オーストラリア、クラブや映画館を閉鎖 新型ウイルス感染者が急増

A surfer walks in front of a fence near Bondi Beach

画像提供, Getty Images

画像説明, ボンダイビーチには、政府による「社会的距離」を確保するガイドラインを軽視した人が大勢殺到した

オーストラリアのスコット・モリソン首相は22日の閣議後、新型コロナウイルスの感染者が急増していることを受け、必要不可欠ではないサービスを停止すると発表した。23日正午からパブやクラブ、体育館、映画館、礼拝所が閉鎖されるほか、レストランやカフェはテイクアウトのみの営業に切り替わることとなる。

スーパーマーケットやガソリンスタンド、薬局、宅配サービスについては、引き続き営業は続けられるという。

モリソン首相は、「我が国の子供たちが、まるまる1年間教育を受ける機会を失うことは望んでいない」とし、学校を休校にしない方針だと述べた。しかし保護者が希望すれば、子供たちを自宅にとどまらせることは可能とした。

メルボルンのあるヴィクトリア州など複数の州は、学校を閉鎖したい考えを示している。

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オーストラリアでは、新型ウイルスの感染者数が過去数日間で急増し、1315人に上った。これまでに、新型ウイルスによる感染症「COVID-19」で7人が死亡している。

シドニーのあるニューサウスウェールズ州は最も影響を受けており、533人の感染が確認されている。ヴィクトリア州では296人が、クイーンズランド州では259人が、それぞれ感染している。

「社会的距離」を順守せず、ビーチに人が殺到

オーストラリアでは、新型ウイルスの感染拡大を防ぐために、他人との距離を置いて「社会的距離」を保つよう求められている。

しかし、今回の措置の発表前日の21日、ボンダイビーチを含むシドニーの複数のビーチには、こうした指針を軽視した人たちが大勢詰め掛けた。

モリソン首相は、オーストラリア国民がガイドラインに従っていないため、連邦政府および州政府は今回の対応を取る決断をしたと述べた。

一方で、「我々は人々を自宅に閉じ込めるという封鎖措置は導入していない」と付け加えた。

「現時点では、そういった措置は検討されていない」

同国のブレンダン・マーフィー首席医務官は、新型ウイルスを制御するために、これまでとは「非常に異なる」生活を送り、外出を止める必要があることを、特に若者は自覚しなければならないと述べた。

オーストラリア国内でのそのほかの動きは次の通り。

  • モリソン首相は、経済を後押しするための新しい景気刺激策を発表
  • 南オーストラリア州、西オーストラリア州、ノーザンテリトリー州は、24日から州境を閉鎖する。新規制では、州境を越えて各州に入る場合、14日間の自主隔離を余儀なくされる
  • 離島にあるタスマニア州では、すでに同様の移動制限が敷かれている
  • 同国の男子と女子のサッカーリーグは今シーズンの試合を中断した
  • 対照的に、ナショナル・ラグビーリーグは予定通り試合を継続するとしている

景気刺激策の内容

モリソン首相は22日、660億豪ドル(約4兆1900億円)規模の、2度目の景気刺激策を発表した。これにより、同国政府とオーストラリア準備銀行(RBA)による景気刺激策の総額は1890億豪ドル(約11兆9800億円)となった。

モリソン氏は、新型ウイルス危機の影響を最も受けやすい事業や人々などに対し、経済支援を行うとしている。

景気刺激策には、資力調査や待機期間を免除し、求職者手当て受給者への給付金を2倍にすることや、中小企業への最大10万豪ドル(約634万円)の助成などが含まれる。

新型ウイルスの感染拡大の影響を受けた個人については、2019年から2020年の間、最大1万豪ドル(約63万3900円)を自らの年金から受け取れるようになる。翌年には、さらに1万豪ドルを受け取れる。

一方で、オーストラリアの複数航空会社や空港は、最大7億1500万豪ドル(約453億5490万円)の支援を受けることとなる。

モリソン氏は、この措置は今後6カ月分を穴埋めするものだと強調。「これは応急措置ではない。(中略)私が壇上に上がるのはこれが最後ではないだろう。さらなる刺激策や支援を行うだろう」と述べた。

A cafe in Sydney
画像説明, シドニーのカフェ

社会的距離の確保に無気力なオーストラリア人

シドニーで取材するBBCのフランシス・マオ記者によると、差し迫った閉鎖措置が発表されてから数時間後、市内のバーやレストランでは、これからしばらく外食できなくなることを知らないであろう人々が、日曜の夜をすごしていたという。

同国ではこの1週間、数日ごとに感染者数が倍増しているが、オーストラリア人はこうした統計に注意を払っていない。その代わりに、在宅勤務の不便さや退屈さといった、日常生活における混乱がよく議論されるのだと、マオ記者は指摘する。米国や欧州での危機的状況に順応し、慎重に自主隔離している人も中にはいるが、他の人は「自宅待機せよ」といったメッセージに抵抗しているという。

大規模集会が禁止された数分後に、モリソン首相がのんきにラグビーの試合に出席すると述べたのは、わずか10日前のできごとだった。その後、モリソン氏は判断を覆した。当時、国内の感染者数は200人以下だったが、今では1300人を超えている。

アジア諸国の状況

シンガポールは短期滞在者の入国をすべて禁止すると発表した。シンガポールを経由することも禁止される。ヘルスケアや交通機関などの必要不可欠な事業に務めている就労ビザ保有者のみ、扶養家族と共に入国が許可される。

シンガポールでは21日、2人の死亡が確認された。同国での死者は初めて。

中国は新たに46人の感染を発表したが、そのうち45人は海外で感染したという。地元当局によると、国内で感染した1人は、以前海外から帰国した人と接点があったという。

韓国は22日、新たに98人が感染したと発表。同国での新たな感染者数は減少傾向にある。感染者数は合わせて8897人に上った。

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