【COP26】 最多の代表を送り込んでいるのは化石燃料産業
マット・マグラス環境担当編集委員

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世界の気候変動対策を話し合うため英スコットランド・グラスゴーで開かれている国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)に、どの国よりも多くの代表を送り込んでいるのは化石燃料産業だという調査が明らかになった。会議開始時に国連が発表した参加者リストを、環境保護団体「グローバル・ウィットネス」が検証した。
「グローバル・ウィットネス」によると、化石燃料産業とかかわりのある503人が、COP26の参加資格を認定されている。石油・ガス産業のロビー活動を請け負った人たちで、COP26の参加は禁止されるべきだと、環境保護団体は批判している。
「化石燃料業界はもう何十年も、気候危機を否定し、具体的な対策を遅らせてきた。だからこそ今、これほど巨大な問題になっている」と、「グローバル・ウィットネス」のマリー・ワージー氏は言う。
「化石燃料業界の影響力こそ、国連の気候変動交渉が25年間続いても、地球全体の排出量が実質的に削減されてこなかった最大の要因だ」
COP26の参加者は約4万人。国連資料によると、479人が登録されているブラジル政府の代表団が、公式代表団では最大。
議長国イギリスの代表団は230人。
化石燃料業界のロビイストとはどういう人を指すのか。
出席者リストを検証した「グローバル・ウィットネス」や「コーポレート・アカウンタビリティー」など複数の環境保護団体は今回の調査で、石油会社やガス会社の利益を代表する業界団体やグループの一員を、化石燃料業界のロビイストと定義している。
COP26出席者のうち503人が、そうした化石燃料業界の利益団体に関連するか、化石燃料業界に雇われているという。
それ以外にも、次のことが明らかになった。
- カナダとロシアの両政府代表団に、化石燃料業界のロビイストが加わっている
- COP26では、過去20年間の気候変動で最も甚大な被害を受けた8カ国の代表団の合計人数よりも、化石燃料業界の代表の人数が多い
- COP26には化石燃料企業が100社以上、参加している。30以上の関連業界団体なども現地入りしている
- 化石燃料業界のロビイストの人数は、国連気候変動枠組み条約の締約国に住む先住民の人口の2倍
「グローバル・ウィットネス」などによると、COP26に参加している最大級の業界団体は国際排出量取引協会(IETA)で、103人が出席している。この中には、石油・ガスを生産する英BPの3人が含まれる。
「グローバル・ウィットネス」によると、IETAは多くの主要石油会社の支援を受けている。そうした主要石油会社の多くは、炭素排出枠を取引・相殺する仕組みの活用を通じて、石油やガスの掘削を今後も続けようとしているとされる。
「IETAは非常に多くの化石燃料企業が参加する業界団体だ。化石燃料企業が推進する目標の実現を目指し、化石燃料企業の利益推進のために存在している」とワージー氏は言う。
「(化石燃料業界は)一見、気候変動対策のように見えるための解決策を提示する。しかし実際にはそれは現状維持のための提案にすぎない。気候危機の真の解決策は化石燃料を地中にとどめることで、そのための明確で単純な対策をとる必要があるが、(化石燃料業界の)提案はそれを妨げる」
一方、IETAは自分たちの使命は、温室効果ガスの排出量を最も効果的に減らす、市場ベースの手段を見つけることだと説明。加盟企業は化石燃料業界の各社だけでなく、多岐にわたるとしている。
「弁護士事務所や不動産開発業者、クリーンテクノロジーの実用化を世界各地で進めている人たち――そういう人たちも、IETAに加盟している」と、IETA広報担当のアレッサンドロ・ヴィテッリ氏は言う。
「今日や明日にいきなり何もかもが一斉に停止して、化石燃料の燃焼から生じる温室効果ガスの排出がいきなりなくなるなど、そんなことはあり得ない。現在は移行段階の手続きの最中で、その移行を確かなものにするには、炭素市場こそ最善の方法だ」
これに対して環境団体は、世界保健機関(WHO)がたばこ禁止に本腰を入れるようになったのは、WHO会合からたばこ産業のロビイストが全員締め出された後だったと主張する。環境活動家たちは、石油・ガス各社とそのロビイストを同様にCOPから締め出すべきだと主張している。
「シェルやBPといったたぐいの石油メジャーは、化石燃料を増産すると堂々と認めながら、こういう会議に出席している」と、環境保護団体「Corporate Europe Observatory」のパスコー・サビド氏は言う。「Corporate Europe Observatory」も、今回の出席者検証に参加した。
「気候変動に本気でもっと意欲的に取り組むのなら、化石燃料ロビイストを交渉の場から締め出すべきだ」

COP26の重要ポイント
- 気候変動は地球が直面する最重要課題のひとつ:地球の温度がこれ以上大幅に上昇しないようにするには、各国政府は今まで以上に大胆にCO2などの温室効果ガスの排出を減らすと約束する必要がある
- 大国の約束に注目:アメリカや中国など、世界でも特に大量の温室効果ガスを排出する各国が、何を約束するかが重要。同時に、環境破壊による被害が特に大きい発展途上国に、どのような支援が約束されるかにも注目が必要
- 私たち全員の暮らしが変わるかもしれない:英グラスゴーで開かれているこの会議の結果、私たちの仕事、家の暖房や冷房の仕方、何を食べて、どのように移動するかなど、生活の様々な側面が変化するかもしれない












