気候変動を抑えるには……7つの方法

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気候変動による甚大な被害を阻止するには、英グラスゴーで開かれている国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)が、最後のチャンスだとされてきた。
気候問題の専門家が集まる国連機関は今年8月、工業発達以前に比べた気温上昇が今後20年以内に1.5度に達してしまう可能性があると警告した。今後数十年の間に、二酸化炭素などの温室効果ガスの排出が大幅に減少しない限り、「21世紀中に、地球温暖化は摂氏1.5度及び2度を超える」とも警告した。
その場合、酷暑や熱波、大規模な自然破壊や自然災害、地表の砂漠化、海面の上昇、生態系の破壊など、様々な影響が地球と地球上の生物にもたらされると懸念されている。
このような壊滅的な事態を避けるため、約200カ国・地域の代表や環境活動家、経済界の関係者らがグラスゴーに集まったわけだが、各国はたくさんの演説をして記念撮影をして、合意をまとめるほかに、実際にどのような具体的な対策をとる必要があるのだろうか。
1. 化石燃料はそのまま地中に残す
石油、ガス、そして特に石炭といった化石燃料を燃やすと、二酸化炭素が大気の中に放出される。これが原因で、太陽光で暖められた地表の熱が大気内にとどまり、再び地表の温度を上げる「温室効果」が発生してしまう。
化石燃料を多く使うようになった工業発達以前の気温から、地球の気温上昇を摂氏1.5度にとどめることが、壊滅的な気候変動を食い止めるために必須だとされている。
今回のCOP26では、190の国と企業が「脱石炭」を約束した。これらの国と企業は、国内外での新たな石炭火力発電への投資を、段階的にすべて終了することを約束した。
しかし、オーストラリアやインド、中国、アメリカなど、世界最大の石炭依存国の一部は、脱石炭に関する文書に署名しなかった。
2. メタン排出を減らす
国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は今年8月、すでに起きてしまった摂氏1度の気温上昇にメタンが大きく関わっていると報告した。メタンの排出削減は、気候危機対策に大きく貢献すると期待されている。

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油田やガス田から発生する遊離天然ガスを燃やす際に、「フレア」と呼ばれる炎が上がる。この作業を通じて大量のメタンが大気中に放出されるが、油田設備を技術的に改良することで「フレア」は必要なくなる。
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ごみの埋め立て地からもメタンが大量発生するため、ごみの処分方法の改良も、メタン削減には重要な対策となる。
COP26では、アメリカと欧州連合(EU)が先頭に立ってメタン排出量削減合意を取りまとめ、約100カ国・地域が同意した。この「グローバル・メタン・プレッジ」は、2020年水準から30%、メタン排出量を削減するという内容。
3. 再生可能エネルギーに切り替える
発電と発熱に関わる産業は、経済界で最もたくさんの温室効果ガスを排出する。
世界のエネルギー体制を化石燃料に依存するものから、化石燃料を使わない「クリーン」なエネルギー技術を中心にしたものに転換させることを、「脱炭素」と言う。人間のエネルギー使用の「脱炭素」化は、気候変動対策の目標達成に不可欠だ。

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2050年までに温室効果ガスの実質的な排出量をゼロにするいわゆる「ネットゼロ」実現の目標を、各国が達成するには、国内で様々なエネルギー源を組み合わせて使う「エネルギー・ミックス」において、風力や太陽光による発電が主流にならなくてはならない。
しかし、それには課題もある。
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風があまり吹かなければ、発電される電力の量は減る。これについては蓄電技術の向上によって、風力など再生可能エネルギーから作られる余剰電力を今より効率よく蓄え、必要な時に使えるようになる。技術革新が注目されている。
4. ガソリンやディーゼルの使用をやめる
私たちは移動手段にしている乗り物の燃料も、変えていかなくてはならない。
ガソリンやディーゼル(軽油)を使う自動車の使用をやめて、電気自動車に切り替えるのは不可欠だ。

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トラックやバスには、水素燃料が使える。理想的にはこの水素燃料を作る際にも、再生可能エネルギーを使うべきだ。
すでに航空機用の燃料としても、従来よりクリーンな燃料の開発研究が進んでいる。ただし気候活動家たちは、誰もが飛行機に乗る回数を減らすべきだと呼びかけている。
5. もっと木を植える
2018年の国連報告によると、気温上昇を1.5度未満に抑えるという目標達成を現実のものにするには、私たちはすでに大気に放出された二酸化炭素を吸収しなくてはならない。
森林は二酸化炭素の吸収源として優れており、多くの科学者や活動家は森林破壊を食い止め、自然環境を保護する必要性を強調する。
COP26では日本を含む世界100カ国超が、2030年までに森林破壊を終わらせると約束する文書に署名した。

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大規模な植林は、二酸化炭素の排出を相殺する手段として、多くの政府や企業に注目されている。
ただし、多くの科学者は、あくまでも現在の排出量を大幅に減らす必要があり、現状のまま排出を続ける場合は、植林による二酸化炭素吸収効果は期待できないとしている。
各国政府が温室効果ガスの排出量をできる限り減らす努力を重ねた上で、それでも残る排出量を相殺するという意味では、植林や森林の保全はおそらく重要な意味をもつことになる。
6. 大気から温室効果ガスを取り除く
大気中の二酸化炭素を人為的に回収して取り除く、あるいはそもそも二酸化炭素が大気に排出されないようにする、新技術も注目されている。
米テキサス州の「カーボン・エンジニアリング」やスイスの「クライムワークス」などによるものを含め、いくつかの二酸化炭素回収施設がすでに稼働中だ。どちらも巨大ファンを使い、二酸化炭素を吸収するフィルターに空気を通す仕組みになっている。

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空気中の二酸化炭素を回収するこの仕組みのほか、二酸化炭素が発生する石炭火力発電所などの「発生源」で二酸化炭素を回収し、地下深くに貯留する技術も開発中だ。
しかしこの技術は高価で、かつ化石燃料依存を助長するものになりかねないと、環境活動家たちからは批判されている。
7. 貧しい国へ経済支援
2009年にコペンハーゲンで開かれたCOP15では、裕福な国は貧しい国の気候変動対策を支援するため、2020年までに1000億ドルを拠出すると約束した。
この目標は達成できていない。しかしCOP26の議長国イギリスはこのほど、この支援を2023年までに実現するための計画を発表した。

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石炭に大きく依存する貧困国の多くは、深刻なエネルギー不足に直面する。エネルギー不足はそうした国でとりわけ貧困層を苦しめるほか、新型コロナウイルスのパンデミックからの回復をも脅かしている。こうした様々な要因で、貧しい国は二酸化炭素を大量に排出する産業から離脱できずにいる。
貧困国が化石燃料から再生可能エネルギーの使用へと転換していくためには、今後も継続的な資金援助が必要だという専門家の声もある。たとえばアメリカ、イギリス、欧州連合(EU)は11月初め、南アフリカの石炭脱却を支援するため、85億ドルの資金援助を約束した。

COP26の重要ポイント
- 気候変動は地球が直面する最重要課題のひとつ:地球の温度がこれ以上大幅に上昇しないようにするには、各国政府は今まで以上に大胆にCO2などの温室効果ガスの排出を減らすと約束する必要がある
- 大国の約束に注目:アメリカや中国など、世界でも特に大量の温室効果ガスを排出する各国が、何を約束するかが重要。同時に、環境破壊による被害が特に大きい発展途上国に、どのような支援が約束されるかにも注目が必要
- 私たち全員の暮らしが変わるかもしれない:英グラスゴーで開かれているこの会議の結果、私たちの仕事、家の暖房や冷房の仕方、何を食べて、どのように移動するかなど、生活の様々な側面が変化するかもしれない











