男子棒高跳びのデュプランティス、14度目の世界記録更新 東京で世界陸上3連覇

東京で世界記録を更新し、大きく口を開けて喜ぶデュプランティス

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画像説明, アルマント・デュプランティスは今回の金メダル獲得で、シニアの国際大会での優勝が12回目となった(15日、東京)

東京で開催されている陸上の世界選手権(世界陸上)で15日、男子棒高跳びのスーパースター、アルマント・デュプランティス(25、スウェーデン)が、自身のもつ世界記録の14度目の更新に成功し、3大会連続となる金メダル獲得を果たした。

この夜の国立競技場では、他の競技が終了してしばらくたっても、観客は席を去ろうとしなかった。そして、スポーツ界の現代の偉人が人類で初めて、高さ6メートル30センチに設定されたバーを越えるのを見届けた。

デュプランティスにとって国立競技場は、自身初の主要大会優勝を果たした、4年前の東京オリンピックの舞台だ。そのスタジアムに戻ったデュプランティスはこの日、6メートル15センチを1回目でクリア。ライバルが失敗するなか、早々に金メダルを決めた。

デュプランティスはここで、自身の世界記録より1センチ高い6メートル30センチに挑む。だが、1回目と2回目は、体がほんのわずかバーに触れたため失敗した。

そして最後の3回目。観客全員の視線が注がれ、期待に満ちた静けさがリズミカルな手拍子へと変わるなか、助走から空中へと飛び上がったデュプランティスの体は、バーを越えるとそれを落とすことなく、マットに沈んだ。

デュプランティスがマットから起き上がると、競技場には大歓声が沸き起こった。

「想像していたよりいい。みんなにこの世界記録を見せられるなんて素晴らしい。とても幸せだ」。デュプランティスは、世界新記録をこの目で見ようと夜11時を回っても競技場に残っていた大観衆に向けて話した。

デュプランティスはこの勝利で、直近八つの国際大会(屋内と屋外の両方)で金メダルを手にした。

本人による世界記録の更新は今年4度目。1年間の更新回数としては過去最多となった。今後も当分、更新は続くとみられている。

銅メダルを獲得したカーティス・マーシャル(オーストラリア)は、「素晴らしい夜だった。観客が素晴らしかった」と話した。

そして、「モンド(デュプランティスのニックネーム)は別の惑星からやって来た。ものすごいことをやってのけている。多くの人が不可能だと思っていたことだ」と感嘆。「彼の将来が楽しみでならない」と述べた。

10万ドルのボーナス

デュプランティスは、金メダルを決めた時点で競技を終えることもできた。だが、決勝に進出した時点で、記録を狙う方針を明確にしていた。

他のみんなも、彼がそうするだろうとみていた。

デュプランティスが2020年2月に6メートル17センチをクリアし、ルノー・ラヴィレニ(フランス)から世界記録保持者の座を奪って以来、男子棒高跳び界の話題は、金メダルの行方ではなく世界記録の更新一色となっている。

さらに、世界陸連(WA)が、世界記録の更新にはボーナス10万ドル(約1470万円)を、金メダル獲得の7万ドルに上乗せして支給すると発表していたことも、挑戦への気持ちを高めた。

デュプランティスはすでに、全ての主要大会で金メダルを獲得している。昨年はパリ五輪で、棒高跳びでは68年ぶりとなる五輪連覇を果たした。

無敗記録は2023年7月から続いており、今大会で37大会に伸びた。

デュプランティスはアメリカ生まれだが、母親の出身国の代表選手になることを選んでいる。幼少期に暮らしたルイジアナ州の自宅には、裏庭に棒高跳びの設備があり、この種目の元エリート選手だった父グレッグさんが指導した。デュプランティスは今も両親のコーチを受けている。22歳の妹ジョハナさんも今年、プロの棒高跳び選手になった。

デュプランティスの特長は、助走スピードの圧倒的な速さ、飛び上がりの技術的な正確さ、爆発的パワー、そしてキリンの平均身長(5.5メートル)を超える高さにひるまない勇気だ。

棒高跳び選手が世界記録を1センチずつ更新するのは、珍しいことではない。40年前にセルゲイ・ブブカ(ウクライナ)が世界で初めて6メートルをクリアしてから、一度に2センチ以上更新されたことはない。