イギリス、イスラエルへの武器輸出を一部停止 「重大な国際法違反に使用」のリスクあると

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ジョシュア・ネヴァット政治記者(BBCニュース)、ジェイムズ・ランデイル外交担当編集委員
イギリス政府は2日、イスラエルへの武器売却の一部を停止した。イギリスが輸出した武器が重大な国際法違反に使われるかもしれないという「明らかなリスク」があるためとしている。
デイヴィッド・ラミー外相は、イスラエルへの武器輸出許可350件のうち30件を停止したと説明。これにより、戦闘機やヘリコプター、ドローン(無人機)の部品などに影響が出るという。
ラミー外相は、イギリスは引き続きイスラエルの自衛権を支持するとともに、この措置は禁輸ではないと強調した。
イスラエルのヨアヴ・ガラント国防相はソーシャルメディアで、イギリスの動きに「深い遺憾の意」を示した。イスラエル・カッツ外相は、イスラム組織ハマスと、ハマスを支持するイランに「非常に問題のあるメッセージ」を送ることになると指摘した。
カッツ外相はまた、イスラエルは国際法に基づいて行動していると付け加えた。
イスラエルのパレスチナ自治区ガザ地区での戦争遂行方法をめぐり、西側諸国にはイスラエルへの武器販売を停止するよう圧力がかけられてる。
ラミー外相は、多くの議員や弁護士、国際機関が、イギリスによるイスラエルへの武器輸出許可について懸念を表明していると説明。そのため、7月に労働党政権が発足した後、直ちにイスラエルへの武器輸出の見直しを求めたと話した。
一方で、イスラエルが国際人道法に違反したかどうかについては、検討は行われず、「仲裁することもできない」と述べた。また、今回の動きは「有罪か無罪かを決めるものではない」とした。
その上で、イギリス政府にはすべての輸出許可を見直す法的義務があると述べた。
「私が受け取った評価からは、イギリスからイスラエルへの特定の武器輸出について、国際人道法に対する重大な違反を犯したり、違反を助長したりするために使用される可能性についての明確なリスクが存在するという結論しか導けない」
ラミー氏はまた、部分的な禁止は「現在のガザ紛争で使用される可能性のあるもの」を対象としていると述べた。
イギリス政府は決定要旨の中で、ガザへの人道支援に対するイスラエルのアプローチと、イスラエルによる拘束者の処遇を、決定の重要な要因として挙げている。
一方で、停止された輸出許可が、これらの懸念にどのような影響を与えるかは説明しなかった。
ただし、イスラエルがガザの標的を攻撃するために使用している戦闘機「F35」のためにイギリスで製造された部品は、今回の禁輸項目には含まれない。
政治的な重要性のある決定
今回の決定は、軍事的というよりも政治的な重要性を持つ。イギリスからイスラエルへの武器売却額は小さく、同国の国防輸入額のわずか1%に過ぎない。
ストックホルム国際平和研究所によると、2019~2023年の間にイスラエルが輸入した主要通常兵器の69%は、イスラエルへの最大武器輸出国であるアメリカからのものとなっている。
しかし、イスラエルの最も親密な友好国の一つであるイギリスが、輸出した武器の一部をイスラエルが国際人道法に違反する方法で利用する可能性があると判断したことは、驚くべきことだ。
イギリスの今回の動きは長くうわさされてきただけに、この発表はイスラエル政府には驚きではないかもしれない。それでもなお、痛手ではある。

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イスラエルへの武器売却停止の議論は保守党の前政権下で始まったが、労働党の新政権が前面に押し出した。
労働党は、イスラエルの安全保障を支持する立場は変えておらず、それを「堅固」で「不屈」と表現している。
しかし、7月に労働党が政権を握って以来、前政権のアプローチから逸脱するのはこれで3度目となる。
政権発足から2週間後、労働党政府は国連パレスチナ難民救済機関(UNRWA)への資金提供を再開すると発表した。
その数日後には、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相の逮捕状を求める国際刑事裁判所(ICC)の権利に異議を唱える計画を中止すると発表した。
政府は現在、イスラエルとハマスの戦争における即時停戦、すべての人質の解放、ガザの市民への援助増額を求めている。
労働党の一部の議員はキア・スターマー首相に対し、さらに踏み込んでイスラエルへの武器売却を完全に禁止するよう求めている。
労働党は総選挙で、かつての牙城の多くを、親パレスチナを掲げる無所属候補に奪われた。
野党からはすでに、一部禁輸では十分でないという批判の声も上がっている。
野党・自由民主党のレイラ・モラン外務報道官は、同党は「政府が停止していない輸出許可も含めて」発表の詳細を「注意深く精査する」と述べた。
緑の党のエリー・チャウンズ議員は、なぜこれほど多くの輸出許可が停止処分の対象外なのかと質問した。
一方、最大野党・保守党のアンドリュー・ミッチェル影の外相は、決定そのものを批判した。
ミッチェル氏は、この動きは「労働党の支持層を満足させると同時に、中東の同盟国であるイスラエルを怒らせないように設計されたもののように見える」と述べ、「私は、それが両方の点で失敗することを恐れている」と付け加えた。
ロビー団体「武器貿易反対キャンペーン」(CAAT)によると、2008年以来、イギリスはイスラエルへの総額5億7400万ポンド(約1100億円)相当の武器輸出を許可している。
議会の調査では、イスラエルへの輸出許可額は、2022年の4200万ポンドから2023年には1820万ポンドに減少している。











