ウクライナのほぼ全域で緊急停電、ロシアが電力インフラを攻撃 冬季の停電は4年連続

ロシアのドローン攻撃で黒く焼け焦げたアパートの一室に、人が立っている

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画像説明, ロシアのミサイルとドローンによる攻撃で、ウクライナ各地が停電に見舞われた。画像はロシアのドローン攻撃で焼け焦げたアパートの内部(10日、キーウ)

ウクライナのエネルギー省は15日、エネルギーインフラがロシアの激しい攻撃を受けた影響で、国内のほぼ全域で緊急停電を実施したと発表した。ウクライナが冬季に停電に見舞われるのは、2022年2月にロシアによる全面侵攻が始まってから4年連続。

エネルギー省によると、緊急停電が実施されなかったのは、戦闘の前線に位置する東部ドネツク州と、北部チェルニヒウ州のみ。チェルニヒウ州ではすでに、1時間単位の計画停電が実施されている。

同省は、「状況が複雑であるため」緊急制限措置を導入したと説明。ウクライナの国営送電会社ウクレネルゴは、ロシアの攻撃の影響を受けたすべての地域で、緊急の作業が進められているとし、まだ電力供給を受けられている人々には節電を呼びかけた。

ウクライナの一部地域では、16日にかけて気温が摂氏3度にまで落ち込むと予想されている。

西部リヴィウ州の電力会社は、緊急事態下での緊急停電だったため、利用者に事前に注意を呼びかけることができなかったと説明した。

停電が続くキーウの街中を、女性が犬を連れて歩いている。近くに停まっている車のテールランプが周囲を赤く照らしている

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画像説明, ウクライナではここ数週間、ロシアの空爆による停電が増加している。画像は停電が続くキーウの街中を、犬を連れて歩く女性

ロシアでは燃料不足と価格上昇

ロシアはウクライナの電力網に加え、鉄道網への攻撃も強化している。一方でウクライナは、ロシアとの国境地帯やその周辺にある製油所への攻撃を拡大している。

ロシアが2014年に一方的に併合したウクライナ南部クリミア半島では、石油貯蔵施設が1週間で2度目となるウクライナのドローン攻撃を受け、3日間にわたり燃え続けている。

クリミア半島フェオドシヤにある、同地域最大の海洋石油ターミナルは、ウクライナ国内で活動するロシア部隊にとって重要な施設となっている。

ウクライナ南部クリミア半島フェオドシヤの石油施設から、オレンジ色の炎と、巨大な黒煙が上っている

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画像説明, ウクライナ南部クリミア半島フェオドシヤの石油施設での火災を捉えた画像が、ウクライナのテレグラム・チャンネルに投稿された

ウクライナ軍参謀本部は15日、16基の燃料タンクが損傷し、大規模な火災が続いていると発表した。

こうした中、ロシア国内の石油精製施設やパイプラインに対する、ウクライナのドローン攻撃が急増し、ロシアの一部地域が燃料不足や価格上昇に直面している。ウクライナ指導部は、これがロシアの戦争遂行能力を損ない、ロシア政府を交渉の場に引き出す契機になることを期待している。

国際エネルギー機関(IEA)の統計によると、ウクライナによる攻撃で、ロシアの燃料輸出量は侵攻開始以来最低水準にまで落ち込んでいる。

ウクライナへの長距離兵器供与

ロシアはウクライナのエネルギーインフラへの攻撃について、軍事目標を狙ったものだと主張している。しかし、過去数週間で停電の影響を受けた民間人はすでに数百万人に上っている。例えば、9日から10日にかけてのミサイルとドローンによる夜間攻撃では、北部のハルキウ州やスーミ州から南部のオデーサ州にかけて、計9地域で停電が発生した。

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、ロシア政府は「エネルギー施設や鉄道を攻撃することで混乱を引き起こし、ウクライナ国民に心理的圧力をかけようとしている」と非難した。

ウクライナ政府はかねてから、ロシア深部への攻撃を可能にする長距離兵器の供与を求めている。ゼレンスキー氏は今週、長距離兵器は軍事目標のみに使用し、民間人には使用しないと誓った。

ウクライナの西側の支援国は、戦争の激化を懸念し、ウクライナへの長距離兵器の供与に慎重な姿勢を示してきた。

ロシア政府は、西側諸国の兵器がロシア領土への攻撃に使用された場合、北大西洋条約機構(NATO)加盟国がウクライナでの戦争に「直接参加」したとみなすと、繰り返し主張している。

しかし西側は、ロシアが西側のミサイルに対して設定している「レッドライン(越えてはならない一線)」をすでに越えている。そして、明確な報復措置は取られていない。

アメリカのドナルド・トランプ大統領は、ロシアが戦争終結に向けた動きを見せないことへのいら立ちを繰り返し表明している。12日には、ウクライナに長距離巡航ミサイル「トマホーク」を送ることを検討しているとも述べた

トランプ氏は17日にゼレンスキー氏とホワイトハウスで会談する予定。

トマホーク巡航ミサイルの解説図。「潜水艦や艦船、陸上から発射できる巡航ミサイルで、通常弾頭および核弾頭を搭載できる」という説明が書かれている。図表の上段にはミサイルのイラストがあり、後方にターボジェットエンジンの位置が示されている。また、全長が6.2メートル、巡航速度が時速885キロメートルだと記されている。下段の地図では、ウクライナの首都キーウからトマホークの最大射程である2500キロメートルの地点までが赤い円で示されている。この円の中に、ロシアの首都モスクワが含まれている。以上の情報の出典は米国科学者連盟とレイセオン・テクノロジーズ、アメリカ軍。画像は米海軍とAFP通信のものを使用している

ベルギー・ブリュッセルで15日に開催されたNATO国防相理事会で、ピート・ヘグセス米国防長官は、ウクライナでの戦争が終結しない場合、アメリカとその同盟国は「ロシアの継続的な侵略行為に対して代償を支払わせる」と述べた。

ヘグセス氏は、アメリカには「アメリカにしかできない方法で」その役割を果たす用意があると述べたが、詳細は明かさなかった。また、NATO加盟国に対し、米国製兵器を購入してウクライナに供与する「ウクライナ優先支援要件リスト(PURL)」プログラムに参加するよう呼びかけた。

PURLをめぐっては、複数の国が既に参加を表明している。ドイツは15日、対ウクライナ武器援助に5億ドルを拠出すると発表。オランダやスカンジナビア諸国は、合わせて10億ドルの拠出を約束している。

ウクライナは自国の防衛産業を発展させつつあるが、依然として西側諸国からの武器供与に依存している。

ドイツのキール研究所が今週発表した調査結果によると、ウクライナへの軍事援助は今年上半期と比べ43%減少している。