米共和党、トランプ氏批判のチェイニー議員を下院ナンバー3から解任

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米野党・共和党は12日、リズ・チェイニー下院議員(ワイオミング州)を下院共和党ナンバー3のポストである同党会議議長から解任した。チェイニー氏は今年1月6日の議会襲撃を受けて、当時大統領だったドナルド・トランプ氏を厳しく批判し、党内のトランプ派が強く反発していた。
チェイニー議員は12日朝、非公開で行われた共和党下院議員の投票により、下院共和党会議議長の座を解任された。
報道によると、投票にあたり、同僚議員はチェイニー氏のリーダーシップに対して拍手を送った。だが、同氏が「我々を後退させたり、我々を巻き込んで民主主義を崩壊させようとする前大統領の動きを認めることはできない」と述べると、ブーイングが起こったという。
解任された直後、チェイニー氏は記者団に対し、「前大統領を2度と大統領執務室に近づけないよう、できる限りのことをするつもり」だと述べた。
トランプ氏が声明
チェイニー氏の解任の知らせを受け、トランプ氏は声明を発表。同氏を「冷酷で恐ろしい人間」で「民主党にとっての話題の種」だと攻撃した。
チェイニー氏は、2020年大統領選で票が奪われたと根拠のない主張をするトランプ氏を、繰り返し非難してきた。
共和党議員たちは、次の選挙に向けて前進したいのにチェイニー氏が過去を蒸し返していると主張している。
ディック・チェイニー元副大統領の娘のチェイニー氏は、2019年から下院共和党会議議長を務めてきた。
解任前日の11日には、共和党が2020年の大統領選で勝利したとするトランプ氏の虚偽の主張を支持するなら、同党が真実を支持することはできないと、チェイニー氏は述べていた。
下院共和党は今月中に、チェイニー氏の後任にトランプ派の人物を選出するとみられる。
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今回の動きは、大統領選での敗北から6カ月たった今、共和党に対するトランプ氏の支配力がかつてないほど強固なものになっていることを示すものと受け止められている。
トランプ氏は2024年大統領選に出馬する可能性を示唆している。世論調査では、トランプ氏が共和党の大統領候補指名を容易に獲得できることが示されている。
米紙ニューヨーク・タイムズによると、共和党へのトランプ氏の支配力に業を煮やした共和党員100人以上が今週、第三政党の結成を予告する書簡を発表する予定という。
チェイニー氏解任の背景
ことの発端は、トランプ氏の支持者が1月6日、大統領選の投票結果を認定する連邦議会上下両院合同会議が開かれていた議事堂を襲撃したことだ。
議事堂襲撃をめぐるトランプ氏の弾劾訴追では、チェイニー氏ら共和党議員10人が、当時の野党・民主党が出した訴追決議案に賛成した。上院での弾劾裁判でトランプ氏は無罪となった。
その後、チェイニー氏の解任を問う無記名投票が行われたものの、ケヴィン・マカーシー下院院内総務が解任させないよう議員たちに働きかけ、チェイニー氏は145対61で解任を免れた。以降、同氏はトランプ氏を非難し続けている。
多くの党員にとって我慢の限界となったのは先週、チェイニー氏が米紙ワシントン・ポストへの寄稿でトランプ氏批判を展開したことだとみられる。この記事が掲載された後、マカーシー氏らはチェイニー氏を幹部の座から追放する措置を取り始めた。
「もううんざりだ」
マカーシー氏をめぐっては最近、米フォックス・ニュースの司会者に対して「彼女にはもううんざりだ。信頼を失った」と話す音声が確認されている。
同氏は10日、同僚議員に宛てた書簡で、「過去をほじくり返した分、未来をつかむために必要な日が減っていくことになる」、「変化を起こす必要があるのは明らかだ」と述べた。
11日には、ホワイトハウスでの会議で「誰も大統領選の正当性に疑問を持っていないと思う」と述べた。
「これはもう終わったことだ。我々は今日、大統領とここで席を共にした」
チェイニー氏の後任は
後任として有力視されているのは、ニューヨーク州北部出身で現在4期目のエリス・ステファニク議員(36)。
チェイニー氏の解任が決まった直後、ステファニク氏は同僚議員に宛てた書簡の中で、就任への意欲を示し、「チームとしてメッセージを1つにし、2022年の選挙で過半数を獲得する」と誓った。
かつてはトランプ氏を批判していたが、ここ数年で最も忠実な味方へと変わった。
トランプ氏は10日、声明で、「下院共和党は、主戦論者のリズ・チェイニーから才能あるコミュニケーター(伝達者)のエリス・ステファニクへとグレードアップする、大きなチャンスを得た」と述べた。
一方で、共和党の誰もがステファニク氏を支持しているわけではない。同氏の下院での投票記録があまりにリベラルすぎると不満を述べる人もいる。

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