アメリカ、世界保健機関からの正式脱退を発表

A sign for the World Health Organization outside its Geneva headquarters.
スイス・ジュネーヴの世界保健機関本部の外に設置された、世界保健機関の青色の紋章が描かれた看板のクローズアップ写真

画像提供, FABRICE COFFRINI/AFP via Getty Images

アメリカは22日、世界保健機関(WHO)から正式に脱退したと発表した。国連の公衆衛生機関であるWHOは、活動資金の最大拠出国の一つを失うこととなった。

ドナルド・トランプ米大統領はかねてから、WHOの新型コロナウイルス対策を「中国寄り」だと批判してきた。2期目就任直後の1年前には、WHOからの離脱を表明する大統領令に署名した。

米保健福祉省は今回の決定について、WHOによる新型コロナウイルスのパンデミック対応の「不手際」や、WHOが改革を進められていないこと、加盟国からの政治的影響を理由に挙げた。

WHOはこうした批判を一蹴。テドロス・アダノム・ゲブレイェススWHO事務局長は、アメリカのWHO脱退はアメリカと世界にとって損失だと述べた。

WHOは、ポリオやHIV(ヒト免疫不全ウイルス)とエイズ(後天性免疫不全症候群)、妊産婦の死亡に関連する国際的取り組みを進め、国際的なたばこ規制枠組み条約を発効するなどしてきたと強調した。

新型コロナウイルスの拡大を受け、WHO加盟国は、将来起こり得るパンデミックへの予防・準備・対応を整えるための国際条約の策定に取り組んだ。これには、ワクチンや医薬品のより公平な共有も含まれる。

アメリカを除くすべてのWHO加盟国は昨年4月、この条約に最終合意した。

米政府は長年、WHOの資金の最大拠出国の一つだった。しかし、2024年と2025年の分担金は支払っておらず、WHOでの大規模な人員削減につながった。

WHO側の弁護団は、アメリカには未払いの分担金(推定2億6000万ドル、約4100億円)を支払う義務があると示唆しているが、米政府は支払う理由がないとしている。

米政府は、WHOへの資金拠出をすべて停止し、スイス・ジュネーヴのWHO本部や世界各地のWHO事務所から米国人の職員および請負業者を呼び戻したとしている。また、アメリカのWHOとの協力事業数百件を停止または中止したとも発表した。

ロバート・F・ケネディ・ジュニア保健福祉長官とマルコ・ルビオ国務長官は共同声明で、「WHOは、アメリカがWHOのために行ってきたすべてのことを汚し、台無しにした」と主張した。

さらに、WHOが「その中核的な使命を放棄し、アメリカの利益に反する行動を繰り返してきた」とも述べた。その例として、ジュネーヴにあるWHO本部で掲げられていた米国旗が返還されていないことを挙げた。

「これからは、アメリカとWHOの関わりは、脱退手続きの遂行と、米国民の健康と安全の保護に関係することにのみ限定される」と、両長官は付け加えた。

米保健福祉省は、疾病監視や病原体情報の共有については、他国と2国間関係を構築する方針だとしている。ただ、現時点で、具体的にどの国とそうした連携を持っているかは明らかにしなかった。

ポリオやHIVをめぐる国際的取り組みについて問われると、米当局は、アメリカは「NGOや信仰基盤組織」と連携して取り組みを継続していくと答えた。すでに確立された連携関係については詳細は述べなかった。

国際的なインフルエンザワクチンの情報共有や開発に、アメリカが引き続き参加するのかについては、当局者はわからないとした。

トランプ氏が2期目就任直後に、WHO離脱を表明する大統領令に署名すると、WHOはアメリカに再考するよう求めた。

「WHOとアメリカは無数の命を救い、アメリカ人とすべての人を健康上の脅威から守ってきた」とし、再考は「世界中の何百万人もの人々の健康と福祉」のためになるはずだと、WHOは訴えていた。

WHOは23日、アメリカの脱退について、2月2日から7日まで開かれる理事会で議論する予定だと明らかにした。

理事会の助言に従って対応すると、WHOはBBCに述べた。