タイ洞窟救助 残る5人の救出に向けダイバー準備完了

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先月末からタイ北部の洞窟に閉じ込められていた少年12人とサッカーチームのコーチは、これまでに少年8人が救助された。残る5人を救うため、複数のダイバーが10日朝から危険性の高い救出計画の再開に向けて準備を進めている。
少年たちが洞窟を探索していた6月23日、豪雨で洞窟が水没し、中に閉じ込められた。ダイバー2人が先週、少年たちを発見した。
タムルアン洞窟での救出計画は世界中から注目を集めている。この2日間で、これまでに少年8人が救出された。
洞窟内に残る少年4人とコーチも健康状態は良好で、浸水した狭い洞窟通路内を、先導を受けて脱出することも問題ないという。
救出された少年の様子は
8人は公に姿を現していないが、健康状態に問題は無いといわれている。
9日に助け出された少年4人は担架で洞窟から運び出され、チェンライ市近郊の病院に搬送された。
8日に最初に助け出された少年4人は、病院内の隔離病棟におり、まだ家族とは再会していない。
タイ当局によると、救出された少年たちは米のおかゆを食べられたという。ただ、10日間食べ物を口にしていなかったことで弱っている消化器系が回復するまで、少年たちがリクエストしている好物の豚肉料理は出されない。
8人はどうやって救出されたのか
熟練ダイバーのタイ人40人と外国人50人、合計90人で構成されたチームが、洞窟内で救助に当たっている。
ダイバーは水没して真っ暗な通路を、少年たちを先導して進み、タムルアン洞窟の入り口まで送り届けている。

少年たちを迎えに行き送り届ける一連の流れは、経験あるダイバーにとっても疲労が大きい往復だ。
先導の過程には、既に設置されたガイドロープを使った歩行、水路の横断、岩登り、ダイビングが含まれる。
未経験のダイバーには昔ながらの呼吸器よりも簡単につけられるとの理由で、少年たちはフルフェイスのマスクを被り、1人ずつダイバー2人と共に脱出する。このダイバー2人が少年の空気ボンベも運ぶ。
最も難しい部分は、経路を半分ぐらい進んだところにある「Tジャンクション」と呼ばれる箇所だ。Tジャンクションは非常に狭く、ダイバーは空気ボンベを外さないと通り抜けられない。
Tジャンクションを越えたところにある、「チェンバー3」と名づけられた空洞が、ダイバーたちの前線基地となっている。
少年たちは出口に向けた最後の、比較的容易な歩行路に向かう前に、このチェンバー3で休息をとることができる。出口に着くと、少年たちはチェンライ市の病院に運ばれる。

元タイ海軍のダイバーが6日、洞窟で死亡したことが、この道のりがいかに危険かを表している。サマン・グナンさんは少年たちに空気ボンベを運ぶ任務を果たして戻ろうとしていたところ、酸素不足に陥った。
グナンさんは意識を失い、回復できなかった。グナンさんの同僚は、「我々の友人の犠牲を無駄にはしない」と話した。
救出計画の責任者は、2日目の救出計画は初日よりスムーズに進んだと述べた。手法が改善され、予定より2時間早く進んだという。
大規模なポンプ排水計画も、洞窟内の水位を下げる助けになっており、以前よりも少年たちを連れて戻る道のりの難易度を下げているという。
少年たちとサッカー監督はどんな人物か
洞窟内に閉じ込められたサッカーチームの少年とコーチのうち複数人について、人物像の詳細がわかってきた。
主将のドゥアンペット・プロムテップ君(13)は、仲間のやる気を引き出すのが上手く、チームメイトから非常に尊敬されているという。タイのいくつかのプロサッカークラブからスカウトを受けていたとの情報もある。
ミャンマー生まれのアドゥル・サムオン君(14)は複数の言語を話す。少年たちが英ダイバーにより最初に発見された際、ダイバーと会話できた唯一の少年だった。
少年たちが洞窟に閉じ込められた日は、ピーラパット・ソムピアンチャイ君の17歳の誕生日だった。少年たちはお菓子を持ち寄り、洞窟内で誕生会をしようとしていた。そのお菓子が、少年たちが苦難を生き抜く助けとなったとみられる。
サッカーチームの助監督、エーカポル・チャンタウォンさん(25)は、発見された当時グループの中で一番弱っていたという。報道によるとチャンタウォンさんは食べ物を何もとらず、少年たちに与えていた。
少年たちはどうやって洞窟内にたどり着いたのか
少年たちは1週間前、洞窟の入り口から約4キロのところで、救出に訪れた英ダイバーにより発見された。
11歳から17歳の少年たちは、サッカーチーム「ムーパ(イノシシ)」のメンバーで、コーチと共に洞窟内を遠足中に閉じ込められた。
洞窟は暗闇で深く、少年たちの発見には9日かかった。
世界のサッカーを統括する国際サッカー連盟(FIFA)は、15日にモスクワで行われるサッカーワールドカップ(W杯)決勝戦の座席を少年たちのために用意すると約束している。しかし、少年たちがこの提案を受けられるようになるかはまだわかっていない。


<解説>「逆境からの成果」――ダン・ジョンソン(タムルアン洞窟)
時計のように正確に救出作業は進んでいる。少年が1人救出されるごとに点滅灯が光り、救急車が洞窟の入り口にゆっくりと入っていく。1人が救出され、楽観的な見方が強まっていくごとに、歓声が起こる。色々な消息筋から情報が広まるようだが、タイ海軍特殊部隊のフェイスブックページが公式な最新情報を提供している。
危険に満ちた、入念で慎重な作業だ。そしてこの大胆で危険で複雑な救出計画は、今のところうまくいっている。これほどの逆境から、成果を出しているのだ。安心が少しずつ広がり、2週間以上も続いた緊張感が解けはじめている。
夜にはまた、作業が一時休止されている。誰も無理はしたくない。ダイバーたちの献身、能力、経験が称賛されている。ダイバーたちは難局を前に見事な働きを見せている。しかし少年4人とコーチは、地下で17回目の夜を過ごした。残る全員の脱出を期待して、我々は10日もまた、固唾を呑んで救出作業を見守る。











