トランプ米政権の対外援助打ち切りで「50カ国の治療・予防に影響」 WHO事務局長

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アメリカが数百億ドルに及ぶ対外援助を凍結していることで、エイズウイルス(HIV)やポリオ、エムポックス(サル痘)、鳥インフルエンザなどの対策プログラムが影響を受けていると、世界保健機関(WHO)のトップが12日、訴えた。
アメリカのドナルド・トランプ大統領は、同国の国際開発局(USAID)について、支出が「全く説明できない」とし、閉鎖する措置を講じている。
一方、WHOのテドロス・アダノム・ゲブレイエスス事務局長は、資金面での他の解決策が見つかるまで、援助の再開を検討するようトランプ政権に求めている。
12日のスイス・ジュネーヴでのバーチャル記者会見でテドロス事務局長は、アメリカの援助資金凍結について初めて公に言及。特に、PEPFAR(米大統領エイズ救済緊急計画)の停止を指摘し、これにより50カ国でHIV治療や検査、予防サービスが停止したと述べた。
「アメリカ政府が取っている行動には、世界の健康に深刻な影響を与えると懸念しているものがある」
「診療所は閉鎖され、医療従事者は休暇を取らざるを得なくなっている」
また、救命サービスが一時的に再開されても、全体の混乱は収まっていないと付け加えた。
各国の保健専門家は、アメリカの援助削減によって病気が拡散したり、ワクチン開発が遅れたりする懸念があると警告している。

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USAIDは年間約400億ドルを人道援助に費やしており、これはアメリカの年間政府支出の約0.6%に相当する。その多くは健康プログラムに向けられている。
USAIDの資金の大部分はアジアやサハラ以南のアフリカで使われている。欧州では主にウクライナでの人道支援に使用されている。
トランプ大統領は、USAIDが「無能で腐敗している」と主張。1月20日の就任直後、すべての対外援助を停止する大統領令に署名した。
その後、USAIDに業務停止命令が出されたほか、職員2200人を有給休暇にする大統領令も発行された。この大統領令は今月8日、米首都ワシントンの連邦地裁によって一時的に差し止められている。
トランプ氏から権限を与えられ、連邦機関の効率化を担う「政府効率化局(DOGE)」を率いている富豪のイーロン・マスク氏も、USAIDを「犯罪組織」と呼び、閉鎖すべきだと述べいている。
トランプ大統領もマスク氏も、その主張を裏付ける明確な証拠を提供していない。
USAIDの凍結に加えて、トランプ大統領はアメリカをWHOから脱退させた。
ジョー・バイデン前政権下では、アメリカはWHOの最大の資金提供国であり、2023年にはWHOの予算のほぼ5分の1を拠出していた。
テドロス事務局長は、トランプ大統領の決定が国際的な健康脅威に対する各国の協力に影響を与えていると述べた。また、アメリカがヒトの鳥インフルエンザ感染例の報告を減らしているとも述べた。
WHOは先に、HIV治療に使用される命を救う抗レトロウイルス薬などの不足を補うために、新型コロナウイルスのパンデミック時と同様の緊急措置を講じていると述べている。
WHOのグローバルHIV、肝炎、性感染症(STI)プログラムのディレクターを務めるメグ・ドハティ氏は、各国は現在、重要な医薬品の供給を調整しようとしていると述べた。
そのうえで、より良い長期的な解決策が必要だと述べ、「国ごとに支援を求めているが、これは短期的なアプローチだ」と述べた。











