イギリス議会が開会、新型ウイルス対策で女王演説は簡素に
イギリスで11日、議会の新しい会期が始まり、エリザベス女王(95)が政府の施政方針演説を読み上げた。4月に夫のフィリップ殿下が亡くなってから初めての、主要公務となった。
ジョンソン政権が原稿をまとめた約10分間の演説では、政府が成立を目指す法案30件を説明したほか、政府は「パンデミックからの全国的な復興を通じて、イギリスをより強く、より健康的で、さらに豊かな国にする」と強調した。
女王が議会を開く際の「女王の演説」は、女王がウェストミンスター宮殿に6頭立ての馬車で到着するなど、さまざまな典礼がつきものだが、今回は新型コロナウイルス対策の一環で、その多くが簡素化された。

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エリザベス女王は今回、馬車ではなく車で議事堂に向かった。隊列などはなく、単独での到着だった。
服装も、通常は王冠や礼服を身にするが、今回は日中用の平服に帽子といういでたちだった。
議事堂内では、ウェールズ公チャールズ皇太子と妻のコーンウォール公爵夫人が女王に付き添った。議会での演説には、2017年に公務を退くまで故フィリップ殿下が同席していた。

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女王が上院の玉座に着いた後、下院議員が上院に呼ばれ入場した。ボリス・ジョンソン首相や最大野党・労働党党首サー・キア・スターマーが社会的距離を保ちながら入場した。
女王の演説には、通常は上下両院の議員のほか、外交官や招待客など600人近くが集まる。
しかし今回は感染対策のため、外交官や招待客は呼ばれず、出席者は全体で108人に限られた。ロイヤル・ギャラリーには、上下両院からそれぞれ議員17人が集まった。

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演説ではまず、インフラ整備による格差是正が発表され、第5世代移動通信(5G)の普及やデジタル製品の安全基準の新設をめぐる法案が提出された。
またイギリスの欧州連合(EU)離脱を受け、これまでEUが担っていた法人への補助金制度や、民間からの政府調達について代替法案が発表された。
さらに、革新的な科学研究を行う「先進研究・発明庁」創設の提案もあった。
一方で、議論を呼んでいる「警察、犯罪、量刑と裁判所法案」も演説に盛り込まれた。これは抗議デモを警察が規制する権限を拡大する内容が含まれており、4月には南西部ブリストルで、これに反対するデモ参加者と警察が衝突する騒ぎがあった。

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通信関係では、インターネット上の有害・違法コンテンツの取り締まりや、ネットワーク・セキュリティーの強化を大手企業に求める法案が出ている。
人権関係では、性暴力や家庭内暴力の被害者支援の基準を定めるなど、犯罪被害者の権利を保障する「被害者法案」が発表された。
このほか、人種や民族による格差を是正する法案、イングランドとウェールズで同性愛の「転向療法」を禁じる法案なども盛り込まれた。
一方、介護制度改革に関する法案がなかったことを、野党や介護団体は批判している。

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エリザベス女王は演説を、「全能なる神の祝福が皆さんの議論にありますように」という言葉で締めくくった。
演説で明らかにされた政策はその後、5日間にわたって議会で審議される。

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(英語記事 / What was in the Queen's Speech?)











