公聴会で十分だからだと述べた。
かつては調査委設置に賛成していたテキサス州選出のジョン・コーニン議員は、調査委を設ければ民主党がそれを政治的な「棍棒(こんぼう)」のように使って共和党をたたいてくると、反対理由を話した。
下院では共和党議員35人が造反し、調査委設置に賛成していた。
共和党議員にとっては、調査委設置への賛否はトランプ前大統領への忠誠度を計る指標とされている。トランプ氏は議会襲撃を受けて反乱扇動などの罪で下院に弾劾訴追されたものの、上院は無罪評決を下した。
トランプ氏は今も自分のブログなどで、大統領選に本当に勝ったのは自分だなどと陰謀論を展開し続けている。
BBCのアンソニー・ザーカー北米担当記者は、今回の議決結果について、共和党内でトランプ氏が今なお大きい影響力を残していることの表れだと指摘。それに加えて、トランプ氏を必ずしも支持しない共和党議員も、議会襲撃に対する調査は共和党に不利な内容となり、2022年11月の中間選挙に影響すると懸念しているようだと説明した。










