フロイドさん死亡から1年 妹はバイデン氏が約束「破った」として面会拒否

Demonstrators in Minneapolis chant on the anniversary of George Floyd's murder

画像提供, Reuters

画像説明, フロイドさんが殺害されたミネソタ州ミネアポリスなど全米各地で抗議デモが行われた。写真はフロイドさんの事件から1年となった25日、ミネアポリスで抗議する人々

米ミネソタ州で黒人男性ジョージ・フロイドさんが白人警官に首を押さえつけられ死亡した事件から1年となった25日、フロイドさんの遺族がホワイトハウスでジョー・バイデン大統領と面会した。警察改革を推し進めるバイデン氏は面会後、アメリカは転換点にあり「我々は行動する必要がある」との声明を発表した。一方でフロイドさんの妹は、バイデン氏が兄の命日までに警察改革法案を成立させるという約束を「破った」として面会を拒否した。

フロイドさんの死は人種差別と警察暴力に対する世界的な抗議活動へとつながった。

全米各地ではこの日、抗議デモが行われた。

フロイドさんを死に至らせたとして、殺人罪などに問われた元警官のデレク・ショーヴィン被告は先月20日、第2級殺人、第3級殺人、故殺の3つの罪すべてで有罪とされた。第2級殺人罪は殺意の有無に関わらず適用され、量刑は最長禁錮40年。第3級殺人罪は、危険な行為によって人を死なせる犯罪。

「ジョージ・フロイド警察活動正義法」の成立を目指しているバイデン氏は声明で、アメリカは転換点に直面しているとした。

「真の変化をもたらすには、法執行職員が誓いを破った場合に、我々が説明責任を果たさなければならない」と、バイデン氏は述べた。「我々は行動する必要がある」。

「約束を破った」と面会拒否も

バイデン氏とカマラ・ハリス副大統領と面会したフロイドさんの弟フィロニス・フロイドさんは、「ハクトウワシという鳥を保護する連邦法を制定できるなら、有色人種を守る連邦法も制定できるはずだ」と述べた。

フロイドさんのもう1人の弟テレンス・フロイドさんは、バイデン氏と面会できて光栄に思うと述べた。「とても生産的な会話ができて感謝している」。

一方で、フロイドさんの妹ブリジット・フロイドさんは大統領と面会せず、ミネソタ州ミネアポリスでの集会で黙とうを捧げた。

ブリジットさんは、「バイデンが法案に署名するタイミングでワシントンに行くつもりだった」が、「バイデンは法案に署名していない。約束を破った」と述べた。

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フロイドさんの事件をめぐる裁判は現在も続いている。

今月7日には連邦大陪審が、フロイドさんの憲法上の権利を侵害したとして、元警察官のJ・アレクサンダー・クング被告、トウ・サオ被告、トーマス・レイン被告、そしてショーヴィン被告を起訴した。

一方、ショーヴィン被告の弁護団は、検察官と陪審員に不正行為があったとして再審を求めている。被告への量刑言い渡しは来月の予定。

バイデン氏は何と

フロイドさんの遺族との面会の後、バイデン氏は警察改革法案を支持し続けることを約束する声明を発表した。

バイデン氏はこれまで、フロイドさんの命日にあたる25日までの法案可決を目指してきたが、法案は議会で停滞している。

「アメリカの魂のための闘いは、人間はみな平等だというアメリカの理想と、人種差別が長い間私たちを引き裂いてきたという厳しい現実との間で、常に押し引きされてきた」と、バイデン氏は声明で述べた。「最高の状態でアメリカの理想が勝利を収める。今回もそうでなければならない」。

バイデン氏はインフラ整備や新型コロナウイルス経済対策については直接働きかけてきたが、警察改革に関する議論については、その大部分を議会に任せてきた。

ホワイトハウスのジェン・サキ報道官は25日、「我々は交渉担当者による議論を尊重してきた」とし、合意に達するための新たな期限は提示しなかった。

活動家らの主張

活動家たちは、法案成立のためにはバイデン氏がさらに努力する必要があると指摘した。

人権団体「アドバンスメント・プロジェクト」のジュディス・ブラウン・ディアニス氏はAP通信に対し、「大統領は確実に法案が成立するよう、対応を強化する必要がある」と語った。

上院民主党は昨年6月、上院で唯一の黒人共和党議員ティム・スコット氏(サウスカロライナ州)が提案した警察改革法案に関する議論を阻止した。

上院共和党は現在、下院民主党が3月に可決した警察改革法案に反対している。この法案には、警察官個人を訴えたり罪に問いやすくしたりすることなどが盛り込まれている。

バイデン氏はまた、「Black Lives Matter」やその他の活動家から、警察に軍の装備を提供しないよう求められている。

昨年の選挙戦では、同氏は「戦争で用いる武器を警察に提供するのはやめるべき」だと訴えていた。しかし、下院民主党がそうした趣旨の大統領令を出すよう求めているものの、ホワイトハウスは行動を起こしていない。

事件から1年、各地の様子は

事件から1年となった25日、全米各地ではデモ参加者や市長らが様々な行事を開催した。

ニューヨーク市ではビル・デブラシオ市長が公民権活動家のアル・シャープトン師と共に、ショーヴィン被告がフロイドさんの首を押さえつけたのと同じ9分29秒間、黙とうを捧げた。

カリフォルニア州ロサンゼルスでは市庁舎近くでBlack Lives Matterのデモが行われた。

ミネアポリスではフロイドさんが息を引き取った交差点に大勢が集まった。この交差点は事件以降、追悼の場となっている。

ジョージ・フロイド追悼広場での行事は、銃声が聞こえたとの通報を受けて一時中断された。この事件で1人が負傷したと報告されている。

米国外でも関連行事が行われた。カナダのジャスティン・トルドー首相は、フロイドさんの死は「悲劇」だと記者団に語り、人種差別に取り組むためにカナダでさらなる対応を取ると誓った。

イギリスでも、バーミンガムやエディンバラ、ロンドン、マンチェスター、スウォンジーなどでも追悼集会やデモが行われた。

(編注:BBC.jpでは事件当初から、元警官の同僚警官たちの発音をもとに元警官の姓を「チョーヴィン」と表記していましたが、担当弁護士が本人に向かって「ショーヴィン」に近い発音をするのを確認し、「ショーヴィン」という表記に変更しました)