合意なしブレグジットと離脱延期の是非を議会採決へ=メイ英首相

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イギリスのテリーザ・メイ首相は26日、政府の欧州連合(EU)離脱協定を下院が3月に否決した場合、まず合意なしブレグジット(イギリスのEU離脱)の是非を議会で問う方針を示した。次に、合意なしブレグジットが否決された場合は、離脱日を延期する案を議会採決にかけると約束した。
多くの残留派閣僚が辞任をほのめかす中、メイ首相は下院でブレグジットについての声明を発表した。
首相は下院で、EUと変更を確認した内容を含む離脱協定を3月12日までに採決にかけると説明した。
下院が政府のこの協定を否決した場合について、メイ首相は2つの採決を提案した。
- 離脱協定の採決の翌日、合意なしブレグジットを支持するかどうかを採決する。つまり、「下院が合意なしブレグジットを求めるという明確な判断を下した場合のみ、イギリスは3月29日に合意のないままEUを離脱する」ことになる
- 合意なしブレグジットが否決された場合、下院は3月14日までに、EU基本条約(リスボン条約)第50条に定められた2年間の離脱交渉期間を延長し、EU離脱を3月29日以降に遅らせるかどうかを採決する
下院が離脱延期を可決した場合、首相はリスボン条約第50条の延長をEUに求める。一方、下院が離脱延期を否決した場合、イギリスは合意のないままEUを離脱することになる。
メイ首相は議員に対し、「私は50条の延長は支持していないと、はっきりさせておきたい」と強調した。
「我々は協定に合意し、3月29日に離脱するために集中すべきだ」
また延長期間は最長でも6月末で、「ほぼ確実に1回だけ」だろうと話した。
さらに、離脱を延期しても「合意なしブレグジットがなくなるわけではない」と述べ、「合意なしを除外するには第50条を破棄するか(訳注:離脱の取りやめ)、協定に合意するかだ。私は破棄はしたくない」と付け加えた。
離脱延期には全加盟27カ国の承認が必要となる。メイ首相は、これについてはまだEU各国と協議していないことを明らかにした。
一方で首相、自分は合意なしブレグジットに反対するのか、保守党議員を党議拘束するのかについては、繰り返し質問されても答えなかった。
BBCのローラ・クンスバーグ政治編集長は、「どうやら3月12日、13日、14日が政治的にも、長年の間で最も大事な日になりそうだ」とツイートした。

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イギリスは3月29日にEUを離脱する予定だが、その条件をまとめた離脱協定はイギリス議会の承認を得られていない。そのため、法律で定められた3月29日になった時点で、イギリスは自動的に諸条件について合意のない状態でEUを離脱する懸念が高まっている。
メイ首相は1月、協定の一部についてEUと再交渉すると議会に約束した。しかし、今週中に予定されていた協定に対する2度目の「意味ある投票」は実施せず、採決を3月12日までに行うとしている。
最大野党・労働党のジェレミー・コービン党首は、メイ首相がまた「すさまじく無謀に」EU離脱を遅らせようとしていると批判した。
保守党内の反応は?
下院は27日、ブレグジットの方向性を変える修正案を審議する予定だ。
これをめぐっては何人かのEU残留派の閣僚が、合意なしブレグジットを阻止する超党派の修正案を支持するために辞任するとほのめかしている。
キャロライン・スペルマン議員(保守党)とジャック・ドロミー議員(労働党)はメイ首相の発表を「歓迎する」としたものの、50条の延長を求める修正案を提出すると述べた。
その上で、「審議中に閣僚からメイ首相が約束を守るという保証を得られれば、修正案を採決にかける必要がなくなる」としている。
この案を支持している保守党のオリヴァー・レトウィン議員は、メイ首相の発表によって「3月29日に合意なしでEUを離脱しないための措置が取られた」と述べ、修正案を提出する必要はなくなったとの見解を示した。
メイ首相に反対し2度目の国民投票を求めている議員からは半面、合意なしブレグジットの可能性は除外されていないとの声もあがっている。
ブレグジットをめぐり20日に保守党を離党したばかりのアナ・スーブリー議員は、メイ首相の発表は「恥ずべきもの」で「何も変わっていない」と指摘した。
一方、保守党のEU離脱派「欧州研究グループ(ERG)」を率いるジェイコブ・リース=モグ議員は、「EU離脱を遅らせるのは、EU離脱を停止するための筋書きではないか」と疑念を表明。メイ首相の判断は「政治家が起こせる最も深刻な過ちだ」と批判した。
民主独立党(DUP)は苦言
首相に閣外協力する北アイルランドDUPのアーリーン・フォスター党首は、首相との会談後の記者会見で、離脱協定に法的拘束力のある変更を加える約束の実行が必要だと苦言した。
「北アイルランドの経験から言っても、期日を先延ばししても協定締結にはつながらない」
フォースター氏はEUに対しても、合意なしブレグジットを回避するために検討を重ね、イギリスの下院議員が支持できる協定を作るべきだと訴えた。
「アイルランドとEUは今こそ、合意を目指して取り組まなくてはならない」
イギリス議会は、離脱協定に含まれるアイルランドと英・北アイルランドの国境問題をめぐる「バックストップ(防御策)」を問題視し、変更を求めている。
野党は不信感募らせる
労働党のコービン党首は、メイ首相が「すさまじく無謀に」EU離脱を遅らせる言い訳が多すぎて「数え切れなくなった」と話した。
「メイ首相はまだ、自分の離脱協定か合意なしブレグジットを選べといい続けている。しかし議会はすでに首相の協定を断固として否決し、合意なしも否定している」
「解決を阻んでいるのは首相自身の強情さだ」
コービン党首はまた、27日の議会で労働党の離脱案が否決された場合には国民投票案を支持すると表明した。
その上で、3月の採決でメイ首相の離脱協定が承認された場合には、選択肢に「EU残留」の含まれた国民投票に最終決定を委ねるべきだとしている。
スコットランド国民党(SNP)のイアン・ブラックフォード議員は、メイ首相が3月の採決を「はぐらかさない」とは「信じ切れない」と語った。
「合意なしブレグジットを除外し、EU離脱を延期する。だがそれを今日やるべきで、3月半ばまで放っておくべきではない」

<分析>大規模な戦術的撤退――ジョン・ピーナール、BBC政治副編集長

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メイ首相による大々的な譲歩は、時間稼ぎのための手段で、戦術的に極めて重要な後退だった。
そして今、閣外相を含めた閣僚15~20人が造反しかねない事態のさなか、メイ首相は下院議員たちに採決の機会を与えることにした。これで下院は来月、合意なしブレグジットの可能性を残すのか排除するのか、そしてEU離脱を「期間限定で」遅らせるのかどうか、選ぶ機会を与えられた。
この約束がなくても、事態を憂慮する閣僚たちは首相に逆らい、他の議員たちと共に、合意なしを除外しブレグジットを遅らせる修正案を支持しただろう。
メイ首相は、閣僚に投票の自由を与えるとは言っていない。造反(するかもしれない)議員たちは向こう2週間、攻撃の手を休めるかどうか決めなくてはならない。その間に首相は、EUから下院が望むような協定の変更を取り付け、究極的にはEU離脱派が協定を支持してくれるよう努力するだろう。
それは「時間稼ぎ」とも、「問題の先延ばし」とも言えるだろう。
しかし、ここ数カ月というのもの首相にとっては、時間稼ぎと先延ばしこそ、最善の選択肢だったのだ。











