「爆撃よりも病気で死亡する人の方が多くなる」とWHO 冬が迫るガザ避難所

ワイヤ・デイヴィス(エルサレム)、BBCニュース

ナリマンさんと生まれたばかりの娘
画像説明, ナリマンさんは娘のための薬を買うお金がないと話す

パレスチナ自治区ガザ地区南部の街ハンユニス郊外には、仮設テントか設置されている。避難者ですし詰め状態のこの場所で、ナリマンさんは赤ちゃんを抱いている。生後23日の娘は、イスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘が始まった後に生まれた。ナリマンさん一家はみな、病気になっている。

「娘の呼吸を助けるための医療支援が必要なのに、薬を買うお金すらありません」と、冬が迫り寒さが増す中、この若い母親は言う。「夫は重病で、幼い息子も昨日、病院で治療を受けなければなりませんでした」。

国連のアントニオ・グテーレス事務総長は、ガザ地区が「大規模な人道的大惨事」の真っただ中にあり、「世界は目をそらしてはならない」と訴えている。

現在、敵対行為は一時停止されている。ただ、これが仮に数日延長されたとしても、イスラエルは戦闘休止が終わればすぐに軍事攻撃を再開し、ガザ地区全域に残存するハマスの能力を標的にすると言明している。

そうなれば、すでに悲惨な人道状況が、特に南部ハンユニス周辺で悪化することになると、複数の援助機関は指摘している。ハンユニスには北部での戦闘から逃れてきた数千人が身を寄せている。

爆撃を受けたハンユニスの建物

画像提供, Reuters

画像説明, ガザ地区では100万人以上が家を追われたとされる。画像は爆撃を受けたハンユニスの建物

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国連などは過去6日間の不安定な戦闘休止で、7週間にわたった爆撃がどのような被害をもたらしたのか、また市民がいま何を緊急に必要としているのか、調べるがことが可能になっている。

「冬が近づく中、(ガザ地区南部の)ラファ検問所からは十分な援助が搬入されていない」と、ガザ地区の国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)のトーマス・ホワイト事務所長は言う。

激しい爆撃を受けたガザ市の一部と破壊されたインフラを視察したホワイト氏は、「避難者は、大勢の人でかなりすし詰め状態の、劣悪な衛生状態の中での生活を強いられている。こうした劣悪な衛生状態により、水下痢になるなど感染症がまん延することを非常に懸念している」と付け加えた。

ガザ地区の国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)のトーマス・ホワイト事務所長

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画像説明, ガザ地区の国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)のトーマス・ホワイト事務所長は、避難所で感染症がまん延することを非常に懸念していると話す

世界保健機関(WHO)は、避難者の生活環境と健康管理の欠如を考慮すると、「ガザ地区では爆撃よりも病気で死亡する人の方が多くなる可能性がある」と指摘している。

WHOによると、ガザ地区では10万人以上が急性呼吸器感染症にかかり、8万人が下痢に苦しんでいる。その半数は5歳未満だという。

一方、イスラエルはガザ地区で人道危機は起きていないとし、戦闘休止中は毎日200台ほどの援助トラックがガザ地区に入り、待ち望まれている食料や医薬品のほか、限られた量の燃料を届けていると主張している。

市民が切望している食料や医薬品、限られた量の燃料は、国連の倉庫や集積所を経由して配給されるが、すぐに底をついてしまう状況だ。

現在、100万人以上のガザ住民が家を追われ、仮設シェルターで暮らしているとみられる。

イスラエル軍の空爆が再開されれば、再び微々たる援助物資しかガザ地区には入ってこなくなるだろう。そして、数千人の避難者は、援助や資源がさらに少ない地域へと再び移動する羽目になるだろう。

動画説明, テント生活の避難者たち、冬用の服や毛布もなく……ガザ地区からBBC記者報告