フランス教師殺害に反発、国内各地で大規模集会 「私は教師」

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画像提供, Reuters

画像説明, パリのデモ集会では「共和国(フランス)の首を切ることはできない」と書かれたプラカードも見られた

フランス・パリ近郊で、イスラム教の預言者ムハンマドの風刺画を教材として生徒たちに見せた教師サミュエル・パティさん(47)が首を切断されて殺害された事件で、パティさんを支持する大規模な集会が18日、同国各地で開かれた。

パリのレピュブリック広場では、大勢が「私は教師」と書かれたプラカードを掲げた。「フランスの全ての敵を容赦しない」、「私は教授だ。私はあなたのことを思っている、サミュエル」などと書かれたプラカードも見られた。

1分間の黙とうに続き、国歌が演奏された。参加者は全員、新型コロナウイルス対策でマスクを着けていた。

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ジャン・カステックス首相とアンヌ・イダルゴ・パリ市長も集会に参加。首相はツイッターに、大勢が国歌を歌う様子の動画を投稿し、「私たちを怖がらすことはできない。私たちは恐れない。私たちを分断することはできない。私たちはフランスだ!」と書いた。

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ジャン=ミシェル・ブランケール教育相は、フランスが団結すれば民主主義の敵に勝利できるとし、フランスのすべての教師が支援を必要としていると述べた。

シェルで教師をしているナタリーさんは、「教えることで死ぬかもしれないと気づいた」ためパリの集会に参加したと、仏紙ルモンドに述べた。

イスラム教徒のフランス人女性は、今回の殺人事件への嫌悪を示すために集会に参加したと、仏紙フィガロに語った。

Undated photo of Samuel Paty

画像提供, AFP

画像説明, Samuel Paty, a well-liked teacher, had been threatened over showing the cartoons
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この広場では、2015年1月に預言者ムハンマドの風刺画を掲載した仏週刊紙シャルリ・エブドが襲撃され死傷者が出た事件の後も、約150万人が抗議デモを繰り広げた。

襲撃事件をめぐっては現在、裁判が続いている

動画説明, 「シャルリ・エブド」襲撃から1年 夫の最後の言葉振り返る妻
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フランス各地でデモ集会

北部リールの集会では、「私はサミュエル」というシンプルな言葉を記したプラカードを手にする人々が目立った。

南東部リヨンのベルクール広場には数千人が集結し、パティさんへの敬意を表明。西部ナントでも大規模な集会が開かれた。

さらに、トゥールーズ、ストラスブール、マルセイユ、ボルドーなどでもデモ集会が開かれた。

21日には政府主催の追悼式が開かれる予定。

エマニュエル・マクロン大統領は事件について、「イスラミスト(イスラム原理主義者)によるテロ攻撃」の特徴が明確に表れていると述べている。また、被害者は「表現の自由を教えた」ことで殺害されたとしている。

ボルドーのモスク(イスラム教寺院)指導者タレク・ウブルー師は、「罪のない人を殺すのは文明ではない。それは野蛮のすることだ」と公共ラジオのフランス・インテルに述べた。

逮捕者11人に

今回の事件は16日に発生。パリ近郊コンフラン=サントノリーヌの学校、コレージュ・デュ・ボワ・ドルヌの近くで、同校の教師パティさんが殺害された。現場では、「アブドゥラフ・A」という名の男性容疑者が警察に射殺された。

捜査当局はこれまで11人を逮捕している。詳細は明らかにしていないが、事件後まもなく、容疑者の近親者4人を逮捕。翌17日には、同校の生徒の父親や、地元メディアでイスラム過激派とされる宗教指導者ら、6人を逮捕した。その後さらに1人を逮捕した。

当局がマークしていた容疑者も

検察当局のジャン=フランソワ・リカール対テロ検察官は、パティさんが表現の自由の授業で預言者ムハンマドの風刺画を生徒たちに見せて以降、脅迫を受けていたと明らかにした。

歴史と地理を教えるパティさんは、過去何年かの同様の授業でもしてきたように、気分が害されると思う生徒には風刺画を見ないよう助言していたという。

この授業に対し、生徒1人の父親が強く反発し、学校に抗議した。

この父親と、宗教指導者で活動家の男性アブデルハキーム・セフリウイ容疑者が、パティさんを「悪党」と非難するビデオを複数製作した。

この2人はともに逮捕された。セフリウイ容疑者については、フランスの情報機関が長年マークしていたと報じられている。

パティさんと面識なし

検察当局によると、パティさんを襲ったとされる容疑者は、モスクワで生まれたチェチェン系の18歳で、子どもの頃に難民としてフランスに移住した。対テロ警察は、容疑者をこれまで把握していなかったという。

事件現場から約100キロ離れたノルマンディーのエヴルー在住で、殺害された教師や学校とは関係がなかったもよう。

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画像説明, パリ(Paris)近郊の事件現場、コンフラン=サントノリーヌ(Conflans-Sainte-Honorine)と、容疑者が住んでいたというエヴルー(Évreux)
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訴追歴は軽犯罪についてのみだった。

授業が終わり徒歩で帰宅するパティ教師を追いかけ、刃物で頭に複数のけがを負わせた後、首を切り落としたとされる。

複数の目撃者が、「アッラーフ・アクバル(神は偉大なり)」という叫び声を聞いたという。

駆けつけた警官たちにエアガンで複数回発砲したため、警官が銃撃した。男は計9発、撃たれたという。男の遺体の近くでは、刃渡り30センチの刃物が発見されたという。