「手違い」で中米に強制送還の男性、米最高裁がトランプ政権に帰国支援を命令

米メリーランド州で暮らしていたキルマー・アブレゴ=ガルシア氏

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画像説明, 米メリーランド州で暮らしていたキルマー・アブレゴ=ガルシア氏

アメリカの連邦最高裁判所は10日、ドナルド・トランプ政権に対し、中米エルサルバドルの巨大刑務所に「手違い」で強制送還したメリーランド州の男性の帰国を容易にするよう命じた。

トランプ政権は先に、キルマー・アブレゴ=ガルシア氏(29)を誤って送還したことを認めたが、同氏をアメリカに戻すよう命じたメリーランド州の連邦地方裁判所の命令を差し止めようとしていた。

連邦最高裁は7日、この問題を検討する間、地裁の命令の一時差し止めを認めた

しかし連邦最高裁は10日、判事9人の全員一致で、地裁命令を阻止することを拒否した。

判事らは、「政府に対し、エルサルバドルでのアブレゴ=ガルシア氏の拘束からの解放を『容易』にし、彼が不適切に送還されなかった場合と同様に、その案件に対処することを要求する」と命令した。

アブレゴ=ガルシア氏は10代だった2011年に、エルサルバドルからアメリカに不法入国した。2019年にメリーランド州で別の男性3人と共に逮捕され、連邦移民当局の施設で拘束された。その後、エルサルバドルのギャングから迫害される恐れがあるとして、強制送還を差し止める保護処分の対象になった。

アブレゴ=ガルシア氏は現在、犯罪行為やギャング活動の疑いでアメリカから強制移送された男性数百人と共に、エルサルバドルの悪名高い巨大刑務所、テロ監禁センター(CECOT)に収監されている。

アブレゴ=ガルシア氏の妻で米国民のジェニファー・バスケス=スーラ氏は、夫の解放を求めている。アブレゴ=ガルシア氏は先月拘束されるまで、板金工として働いていたと報じられている。

メリーランド州のポーラ・ジニス連邦地裁判事は4日、トランプ政権に対し、アブレゴ=ガルシア氏の帰国を「支援し、実現する」よう命じた。

米政府は、アブレゴ=ガルシア氏が3月15日に「行政上の手違い」により送還されたと認めた一方で、同氏がギャング団「MS-13」のメンバーだと主張している。同氏の弁護士は、これを否定している。

トランプ政権は、連邦地裁には帰国命令を下す権限がなく、米当局がエルサルバドルにガルシア氏の返還を強制することもできないと主張。連邦最高裁に緊急の訴えを起こしていた。

ディーン・ジョン・サウアー訟務長官は最高裁への訴えで、「アメリカは主権国家エルサルバドルを支配していないし、連邦判事の命令に従うようエルサルバドルに強制することはできない」と主張。「憲法は連邦地方裁判所ではなく大統領に外交の遂行と、外国人テロリストの排除を含む外国人テロリストからの国家保護という職務を課している」とも書いていた。