【2022年サッカーW杯】 アルゼンチン、PK戦でフランス破り36年ぶり優勝 メッシが夢実現

フィル・マクナルティ・サッカー担当主任記者、ルサイル・スタジアム、ドーハ

Lionel Messi celebrates

画像提供, Getty Images

画像説明, アルゼンチンのメッシ(中)は今大会の最優秀選手(MVP)にあたるゴールデンボール賞に選ばれた

サッカーのワールドカップ(W杯)カタール大会は18日夜(日本時間19日未明)に決勝があり、アルゼンチンがペナルティーキック(PK)戦の末にフランスを破って36年ぶり3回目の優勝を果たした。最後のW杯だと明言しているリオネル・メッシ(35)は、ついに夢をかなえた。

ルサイル・スタジアムで行われた決勝は、大会史上最高の戦いの1つとなった。大方の予想どおり、アルゼンチンのマエストロのメッシと、フランスのエースのキリアン・エムバペ(23)の対決となり、最後はアルゼンチンがPK戦を4-2で勝利した。エムバペは、1966年大会以来となる、決勝でのハットトリックを達成した。

アルゼンチンは前半を2-0とリードして折り返し、メッシは輝かしい経歴に1つだけ欠けていたW杯優勝のタイトルを悠々と確保したかに思われた。ところが後半、エムバペが1分間に2ゴールを決める爆発的な反撃で、試合を同点に引き戻す展開となった。

劇的な展開

メッシは前半23分、アルゼンチンのアンヘル・ディ・マリアが、フランスのウスマヌ・デンベレからファウルを受けて得たPKを決め、アルゼンチンがリードした。これでメッシは、同一大会の1次リーグ、ベスト16戦、準々決勝、準決勝、決勝のすべてで得点した史上初の選手となった。

メッシはその13分後にも、チームの見事なカウンターアタックによる2点目を演出。繊細なタッチでアレクシス・マック・アリスターにボールを送ると、最後はディ・マリアがシュートを決めた。

アルゼンチンはそのまま終盤まで、危なげない試合運びを見せた。しかし後半残り9分になって、エムバペがフランスに活路を開く。PKを成功させると、その直後に見事なボレーシュートも決め、同点に追いついた。

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試合は延長戦へ。ここでもメッシがボールをゴールに押し込みアルゼンチンが再びリードしたが、終了2分前にまたもやエムバペがPKに成功。この試合3点目を挙げ、引き分けに持ち込んだ。

決選はついにPK戦に突入。2人の偉大なプレーヤーはそれぞれ、チームの1人目のキッカーを務め、共にゴールした。しかしフランスは、2人目キングスレイ・コマンが、アルゼンチンのGKエミリアーノ・マルティネスにセーブされる。フランスはさらに、3人目のオーレリアン・チュアメニも失敗。ここまで全員成功のアルゼンチンは、4人目のゴンサロ・モンティエルが決め、勝利をつかんだ。

ついにW杯の勝者となったメッシがセンターサークルで崩れるようにして膝をつくと、歓喜するチームメイトが彼を包んだ。

動画説明, 【2022年サッカーW杯】 衝撃と論争と数々のゴール……カタール大会を2分で振り返る

涙のメッシ、頂点に

決勝戦では一時、キャリアの頂点を極めたメッシを、偉大なライバルのエムバペが最後の最後に打ちのめし、絶望に追いやるかに見えた。

だが、今回のW杯は今後永遠にメッシの名前と共に語られることになった。しかも、決勝戦は過去最高級の内容だった。アルゼンチンを象徴する名プレイヤーにとって、まさに期待通りの結果となった。

アルゼンチンがPK戦の末に優勝を決めると、メッシは涙を流しながら膝をつき、両手を空に突き上げた。その彼を、歓喜に沸くチームメートたちが取り囲んだ。

念願の聖杯を手にしたメッシはその後、マイクの前に立ち、大喜びするアルゼンチンのファンに勝利を報告した。彼こそがサッカー史上最も偉大な選手だと、大勢が評価する、その証拠がまたひとつ積み上がった。

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エムバペ、敗れても歴史に名

フランスのエムバペは、W杯史上2人目となる、決勝でのハットトリックを達成。現代の名選手の1人として地位を固めた。ただ、この若きエースは、まだ敗戦の痛みを感じている(最初に決勝でハットトリックを成し遂げたのは、1966年大会で西ドイツを破って優勝したイングランド代表のサー・ジェフ・ハースト)。

フランスはこの試合、W杯で60年ぶりとなる連覇がかかっていた。達成すれば、イタリア(1934、1938年)とブラジル(1958、1962年)に次ぐ3チーム目となるはずだった。しかし、エムバペは他のチームメート同様、最初の80分間は目立ったプレーを見せなかった。この間、フランスの試合ぶりは不思議なほどお粗末なものだった。

ディディエ・デシャン監督は、ハーフタイムに入る前に早々に2人を交代。オリヴィエ・ジルーとデンベレを下げ、マルクス・テュラムとランダル・コロ・ムアニを送り込んだ。

しかし、フランスの息を吹き返らせたのはエムバペだった。衝撃的な数秒間で、臆病な敗者のようだったフランスを、勝者になるかもしれない状況まで引き上げた。メッシが再び得点してアルゼンチンがリードすると、エムバペはPKで3点目を奪い取り、劣勢を吹き飛ばした。

延長戦では両チームともチャンスを作り、フランスに勝機もあった。ムアニのシュートが逆転のチャンスだったものの、アルゼンチンのGKマルティネスが思い切り足を伸ばして素晴らしいセーブを見せた。

この感動的なスペクタクルの最後に、エムバペは、チームメートとフランスのエマニュエル・マクロン大統領の抱擁を受けた。だが彼にとって過去は、何の慰めにもならない。