ベラルーシの国営テレビ局前で抗議 大統領選めぐる偏向報道に非難

People take part in a rally to protest against presidential election results and demand from state-run media objective reporting on the situation in the country, outside the building of Belarusian National State TV and Radio Company in Minsk, Belarus August 15, 2020

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画像説明, 国営テレビ局前に数千人が集まり、抗議活動を報道するよう求めた

大統領選挙の結果をめぐり抗議活動が続いている東欧ベラルーシで15日、国営テレビ局前に数千人が集まり、抗議活動を報道するよう求めた。

野党支持者らは首都ミンスクのテレビ局前で、「国民に真実を見せろ」と書かれたプラカードを掲げた。

ベラルーシでは9日の大統領選で、1994年から政権を握る現職アレクサンドル・ルカシェンコ大統領(65)が勝利を宣言した。中央選挙委員会は、ルカシェンコ大統領の得票率を80.1%、対立候補スヴェトラーナ・チハノフスカヤ氏(37)を10.12%だったと発表した。

しかし、この選挙結果は不正だと批判する声が高まり、デモが連日続いている。現在はリトアニアに脱出しているチハノフスカヤ氏は、自分は実際には60~70%の票を得たと主張している。

警察当局は抗議行動に暴力で対応しており、これまでに約6700人が拘束され、拷問を受けたとの証言もある。

しかし国営テレビ局は、こうした様子を報じていない。

投開票当日はルカシェンコ大統領の支持者の声ばかりを流し、デモの様子は伝えなかった。その後は抗議参加者の暴力を非難する動画などを放映し、抗議に参加しないよう国民に呼びかけている。

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AFP通信によると、テレビ局前での抗議には、従業員100人ばかりが社屋から出てきて参加する場面もあった。従業員らはストライキを計画しており、ストを支持する署名を集めているという。

従業員のアンドレイ・ヤロシェヴィチさんは、「他の人と同じように我々も自由選挙と拘束された抗議参加者の解放を求めている」と話した。

ルカシェンコ大統領の報道官を務めるナタリヤ・アイスモント氏と、ベラルーシ議会のナタリヤ・コチャノヴァ議長は15日、テレビ局を訪れて従業員らと話をしたが、外にいた群衆から「恥を知れ!」という叫び声が上がっていた。

また、10日のデモの最中に亡くなったアレクサンデル・タライコフスキさんを追悼する集会が、現場近くの地下鉄駅で行われた。

集会では抗議中に負傷した人の写真を掲げる人もいた。近くを通る車もクラクションを鳴らして参加した。

抗議活動では、多くの野党支持者がルカシェンコ大統領の辞任を求めているほか、警察の暴力を非難するプラカードも使われている。

タライコフスキさんの死亡状況については明らかになっていない。当局は、同氏が持っていた爆弾が爆発したとしているが、野党側はこれを疑問視している。

タライコフスキさんのパートナーだったエレナ・ゲルマンさんはAP通信の取材で、警官に射殺されたと思うと話した。

14日に遺体安置所を訪れたというゲルマンさんによると、胸に穴が開いているのが縫合されていた一方で、手足には負傷が何もなく、あざさえなかったという。

ゲルマンさんによると、タライコフスキさんは自動車修理工として勤勉に働き、今回の大統領選までは政治にも関心がなかったが、今回はチハノフスカヤ氏を支持することにしたのだという。

「自由のための行進」

投開票から1週間目に当たる16日には、ミンスクで「自由のための行進」が計画されている。

これは、チハノフスカヤ氏がリトアニアからの動画で、15日と16日に「平和的な大規模集会」を開催するよう求めたのがきっかけ。

チハノフスカヤ氏は「傍観していてはいけない」と述べ、権力移譲を求める広範な協議会を開くよう提案した。

People place flowers at a makeshift memorial on Saturday

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画像説明, 10日のデモの最中に亡くなったアレクサンデル・タライコフスキさんを追悼する集会が、現場近くの地下鉄駅で行われた

EUは制裁決定、ルカシェンコ大統領はロシアに協力を要請

欧州連合(EU)は14日、外相会談でベラルーシ当局高官に対し、新たな制裁を加えることで合意した。

さらに、エストニアとラトヴィア、リトアニアのバルト三国は15日、選挙のやり直しを求める声明を発表した。

3カ国の首相は共同で、「暴力的な制圧と(中略)当局による野党への政治的な抑圧に深い懸念を覚えている」と述べた。

また、大統領選は「自由でも公正でもなかった」ため、「国際的な監督機関を招いた上で透明性の高い」選挙を行うよう求めた。

「ベラルーシ当局に対し、平和的な抗議参加者への暴力を止め、政治犯および拘束されている人々の解放を求める」

リトアニアとラトヴィアは先にも、抗議者への暴力を止め、市民から成る国家協議会を設置するという条件で、ベラルーシ政府と野党派を仲介する用意があると発言。これが認められなければ制裁を科すと警告している。

こうした中、ルカシェンコ大統領は15日、ロシアのウラジミール・プーチン大統領の協力を要請した。

ルカシェンコ氏によると、ベラルーシへの外部からの軍事的脅威に対し、プーチン大統領が包括的な支援を約束したという。

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<分析> 数週間前には想像すらできなかった光景 ――ウィル・ヴァーノン、BBCニュース(ミンスク)

ベラルーシでは、明らかに国民の空気が変わった。

今週初め、警察は夜になって街に出た人たちを手当たり次第に警棒で殴っていた。しかし、国内の大工場などでストライキが広がると、それに勇気付けられたのか、昼間に外に出てくる人が大きく増加した。

14日には、ミンスク・トラクター工場の従業員らが、ミンスクの独立広場に集まった数千人の抗議に加わった。

数週間前には想像すらできなかった光景だ。ベラルーシでは通常なら、ルカシェンコ大統領への反対意見は徹底的に封じ込められる。

BBCの取材に応じた女性は、こう語った。

「絶対に何もかも変わります。勝利を確信しています。だから毎日街に出ているんです。毎日!」

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