【2022年サッカーW杯】 高揚感に包まれたアルゼンチンとフランスの悲嘆、決勝後のファンの反応
ケイティ・ワトソン(ブエノスアイレス)、ヒュー・スコフィールド(パリ)、BBCニュース

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サッカー・ワールドカップ(W杯)史上最もエキサイティングな決勝戦の1つとなったアルゼンチン対フランス戦で、アルゼンチンが勝利し、36年ぶり優勝を果たした。世界中でアルゼンチンのファンたちがこの勝利を祝福している。
一方でフランス代表は2大会連続のW杯優勝にあと一歩のところまで迫りながらも、勝利をつかみ取れず、ファンの間で失望や悲しみが広がった。

アルゼンチン、経済危機に直面する中での勝利

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アルゼンチンの首都ブエノスアイレスの街角では人々が勝利を喜んだ。高揚感と同時に、信じられないほどストレスの多かった試合から解き放たれた安堵感が漂っていた。アルゼンチンが2得点を挙げた試合前半に喜びを分かち合っていた市民は、後半にフランスに同点に追いつかれると、しんと静まり返った。その多くが頭を抱え、勝敗を分けた最後のペナルティーキック(PK)戦を直視することすらできなかった。
しかし、アルゼンチンの勝利が決まると、背番号10番のリオネル・メッシのユニフォームを着た何十万人もの人が国中で、サッカー界の伝説と、勝利した代表チームを祝福した。
街の中心で花火が上がる中、バーベキューを始める人やアルゼンチン・ステーキを焼く露天商が現れた。各地の祝勝会は深夜まで続くだろう。

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今回の試合は、アルゼンチンにとって勝ちたかったというだけでなく、勝たなければならないものだった。経済的に大きな打撃を受けているこの国で、国民は急上昇するインフレのため毎月のやりくりに苦労している。
エリという女性は、このW杯のおかげで幸せな気持ちになり、周りの人とひとつになることができたと、涙をこらえながら語った。
今大会は南米地域をも一つにした。隣国ブラジルはふだんはアルゼンチンにとって最大のライバルだが、そうしたライバル意識は一掃された。南米の人々が、アルゼンチンが優勝トロフィーをフランスから奪い返したことに誇りを感じているのが、手に取るようにわかる。

フランス、後半に望みをつなぐも失意の結果に

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決勝戦を見守ったフランスのファンは、まずは立ち上がりの暗い展開にうめき、続いて歓声を上げ、そして最後に涙した。準優勝という、W杯で最も悲しい結果に見舞われたからだ。
これまであれほどキラキラと輝いていたフランス代表は、どうしてしまったのか――。多くのフランス・サポーターは試合前半、まるでスローモーションのように動く選手たちを眺めながら、当惑していた。
0‐2でハーフタイムに入る前に、ランダルコロ・ムアニを送り込んでようやく、フランスは本来の勢いを見せ始めた。
そして、今回またしても見事な働きをしたのは、エースのキリアン・エムバペだった。ハットトリック達成はW杯の記録に残る。彼の輝かしい活躍によって、フランスはいきなりチャンスを取り戻した。

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そのチャンスは一度ではなく二度も訪れた。延長戦では終盤のPKで再び3‐3の同点に追いつき、最もセンセーショナルな逆転劇を演じるかと思われた。
どんな偉大なチームもいずれはトップから転落するものだと物語るような、退屈で陰鬱(いんうつ)な展開で始まった試合が、がらりと変わった。運命とは、絶望する人に希望を与えるものなのだと、そんな素晴らしい教訓がサッカーを通じて得られようとしていた。
ただ、その状況は長くは続かなかった。PK戦での決着となった時点で、ほとんどのファンは察していたようだ。フランスのGKウーゴ・ロリスは、一対一が決して得意ではないからだ。
現地時間18日午後7時過ぎにすべてが終わった。ファンが集まったカフェは静まり返り、誰かがテレビを消した。そして雨が降る寒い夜の中に人々は消えていった。対するブエノスアイレスは春だ。ジャカランダが咲き乱れている。









