イスラエルのガザ攻撃、死者6万人超す ハマス運営の保健当局が発表

画像提供, Reuters
マロリー・メンシュ
イスラム組織ハマスが運営するパレスチナ・ガザ地区の保健当局は29日、2023年10月に始まったイスラエルの軍事作戦に殺害されたガザでの死者が、6万人を超えたと発表した。
ハマス運営のガザ保健省によると、ガザでの死者は6万34人に達した。うち1万8592人は子供、9782人は女性だった。
また、29日午前までの24時間で、少なくとも112人が殺害され、そのうち22人は援助物資を確保しようとした際に殺害されたという。
29日にかけての夜間攻撃や同日朝の攻撃で、複数の住宅が被害を受けて死者が出たと、複数の病院関係者や目撃者はBBCに証言した。死者には女性や子供が含まれるという。
現在の戦争は、2023年10月7日にハマスがイスラエル南部を奇襲したことで始まった。この攻撃では民間人を中心に約1200人が殺害され、251人が人質に取られた。
イスラエルは報復として、ガザでの軍事作戦を開始した。
ガザ各地で攻撃続く
ガザ中部ヌセイラトでは、夜間と29日朝に住宅への攻撃があり、女性14人と子供12人を含む30人が殺害されたと、アル・アウダ病院が報告している。
犠牲者の多くは親族同士で、そのうち19人がアブ・アタヤ、シヤムナ、ブハン各一家のメンバーだった。
ナセル病院によると、南部ハンユニス沿岸部のアルマワシでは、避難民用のテントがイスラエルの攻撃を受け、アル・アガ一家の4人が殺害され、ほかにも負傷者が出た。
地元の病院関係者や目撃者は、ハンユニスではほかに9人が殺害されたと証言している。
北部ガザ市では、アル・バトシュ一家が所有するアパートがイスラエルのミサイル攻撃を受けて2人が死亡、複数人が負傷したと、アル・シファ病院が発表した。。その後も攻撃があり、一家の5人が殺害された。
救助隊は、別の攻撃で負傷した人々にたどり着こうとしているが苦戦しているという。
アル・アウダ病院はまた、ガザ中部にある援助物資配給拠点近くでもイスラエル国防軍(IDF)の攻撃があり、少なくとも14人が殺害され、100人以上が負傷したとしている。
IDFは、「調査したところ、こうした報告とは対照的な結果が示された。援助物資配給拠点近くでIDFが発砲し、死傷者が出たという事実は確認されていない」と説明した。
IDFはヌセイラトで「複数のテロ目標」を攻撃したが、「民間人への被害リスクを軽減する措置を講じた」としている。
BBCはその他の攻撃について、IDFにコメントを求めている。
「テロリストを排除」とイスラエル、民間人への攻撃は否定
IDFはメッセージアプリ「テレグラム」に声明を投稿。過去24時間のハンユニスへの攻撃で、「脅威を与える複数のテロリストを排除した」ほか、「テロリストのインフラや複数の武器貯蔵施設を標的とした」と説明した。
さらに、ガザ北部で「複数のテロリスト」を排除し、「地上および地下にあるテロリストのインフラ」を破壊したと主張。ガザ全域で「数十のテロ目標」を攻撃したと付け加えた。
国連によると、5月27日以降、援助物資を手に入れようとしたパレスチナ人1000人以上がイスラエル軍によって殺害されている。その大半は、5月下旬からガザで物資配給活動を行っている「ガザ人道財団(GHF)」の配給拠点付近や、国連やそのほかの援助団体の物資を積んだ車列の近くで起きたという。GHFはイスラエルとアメリカの支援を受けている。
29日の出来事は、GHFの施設ではなく、援助物資の車列の近くで起きた。
イスラエル側は、自軍の兵士は警告射撃しか行っておらず、意図的に民間人を攻撃していないと主張している。
GHFは、国連がハマス運営のガザ保健省が公表している「虚偽の」統計を引用していると主張している。
ハマス、ガザで飢餓が続く限り「交渉しない」
こうした中、ハマス高官は29日、ガザで飢餓が続く限り、イスラエルとの間接交渉を中断する旨をカタールとエジプトの仲介役に伝えたと、BBCニュースに明らかにした。
ガザ停戦と人質解放に向けた取り組みをめぐっては、イスラエルとアメリカが先週、交渉から離脱している。アメリカはハマスが「誠実に」交渉していないと指摘。イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、今もガザで拘束されている人質を解放するために「代替案を検討」中だとしている。
イスラエルとハマスの交渉では、イスラエル軍のガザ撤退や、人道支援物資の配布、敵対行為の恒久的な停止などをめぐり、依然として大きな隔たりがある。
ガザで飢えが拡大しているとの、国際機関からの深刻な警告は29日も続いた。国連が支援する世界的な食料安全保障の専門家グループは、「飢饉(ききん)という最悪のシナリオが進行中だ」と警告を発した。
イスラエルは、自国にはガザの人道危機に対する責任はなく、援助物資の搬入に制限を設けていないと主張し続けている。しかし、欧州の主要な同盟国や国連、ガザで活動する援助機関は、こうした主張を受け入れていない。
ガザへの物資搬入をすべてを管理しているイスラエルは27日、ガザの一部地域において1日10時間、「戦闘の戦術的停止」を実施し、援助物資を載せた車列のための「安全な輸送ルート」を設置すると発表した。
この「戦術的一時停止」は、ガザの3つの人口密集地域で現地時間10時から20時まで実施されるが、それ以外の時間帯や、対象地域外での空爆は継続される。
イスラエルはさらに、各国がガザへの援助物資投下を再開することも認めた。ただ、人道団体らは、物資を空から投下する方法は効果がなく、危険が伴うと警告している。
イスラエルは、ハマス運営のガザ保健省が公表する統計も疑問視している。この統計は、死者の中にパレスチナの武装集団のメンバーがどれだけ含まれているかを明確にしていない。
イスラエル軍は今年初め、ハマスと、パレスチナの武装組織イスラム聖戦(PIJ)の構成員約2万人が、2023年10月からの戦闘で死亡したと発表。今月初めには、イスラエル軍参謀総長が、直近数週間で1300人以上の「テロリスト」を攻撃したと述べている。
イスラエルはBBCを含むメディアの国際ジャーナリストがガザに単独で入ることを許可していない。そのため、死者数をめぐるイスラエルとハマス双方の主張を検証することはできない。
過去の紛争では、ガザ保健省の統計は、国連をはじめとする国際機関が信頼できる死傷者数の情報源とみなし、広く引用されてきた。
(追加取材:ラシュディ・アブアルーフ)











