長期的なコロナ症状、感染者の40人に1人 予測下回る=英統計局

picture of lady looking out of a window

画像提供, Getty Images

イギリスの国家統計局(ONS)は16日、新型コロナウイルスの感染者のうち、症状が少なくとも3カ月続くいわゆる「Long Covid(長期コロナ感染症)」になった人は、40人に1人の割合だと発表した。

ONSは今年4月の報告書で、感染者の10人に1人がこうした症状に見舞われるだろうと予測していた。

しかし、最新の報告書によると、大規模で包括的分析の結果、長期的な症状に見舞われる患者は予想よりも少ないことが示されたという。

一方で、長期コロナ感染症になる条件は十分に解明されていないほか、世界共通の定義も決まっていないため、研究によって扱われる数値が異なっているのが現状だ。

ONSの最新の分析では、検査で陽性になった人と、そうでない人の2つのグループに、以下の症状があるかどうかを聞いた。

  • 発熱
  • 頭痛
  • 筋肉痛
  • 体力低下・虚弱
  • 疲労感
  • 吐き気
  • 腹部の痛み
  • 下痢
  • のどの痛み
  • せき
  • 息切れ
  • 味覚異常
  • 嗅覚異常

その結果、検査で陽性が判明した人の約3%で、感染から少なくとも3カ月たっても、この中の少なくとも1つの症状がみられることが分かった。

一方、陰性だった人では、この割合はわずか0.5%だった。このことから、感染者の40人に1人は新型ウイルスの症状を3カ月以上、持っていることが明らかになった。

How long do coronavirus symptoms last?
画像説明, 新型コロナウイルスによくある症状がどれくらい続いているかを、検査で陽性だった人(青)と陰性だった人(オレンジ)に聞き、それぞれの割合をグラフ化した。12週間(3カ月)後の時点で、陽性者の3%が症状が残っていると答えたのに対し、陰性者では0.5%にとどまった

また、この分析では他の報告と同様、感染から12週間後も何らかの症状を持つ可能性が最も高いのは、既往症のある50~69歳の女性だという結果が出ている。

さらに、検査時の体内のウイルスレベルが高かった人ほど、長期的なコロナの症状に見舞われやすいことも示されたという。

ONSは報告書の中で、長期コロナ感染症の研究では機関ごとに定義が違うほか、より多くの症状を含めたり、対象者が違ったり、データ収集法もさまざまだと指摘した。たとえば、陽性者と感染疑いの人々を一緒に対象としている研究もある。

一方でONSの分析には、長期的なコロナの症状のある人が頻繁に訴える「ブレイン・フォグ(脳の霧)」と呼ばれる症状が含まれていない。ブレイン・フォグは、思考が遅くなる、考えがまとめられない、不明瞭になるといった症状だという。

そこでONSでは被験者に、症状一覧のほかに、「長期コロナ感染症を患っているか」という質問も聞いたところ、陽性者の9人に1人が「はい」と答えた。

英オープン大学のケヴィン・マコンウェイ名誉教授(統計学)は、ONSの報告書は長期コロナ感染症の定義があいまいすぎると指摘している。

「そのこと自体は心配していない。パンデミックのこの時期に、長期コロナ感染症のような新しく複雑な事柄の予測値を出せば、大きく違ってくるものだ。ここで重要なのは、研究の関係者らがやるべきことについてオープンに議論を重ね、立場を明確にすることだ」

「しかし一方で、どんな定義、どんな数え方であれ、こうした症状を持つ人々への支援の立ち上げや改善が、議論によって中断されてはいけない

2px presentational grey line

<解説> ONSの数値は現時点で最善のものか? ――ロバート・カフ、BBC統計主任

ONSの研究は大規模で、詳細で、非常に慎重にまとめられている。

5万人以上のデータを参照し、そのうちの半数は新型ウイルス検査で陽性が判明した人たちだ。

また、対象者は無作為に選ばれているため、感染者とそうでない人々を比較していると明言できる。すべての分析で、こうした条件が整うわけではない。

ONSは、被験者に特定の症状について聞くと同時に、自己診断で長期コロナ感染症かどうかも調べた。

その上で、今回の推定は大勢の人々を追跡調査し、統計的分析も改善したため、4月の報告書での推定よりも実態に近いと述べている。

長期コロナ感染症の分析で、完璧なものはない。ONSの分析も、ありがちな症状を除外している。

それでも、今回の報告は長期コロナ感染症の研究に大きな成果を加えた。また、ありがたいことに、この症状に悩む人は予想よりも少ないと示してくれた。

2px presentational grey line