米南部の民主党、人種差別と性的暴行疑惑で揺れる 州幹部はブラックフェイス認め

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米ヴァージニア州のマーク・ヘリング司法長官は6日、顔を「茶色く化粧」してパーティーに出たことがあると認めた。数日前には同州のラルフ・ノーサム知事が、かつて黒人以外が化粧などで黒人の外見を誇張して真似る「ブラックフェイス(黒塗り)」 をしたことがあると認めたばかり。
州知事の職務継承順位2位にあたるへリング州司法長官は6日、19歳の大学生当時に開かれたパーティーに黒人に扮して参加したという。
ヴァージニア州政界では「ブラックフェイス」スキャンダルが立て続けに起こっている。1日にはノーサム州知事の人種差別的な写真が明るみになり、知事辞任を求める声が高まっている。
一方で、同州のジャスティン・フェアファックス副知事については性的暴行の疑いが浮上しているが、本人は否定している。
3人はいずれも民主党員で、仮にそれぞれ疑惑で辞任した場合、州議会の下院議長を務める共和党のカーク・コックス議員が州知事になるかもしれない。
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具体的に何を認めた?
ノーサム氏をめぐっては、1984年にイースタン・ヴァージニア医科大学を卒業した同氏の卒業アルバムに「ブラックフェイス」の人物と米白人至上主義団体「クー・クラックス・クラン」(KKK)の衣装をつけた人物の写真が掲載されており、そのいずれかがノーサム氏ではないかと物議を醸している。
ノーサム氏は問題の写真に自分は写っていないと主張する一方で、同年の別の次期に歌手のマイケル・ジャクソンに扮するために顔を黒く塗ったと認めている。
今回ブラックフェイスを認めたヘリング氏は2日、知事辞任を求める抗議に参加し、ノーサム氏が州知事を続けるのは「もはや不可能だ」と述べていた。

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ところが6日になって、へリング氏は声明を発表し、自分もかつて「ブラックフェイス」をしたことがあると打ち明けた。
同氏によると、1980年に「複数の友人が、当時みんなで聴いていたカーティス・ブロウなどのラッパーに扮してパーティーに参加し、歌を披露しようと提案した」ため、皆で仮装したのだという。
声明には、「これを書いている今も、ばかげたことに聞こえる。しかし、これは私たちの無知で軽薄な行動が招いたこと。他人の経験や観点を慮る認識がなかったため、仮装してかつらをつけて、顔を茶色く塗ってしまった」と記されている。
「若い頃の自分がいかに無神経だったかの表れだ。自分の行動が他人にどういう痛みを与えるかもしれないか、弁明できないほど認識を欠いていた」

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へリング氏は辞任は表明しておらず、声明の中で「様々な人種による地域社会に力を与えるための努力」し、「米自治連邦区と我々の国を悩ませているヘイトクライム(憎悪犯罪)と白人至上主義者による暴力の増加と戦う」と表明している。
副知事の性的暴行疑惑
知事公邸が「ブラックフェイス」スキャンダルに巻き込まれたことで、多くの民主党員はフェアファクス副知事が引き継ぐべきだと主張していた。
ところが、15年前にフェアファックス氏から性的暴行を受けたと主張する女性が現れたことで、事態は急変。同氏は3日、疑惑を否定した。
カリフォルニア州のスクリップス大学で教えるヴァネッサ・タイソン教授は弁護士を通じて6日、2004年にマサチューセッツ州ボストンで開かれた民主党党大会の最中に、フェアファックス氏から性的行為を強いられたと主張した。
タイソン教授によると、党大会の最中に「資料を取りにいく」ためフェアファックス氏に、宿泊先のホテルの部屋に呼ばれたという。
ホテルのスイートで2人はキスしたが、タイソン教授は「合意に基づくキスは、たちまち暴行に変わった」と声明で主張した。
「私は動揺をあらわにしていたのだから、フェアファックス氏が強引な性行為を合意に基づくものだと考えていたなど、信じられない」と2人が出会った状況を振り返った。
「暴行の後、私は深い屈辱と恥辱の思いに苦しんだ」
フェアファックス副知事は6日、タイソン教授の声明を読むのは「つらい」ことだったと述べる一方で、無実を主張した。
一方で米NBCニュースは、副知事が4日夜の打ち合わせ中にタイソン教授について罵詈雑言(ばりぞうごん)をまき散らしたと報じたが、副知事の事務所はこれを否定している。
全米女性組織はフェアファックス氏の辞任を求めている。

<解説>拡大するスキャンダル――アンソニー・ザーカーBBC北米担当記者
ヴァージニア州の民主党には、スキャンダルとは無縁の州政府幹部がいなくなりつつある。
へリング氏もまた「ブラック・フェイス」の経験があるという告白によって、初めはノーサム氏1人の疑惑だった「ブラック・フェイス」が、実はより大きい問題の一端なのだと明らかになった。
少なくとも一部の人間の間ではかつて容認されていた、残酷で非寛容な行動が、数十年たった今、政治に影響を及ぼしている。
州議会議員だった黒人女性で、ヴァージニア州知事選を僅差で敗れたステイシー・エイブラムス氏は5日夜の一般教書演説の後、民主党を代表して反論演説を行い、この問題について遠まわしに語った。
「私たちは過去と現在の人種差別に引き続き立ち向かっている。だからこそ、政府幹部から自分たちの家族に至るまで、誰によるものだろうと人種差別の言動については責任を問いただし、人種差別は間違いだとはっきり言わなくてはならない」
ヴァージニア州の人々、そして全米の民主党員は今や、身内による人種差別に取り組んでいる。
おかげで州政府は混乱状態だ。しかし、説明責任の実現はもっと難しいかもしれない。より多くのトップ政治家に影響が及べば及ぶほど、誰も辞任しなくて良くなるというのが、政治の現実だ。







