米ロ首脳会談、見送りに 「無駄な会談」は望んでいないとトランプ氏

ダークスーツを着たロシアのプーチン大統領とアメリカのトランプ大統領が肩を寄せ合い、話をしている

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ウクライナでの戦争をめぐるアメリカのドナルド・トランプ統領とロシアのウラジーミル・プーチン大統領との直接会談の予定が棚上げされた。トランプ氏は21日、「無駄な会談」はしたくないと述べた。

トランプ氏はこの日、ホワイトハウスで記者団に、ロシア側が現状の戦線で戦闘を停止することを拒んでいることが、依然として交渉の行き詰まりの大きな原因になっていると示唆した。

ホワイトハウス関係者はこれよりも先、「近い将来に」トランプ氏とプーチン氏の会談が行われる「予定はない」と述べた。

トランプ氏は16日にプーチン氏と電話で協議し、2週間以内にハンガリー・ブダペストで直接会談することで合意したと発表していた。

しかし今週に入ると、和平案におけるアメリカとロシアの相違点がますます鮮明となり、首脳会談の可能性が消滅したとみられる。

トランプ氏とプーチン氏が最後に対面したのは、8月15日に米アラスカ州で急きょ開催された首脳会談で、この時は具体的な成果は得られなかった。

ホワイトハウスが今回、第2次トランプ政権で2度目となるプーチン氏との会談計画を棚上げしたのは、8月のような結果を避けるためである可能性もある。

欧州の高官の1人はロイター通信に対し、「ロシア側が過剰な要求をし、アメリカ側はブダペストでトランプ氏が合意を結ぶことは不可能だとはっきりわかったのだろう」と語った。

今週には、アメリカのマルコ・ルビオ国務長官とロシアのセルゲイ・ラヴロフ外相による、首脳会談に向けた準備の協議も予定されていた。しかしホワイトハウスは、2人は「生産的な」電話協議を行ったため、対面協議はもはや「必要ない」と説明した。

こうした中、トランプ氏は20日、ウクライナと欧州の指導者たちが支持する停戦案を受け入れた。これは、ウクライナでの現状の戦線で戦闘を凍結するというもの。

「現状のままにしておこう」と、トランプ氏は述べた。「私はこう言ったんだ。現状の戦線で切り上げて、家に帰れ。戦いをやめろ、人を殺すのをやめろと」。

しかしロシアは、現状の前線で戦闘を凍結することに繰り返し反対している。

クレムリン(ロシア大統領府)のドミトリー・ペスコフ報道官は、この案は何度もロシア側に提示されてきたが、「ロシアの立場は一貫して変わらない」と主張した。ロシアはかねてから、ウクライナ東部地域からのウクライナ軍の完全撤退を要求している。

ロシアが関心を持っているのは、「長期的かつ持続的な平和」だけだと、ラヴロフ氏は21日に述べ、前線での戦闘凍結は一時的な停戦に過ぎないことを示唆した。

また、「紛争の根本原因」に対処する必要があるとも述べた。これは、ウクライナ東部ドンバス地方におけるロシアの完全な主権の承認や、ウクライナの非武装化など、ウクライナや欧州のパートナーが到底受け入れられない、クレムリンによる一連の最大限の要求を指している。

ウクライナの地図。前線はロシアとの国境からウクライナ東部ルハンスク、ドネツク、ザポリッジャ、南部ザポリッジャ、ヘルソンの4州にまたがっている

欧州各国の指導者は21日早朝、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領との共同声明を発表。ウクライナでの戦争終結に向けた交渉は、現状の前線の凍結から始めるべきだと主張し、ロシアは和平について「真剣」に考えていないと非難した。

ゼレンスキー氏は、前線に関する議論は「外交の始まり」だとし、ロシアはそれをあらゆる手段で回避しようとしていると指摘した。

そして、ロシア政府の「注意を引く」唯一の話題は、ウクライナへの長距離兵器の供与だろうと付け加えた。

トランプ氏はプーチン氏との電話協議の翌日に、ホワイトハウスでゼレンスキー氏と直接会談した

両首脳の会談は「怒鳴り合い」に発展したと、一部で報じられている。この会談でトランプ氏は、ロシアとの取引の一環として、ウクライナ東部ドンバス地方を構成するドネツク州とルハンスク州の大部分をロシアに明け渡すよう、ゼレンスキー氏に迫ったとされる。

しかしゼレンスキー氏は、ウクライナが維持しているドンバス地方の領土を放棄することはできないと一貫して主張している。ロシアが将来的に、これらの地域をさらなる攻撃の足がかりにする恐れがあるとも述べている。

プーチン氏とトランプ氏が予定外の電話協議を行ったのは、ロシア領深部への攻撃を可能にする長距離巡航ミサイル「トマホーク」をウクライナに供与する準備をアメリカが進めているとの臆測が広がった後だった。

ゼレンスキー氏は、トマホークをめぐる問題がロシアを交渉の場に引き出したとしている。

成果を得られずにホワイトハウスを後にしたものの、ゼレンスキー氏はミサイルをめぐる協議が「外交への協力な投資」となったと述べた。