リネカー氏、BBCサッカー解説降板 反ユダヤ的投稿を共有し問題に

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サッカーイングランド代表の元主将で、BBCのサッカー解説番組「マッチ・オブ・ザ・デイ」の司会を長年務めたギャリー・リネカー氏(64)が、25日の放送をもって同番組を降板し、BBCを離れることを明らかにした。
リネカー氏は当初、来年のイングランド男子FAカップやFIFAワールドカップ(W杯)の中継を引き続き担当する予定だったが、ソーシャルメディアで先週、シオニズムに関する投稿を共有したことが批判されていた。この投稿には、歴史的に反ユダヤ主義的な侮辱として使われてきたネズミのイラストが含まれていた。
リネカー氏は19日、「その画像には気づかなかった」と述べ、「意図的に反ユダヤ主義的な内容を再投稿することは決してない」と釈明した。
しかし、「とはいえ、自分の行動が誤りだったことと、それが動揺と不快を引き起こしたことは認識している。あらためて深くおわびしたい。いま身を引くことが、責任ある行動だと感じている」とコメントした。
リネカー氏はこれまでも、SNSでの投稿について批判されてきた。BBCのケイティ・ラザル・カルチャー・メディア編集長によると、今回の件が決定打となり、同氏を起用し続けるのは困難だと上層部は判断した。
BBCのティム・デイヴィー会長は声明の中で、「ギャリーは自身の過ちを認めた。それに伴い、今シーズンをもって番組の司会から退くことで合意した」と述べた。
「ギャリ-は20年以上にわたり、BBCのサッカー報道にとって決定的な存在だった。その情熱と知識は、BBCのスポーツジャーナリズムの方向性を形作り、イギリス国内外のスポーツファンからの尊敬を集めてきた。これまでの貢献に心から感謝したい」と、会長はたたえた。
「すべての関係者にとって最善」と説明
リネカー氏は書面の声明で、「物心ついたときから、サッカーはピッチの上でもスタジオの中でも、自分の人生の中心にあった」と語った。
「自分にとって、サッカーはとても大事だ。そして、長年にわたってBBCと共に取り組んできた仕事も、自分にとってとても大事だ。には深い思い入れがある。繰り返しになるが、意図的に反ユダヤ主義的な内容を再投稿することは決してない。それは自分の信念に反する行為だ」と、リネカー氏は述べた。
さらに、「とはいえ、自分の行動が誤りだったことと、それが動揺と不快を引き起こしたことは認識している。あらためて深くおわびしたい。いま身を引くことが、責任ある行動だと感じている」とコメントした。
声明に加え、リネカー氏はインスタグラムにも動画を投稿。「あの絵文字に気づいていたら、絶対に投稿を共有することはなかった」と述べ、「あの絵文字には最悪の意味合いがある」と語った。
「あらためて、傷つけたり不快な思いをさせてしまったことについて、全面的におわびしたい。あれは純粋なミスで、見落としだった」と続け、「もっと注意を払うべきだった。それは自分でも分かっている」と述べた。
またリネカー氏は、「これまでずっと、少数派や人道的な問題のために声を上げ、あらゆる形の人種差別に反対してきた。当然ながら反ユダヤ主義もその一つで、私はそれを強く嫌悪している」と語った。
そしてフォロワーに対し、「すべての関係者にとって最善なのは、自分がBBCでの司会業から完全に退くことだ」と伝えた。
リネカー氏は、BBCでの30年間を「喜びで、非常に光栄なことだった」と振り返り、「マッチ・オブ・ザ・デイは自分の人生に欠かせない存在になっていた」と語った。
司会者としての最後のコメントでは、BBCとの関係について「長く素晴らしいものだった」と述べつつ、「今こそ、BBCと自分がそれぞれの道を歩む時だ」と締めくくった。
リネカー氏の投稿に対し、「マッチ・オブ・ザ・デイ」で共演してきたアラン・シアラー氏は、「これまで本当にありがとう」と返信した。
「困難で動揺の続いた1週間」

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発表の直後、BBCスポーツのアレックス・ケイ=ジェルスキー局長はスタッフあてのメッセージで、「大勢にとってこの1週間が、困難で動揺するものだったのを理解している」と述べた。
ケイ=ジェルスキー局長は、「これほど優れた司会者と別れを告げるのは残念だ」とし、リネカー氏の長年の貢献に感謝した。そして、「ギャリーの最後の放送で今シーズンを力強く締めくくり、素晴らしい夏のスポーツを楽しみ、これからの展開に期待を膨らませよう」と結んだ。
リネカー氏とBBCは昨年、今シーズン限りで同氏が「マッチ・オブ・ザ・デイ」を降板することを発表。同番組は、25日の放送でシーズンを終える。それでも来年のFAカップとW杯に関しては、リネカー氏が引き続き、BBC中継のメイン司会者になる予定だった。
元イングランド代表主将でストライカーのリネカー氏は、1999年にデズ・ライナム氏の後任として「マッチ・オブ・ザ・デイ」のメイン司会者に就任した。
BBCのアモル・ラジャン記者とのインタビューでリネカー氏は、直近の契約交渉の際、BBC側が自分の「マッチ・オブ・ザ・デイ」降板を望んでいるという印象を受けたと話していた。
BBCスポーツの元ディレクターで、BBCテレビニュースの元責任者でもあるロジャー・モージー氏は、19日放送のBBCラジオ4番組で、「この問題の本質は、最高額の報酬を受け取る司会者の立場と、SNS上で積極的に発信する活動家の立場が、両立しないという点にある」と指摘した。
「ギャリーがあれだけSNSで活動するのを許容しつつ、BBCで最高額の報酬を受け取る司会者として継続させるのは、もともと難しいバランスだった」
リネカー氏は2023年、当時の保守党政権による移民政策を批判する発言が、BBCの不偏公平原則に違反したかどうかが問題となり、BBCから出演停止処分を受けた。
今年初めには、ドキュメンタリー番組「Gaza: How To Survive A War Zone(ガザ:戦争地帯でどう生き延びるか)」をBBCのイギリス国内向け動画配信サービス「iPlayer」で再配信するようBBCに求める公開書簡に署名した。この書簡には500人以上の著名人が署名していた。
リネカー氏は、人気ポッドキャストシリーズ「The Rest Is History(あとは歴史)」や、政治やサッカー、エンターテインメント、経済をテーマにしたスピンオフ番組を制作する「ゴールハンガー・ポッドキャスト」の共同創設者でもある。
英PA通信によると、リネカー氏とBBCの関係解消の一環で、今年終了予定のBBC Soundsにおけるゴールハンガー制作ポッドキャスト番組のライセンス契約も終了する。











