プーチン氏、ベラルーシに治安部隊派遣も 混乱が「制御不能になれば」

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東欧ベラルーシで大統領選をめぐる抗議デモが続く中、ロシアのウラジミール・プーチン大統領は27日、必要に応じてベラルーシに介入できるよう治安部隊を準備したと明かした。一方で、現時点では派遣する状況には至っていないとした。
プーチン大統領はこの日放送の国営テレビ1TVで、ベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領から「私に対し、ある程度の予備警察隊を設置してほしいとの要請があった」とし、「そのように対応した」と述べた。
「我々は、制御不能な状況になるまでは部隊を派遣しないことでも合意した」
ベラルーシで9日に投開票された大統領選では、1994年から実権を握ってきたルカシェンコ大統領が6期目当選を決めた。しかし、不正があったのではないかとの批判が上がり、大規模な抗議デモにつながった。
抗議デモの状況は「安定」
プーチン氏は、ロシアとベラルーシの緊密な同盟関係の下、ロシアにはベラルーシの安全保障を支援する義務があると述べ、両国間の文化的、民族的、言語的な深い結びつきを強調した。
「政治的スローガンを隠れみのにした過激派が一定の境界線を越え、武装強盗を始め、車や家や銀行に放火して政府施設を占拠しようとするなど」しない限り、新たな部隊がベラルーシに入ることはないと、プーチン氏は述べた。
また、「全体的に見れば現在の状況は安定している」と付け加えた。
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ベラルーシでの支配力回復が狙いか
ベラルーシの隣国ポーランドのマテウシュ・モラウィエツキ首相は、プーチン氏が敵対的な国際法違反を隠すために、ベラルーシでの支配力を取り戻したいと考えていると指摘。この計画は直ちに撤回されなければならないと述べた。
ロシアとベラルーシは、多数の旧ソ連諸国からなる集団安全保障条約機構(CSTO)のメンバーだ。
両国は1996年、さらなる統合を促進し、両国民がどちらの国でも自由に働き、居住できる権利を保障する「共同体」を結成した。
欧州連合(EU)とアメリカは9日に投開票されたベラルーシ大統領選は自由でも公正でもなかったとし、選挙結果を拒否している。EUはルカシェンコ氏が勝利するよう選挙結果を不正に操作し、野党側の運動を取り締まる当局者に対し、制裁措置を準備している。
ミンスクでの抗議デモは前例のない規模にまで拡大している。

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BBC記者らジャーナリストが拘束
首都ミンスクの中心部では野党集会が予定されていたが、それに先立ち、BBCのチームを含むジャーナリストが少なくとも13人拘束された。
ベラルーシ内務省は身元確認のために警察署へ連行したと説明。しかしBBCのスティーブ・ローゼンバーグ記者は、「抗議イベントの報道を妨害しようとしていたのは明らか」だと指摘した。
「今夜、私たちはミンスク中心部で警察に拘束され、警察署で2時間にわたって「書類検査」のために勾留された。ほかの多くのジャーナリストにも同じことが起こった。ベラルーシでの抗議イベントの報道を妨害しようとしていたのは明らかだ」

「権力移譲」めぐり刑事捜査
26年にわたり政権を握るルカシェンコ氏は9日の大統領選で6期目当選を果たした。中央選挙管理委員会によると、ルカシェンコ氏の得票率は80.1%、対立候補のスヴェトラーナ・チハノフスカヤ氏は10.12%だった。
しかし、中立の選挙監視団が呼ばれなかったことから、不正があったのではとの批判が上がった。
現在はリトアニアに脱出しているチハノフスカヤ氏は17日、暫定大統領を務める可能性を示唆した。
また、平和的な権力移譲の実現を目的とした野党調整協議会を設置した。この協議会には芸術家や作家、実業家らが含まれる。
協議会設置を受け、ルカシェンコ氏は野党側が権力を掌握しようとしていると非難した。
ベラルーシ当局はこの協議会を標的とした刑事捜査を開始している。
チハノフスカヤ氏の選挙陣営メンバーで、ベラルーシ国内で最も著名な野党指導者のマリア・コレスニコワ氏は、検察による取り調べを受けている。ミンスク市内の捜査委員会施設に到着した際、コレスニコワ氏は支持者に諦めないよう促し、拍手喝采を浴びた。
検察は26日、2015年にノーベル文学賞を受賞したスヴェトラーナ・アレクシエヴィッチ氏の取り調べを行った。アレクシエヴィッチ氏は記者団に対し、取り調べ中に質問に答えるのを拒否したと明かした。また、協議会の活動は完全に合法だと主張した。

<解説>プーチン氏の計画、その裏に何が?――サラ・レインズフォード、モスクワ特派員
プーチン大統領がベラルーシでの抗議デモに対する監視を強めている。ベラルーシのルカシェンコ大統領から少し前に要請を受け、事態が悪化した場合にルカシェンコ氏を支援するために治安部隊を派遣し、ベラルーシに介入することで合意していると、プーチン氏は自ら認めた。
どんな部隊を、どれくらい事態が悪化した場合に派遣するのか、プーチン氏は完全に明確にはしていない。だが、プーチン氏が言う「法執行官」は、街中にいる普通の警官のことではない。
法執行官という言葉の定義はかなり幅広い。機動隊や国家親衛隊、さらには連邦保安局(FSB)職員も含まれるからだ。そのため、ロシアがある種の介入に踏み切る可能性があることが、今やベラルーシの野党指導者らと抗議者の双方、そして西側諸国にとっての公然たる脅威となっている。
プーチン氏は民族的つながりや家族の絆、経済的つながりといった、ロシアとベラルーシの特別な関係性も強調した。
また、ロシアが国境の向こう側で起きていることを気にかけているとプーチン氏が発言したのは、1度だけではない。
デモ参加者はロシアが介入するのか懸念しているが、プーチン氏は問題が起きなければベラルーシ国内に部隊を展開することはないとしている。
しかし全体的に見れば、今回の発言はルカシェンコ大統領への支持の表明と言える。ロシアが味方についている、そういうことだ。










