【米大統領選2024】バイデン氏、米大統領選からの撤退を表明 後任候補にハリス副大統領を支持

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アメリカのジョー・バイデン大統領(81)が21日、11月の大統領選から撤退すると表明した。年齢と認知機能への懸念から、民主党内で撤退を求める声が高まっていた。同党は後任選びを急ぐ。バイデン氏は自分に代わる大統領候補として、カマラ・ハリス副大統領(59)を支持している。
バイデン氏は ソーシャルメディアに投稿した手紙で、自分が選挙戦から退き、大統領としての職務に専心することが「党と国の利益にとって最善」だと、撤退理由を述べた。来年1月まで残っている大統領任期は全うする考え。
ハリス副大統領は、バイデン氏の支持を「光栄に思う」と述べ、「この指名にふさわしい者として、指名を勝ち取る」と付け加えた。そして、共和党のドナルド・トランプ候補に対抗するため、国を団結させると述べた。
ハリス氏はまた声明を発表し、「投票日まであと107日だ」、「一緒になって戦おう。一緒なら私たちは勝利する」と呼びかけた。
ただ、民主党の後任候補としては、有力議員ら他の何人かの名前も取り沙汰されている。同党は8月19日にシカゴで全国大会を開く予定で、そこで大統領候補を選出する。
今後、同党がハリス氏支持でまとまらなければ、党大会の場で後継者争いが繰り広げられる可能性もある。
バイデン氏をめぐっては、6月27日のトランプ前大統領とのテレビ討論会で精彩を欠き、時に支離滅裂とも思える発言もあったことから、再選を懸念する声が噴き出した。民主党内は混乱状態に陥ったが、今回の撤退表明で、それが収まっていくとみられる。
民主党の献金者や連邦議員数十人らがバイデン氏に撤退を公に求めてきた時期、政権奪還に向けて勢いづくトランプ前大統領は、世論調査で優勢に立った。今月13日には暗殺未遂事件を生き延び、その5日後にミルウォーキーで開かれた共和党全国大会で、同党の大統領候補に正式に指名され受諾した。
トランプ候補は21日、バイデン氏について、「立候補できる状態ではなかったし、(中略)間違いなく、職務を果たせる状態でもなかった」と述べた。共和党の幹部らもこれに同調し、バイデン氏に対し、直ちにホワイトハウスを去るよう求めた。
民主党のバラク・オバマ元大統領、チャック・シューマー上院院内総務、ナンシー・ペロシ元下院議長ら数十人の幹部や重鎮は、バイデン氏の決断と、これまでの業績をたたえた。
ただ、ハリス氏に対する支持については、即座に受け入れている人ばかりではない。
ビル・クリントン元大統領と、その妻で2016年大統領選で民主党候補となったヒラリー・クリントン元国務長官は、ハリス氏を支持するとし、「彼女を選出するために全力で戦う」と表明した。
一方、オバマ氏は、「傑出した候補者が現れる」という「並々ならぬ確信」をもっているとしたが、ハリス氏への支持は明確にしていない。
ペロシ氏はコメントを発表していない。
バイデンに撤退を求めた最初の民主党上院議員となったピーター・ウェルチ氏は、ハリス氏の党候補者としての指名には「開かれたプロセス」が必要だと主張した。
後任候補はバイデン氏を称賛
バイデン氏の後任候補として名前が取り沙汰されている民主党議員や政治家の何人かは、バイデン氏の大統領としての業績を称賛した。しかし、バイデン氏がハリス氏を支持したことについては、いずれもコメントを避けた。
ミシガン州のグレッチェン・ウィトマー知事は、「これまでと同様、(中略)民主党員を当選させ、ドナルド・トランプを阻止するために全力を尽くす」と述べた。
カリフォルニア州のギャヴィン・ニューソム知事は、バイデン氏を「無私の」大統領だとしてたたえた。そして、ハリス氏への支持を表明する、以下の声明を出した。
「タフ。恐れ知らず。しぶとい。この国の民主主義がのるかそるかの状態で、私たちの未来が危ぶまれる中、ドナルド・トランプの暗いビジョンを否定し追及し、この国をもっと健康な方向に導くには、アメリカの副大統領、カマラ・ハリスほどふさわしい人はいない」
ピート・ブティジェッジ運輸長官も、バイデン大統領を「米史上最高の、最も影響力のある大統領の1人としての地位を自ら得た」とたたえたうえで、ハリス副大統領の指導力を称賛し、ハリス氏を次の大統領に当選させるために全力を尽くすと表明した。
激戦州ペンシルベニア州知事のジョシュ・シャピロ氏は、バイデン氏が「現代史で最も影響力のある大統領」の一人だとたたえたうえで、「カマラ・ハリス氏を第47代大統領に選出するために全力を尽くす」と声明を発表した。
民主党全国委員会は、資金調達委員会の名称を、「ハリス勝利基金」と「ハリス行動基金」に変更することを申請した。
バイデン選対本部がX(旧ツイッター)で運営していた公式アカウントは、発表後に間もなく「@BidenHQ」から「@KamalaHQ」に名称を変更し、最初の投稿で「カマラ選対本部へようこそ」と書いた。
民主党内のリベラル勢力の間で影響力を持つアレクサンドリア・オカシオ=コルテス下院議員(ニューヨーク州)も、「カマラ・ハリスが次の合衆国大統領になる。私は、彼女が11月に確実に勝利するよう、全面的に支援すると誓う」、「さあがんばろう」とXに書いた。
民主党の大口献金者の一人、リンクトインの共同設立者リード・ホフマン氏と、投資家のアレクサンダー・ソロス氏は、ハリス氏への支持を公に表明。ホフマン氏はXで、「カマラ・ハリスとドナルド・トランプの二者択一を迫られたとき、私はアメリカ国民が国のために正しい決断をすると信じている」と書いた。
他方、親トランプ派の選挙基金「メイク・アメリカ・グレート・アゲイン」は、バイデン氏の撤退表明から1時間もたたないうちに、「彼女はジョーの明らかな認知の衰えを隠した」として、ハリス氏を攻撃する広告を投稿した。
トランプ前大統領も、「左派が今さら誰を擁立しても、同じことの繰り返しだ」と付け加えた。

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数週間続いた懸念
バイデン氏はわずか2週間ほど前には、世界が注目する北大西洋条約機構(NATO)の首脳会議をワシントンで開催した。
しかし、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領を間違えて「プーチン大統領」と紹介したり、ハリス氏を「トランプ副大統領」と呼んだりし、6月以降膨らんできた民主党内のバイデン氏に対する不安が弱まることはなかった。
一時は「全能の主」だけが自分を撤退させることができるとインタビューで語っていたバイデン氏だったが、その後、健康状態に問題があれば撤退を検討すると述べた。今月19日には新型コロナウイルスの陽性と確認され、隔離状態に入ったが、翌週には選挙戦に復帰すると宣言していた。
バイデン氏は21日に出した声明文で、ハリス氏に感謝するとともに、同氏を「傑出したパートナー」だとした。
「そして、アメリカ国民の皆さんが私を信じ信頼してくれたことに、心からありがとうございますと申し上げます」と続けた。
その上で、「今の私は今までと変わらずに信じています。私たちが一緒になってやる限り、アメリカにできないことなどないと。私たちはアメリカ合衆国なのだと、私たちはただそのことを覚えておく必要があります」とした。
民主党全国委員会の関係者は21日夜、緊急会議を開いた。同党にとっては、来月19日の党全国大会が今後の焦点となる。
党の予備選ではバイデン氏が圧勝を収めた。そのため、各州の代議員は、党大会でバイデン氏に投票することを誓約している。ただ、状況の変化を受け、別の候補者に投票することが認められる見通し。












