トランプ氏、ウクライナへの長距離ミサイル供与を検討か ヴァンス米副大統領が示唆

2人の人物が木のベンチに座ってうつむいている。その奥に立っている人物もいる。背景には空からの攻撃によって損壊したアパートがある

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画像説明, キーウでは28日に砲撃が12時間にわたって続き、死者が報告された

アブドゥジャリル・アブドゥラスロフ記者(キーウ)、ラウラ・ゴッツィ記者

アメリカのJ・D・ヴァンス副大統領は28日、同国がウクライナから長距離巡航ミサイル「トマホーク」の供与を要請されており、政府として検討していると述べた。

ただし、ヴァンス副大統領は、この問題についてはドナルド・トランプ大統領が「最終的な判断」を下すと付け加えた。

ウクライナは以前から、西側諸国に対し、前線から遠く離れた主要なロシアの都市を攻撃可能な兵器の供与を求めている。そうした兵器によってロシアの軍需産業を深刻に弱体化させ、戦争を終結に導くことができると主張している。

ウクライナのイワン・ハウリリュク国防次官はBBCに対し、「ロシアにとって戦争継続のコストがあまりに高くなれば、和平交渉を始めざるを得なくなるだろう」と語った。

一方、ロシア大統領府のドミトリ・ペスコフ報道官は、ヴァンス氏の示唆を受け流し、「キエフ(キーウのロシア語読み)政権に前線の状況を変えられるような万能薬はない」と話した。

「トマホークであれ、他のミサイルであれ、この動きは変えられない」

トマホークの最大射程は2500キロメートルで、ウクライナからロシアの首都モスクワを攻撃できる。

トマホーク巡航ミサイルの解説図。「潜水艦や艦船、陸上から発射できる巡航ミサイルで、通常弾頭および核弾頭を搭載できる」という説明が書かれている。図表の上段にはミサイルのイラストがあり、後方にターボジェットエンジンの位置が示されている。また、全長が6.2メートル、巡航速度が時速885キロメートルだと記されている。下段の地図では、ウクライナの首都キーウからトマホークの最大射程である2500キロメートルの地点までが赤い円で示されている。この円の中に、ロシアの首都モスクワが含まれている。以上の情報の出典は米国科学者連盟とレイセオン・テクノロジーズ、アメリカ軍。画像は米海軍とAFP通信のものを使用している

ヴァンス氏は28日の発言で、ウクライナからのトマホーク・ミサイルの要請について態度を明確にしなかったが、キース・ケロッグ米ウクライナ担当特使は、トランプ大統領がすでにロシア領深部への攻撃を承認したと示唆するような発言をした。

米FOXニュースの番組でケロッグ氏は、アメリカ政府が特定の事例において、ウクライナによるロシア国内での長距離攻撃を許可したかと問われると、「答えはイエスだ。深部を攻撃する能力を使え。聖域などというものは存在しない」と述べた。

ヴァンス氏とケロッグ氏の発言は、この戦争に関するアメリカ政府の最近の姿勢の変化と一致している。

ウクライナがロシアに対抗し続けられるかについて、繰り返し懐疑的な見解を示してきたトランプ大統領は、23日に初めて、「キーウはウクライナ全土を元の形で取り戻すことができる」と述べ、これまでの姿勢を転換した。この発言は、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領をも驚かせたと報じられている。

トランプ大統領は、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が、表向きには戦争終結に向けた協議に応じる姿勢を見せながらも、実際にはウクライナの都市への継続的な爆撃を行っていることにいらだちを示していたとされている。

ロシアは28日、数百機のドローンとおよそ50発のミサイルを使い、12時間にわたる大規模攻撃を行った。これにより、首都キーウで4人が死亡、少なくとも70人が負傷した。

ウクライナのハウリリュク国防次官はBBCに対し、ロシアは今後さらに、空爆の強度と激しさを加速させるだろうと語った。

迷彩服を着た男性が室内で取材を受けている。迷彩服の右肩にはウクライナの国旗のワッペンが着けられている

画像提供, ウクライナ国防省

画像説明, ウクライナのイワン・ハウリリュク国防次官

弾道ミサイルから自国の空を守るため、ウクライナは西側諸国に対し、迎撃能力を備えた地対空防衛システム「パトリオット」を、少なくとも10基供与するよう要請している。

トランプ大統領が夏に約束したパトリオット・システムが実際に供与されるのか問われると、ハウリリュク氏は具体的な言及を避けたが、「この方向の動きはある」と述べた。

ロシアがドローンやミサイルを多く発射すればするほど、ウクライナにとっては迎撃が困難になる。

ロシアは今月初め、ドローンとミサイルを合わせて800発以上発射した。これは2022年2月の全面侵攻開始以降で最多の攻撃となった。

このような大規模攻撃の際には、迎撃率が低下するのは避けられない。

28日の攻撃で使用された数百機のドローンのうち、31機が目標に到達した。ゼレンスキー大統領によると、その大半は住宅や、キーウにある心臓病センターといった民間施設だったという。

ハウリリュク氏は、空からの攻撃は頻度と激しさを増しているだけでなく、ロシアがウクライナの防空システムを突破するために、新型で高性能のドローンを使用していることから、より危険になっていると述べた。

2023年にイラン製のシャヘドドローンが初めて使用された際には、「我々の電子戦システムで容易に妨害できた」と同氏は説明した。

「現在では、彼らは16チャンネルのアンテナを使用し、我々の妨害ゾーンを通過してくる」

同氏はまた、これらのドローンを欧州連合(EU)加盟国に到達する前に撃墜する手段としても、防空システムが有効だとの見方を示した。

「我々の防空システムを強化することは、ヨーロッパ全体の安全保障への投資だ」とハウリリュク氏は述べ、最近ロシアのドローンがポーランド領空に侵入した事例に言及した。

「それは、ヨーロッパを常に脅かそうとするプーチンの計画を妨害することにもなる」

ウクライナの兵器生産体制

トランプ政権は先に、ヨーロッパの同盟国がウクライナに送る兵器をアメリカから購入できる、新たな仕組みを承認した。これまでに、複数のヨーロッパ諸国およびカナダが、総額20億ドルの拠出を約束している。

この仕組みの下で購入された兵器の一部はすでにウクライナに到着しているものの、ハウリリュク氏は、従来よりも手続きが遅れていると述べた。

ウクライナにとって時間は極めて貴重な資源だ。過去3年半にわたる戦争の中で、同国は防衛産業を大きく発展させ、ドローン、砲弾、砲兵システム、装甲車両の生産を大幅に拡大してきた。

ハウリリュク氏によると、ウクライナは現在、必要とされる一人称視点(FPV)型ドローンのほぼ100%を国内で生産しており、前線で必要とされるその他の兵器についても、最大で40%を自国でまかなっているという。

ゼレンスキー大統領は29日、今後も長距離能力を備えた国産のドローンおよびミサイルの開発に注力していく方針を示した。

しかし、兵器の生産体制を強化できるようになるまでは、ウクライナは必要な防空システムの供与について、友好国への依存を大きく残すことになる。

ウクライナは、防空システムによる都市防御の強化と、ロシアの標的を攻撃可能な長距離兵器の組み合わせによって、ロシアを交渉の場に引き出すことを期待している。

「ロシアによる空からのテロを止めることができるのは、我々のパートナーと共にあるときだけだ」と、ハウリリュク氏は述べた。