米紙ワシントン・ポストのCEOが辞任、大規模な人員削減の直後

スーツに白いシャツ姿のルイス氏が編集局で、手ぶりを交えながら話している。左手には水のボトルを持っている

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画像説明, 米紙ワシントン・ポストのウィリアム・ルイス発行人兼最高経営責任者(CEO)
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米紙ワシントン・ポストは7日、ウィリアム・ルイス発行人兼最高経営責任者(CEO)が辞任すると発表した。同紙はこの3日前、大規模な人員削減を実施した

ルイス氏はスタッフに向けたメッセージで、同紙を去るのに適切な時期だと説明。同紙の存続のために「難しい決断」が下されたとした。

ワシントン・ポストは4日、従業員の3分の1を削減すると発表。スポーツと国際ニュースの報道を大幅に縮小した。中東地域をカバーする全スタッフと、ウクライナ・キーウ特派員も解雇した。

この決定は多くのジャーナリストから非難された。同紙のオーナーで富豪のジェフ・ベゾス氏にも、批判の矛先は向けられた。

一方、マット・マリー編集主幹は、この削減が「安定」をもたらすとした。

同紙は後任の発行人兼CEOについて、昨年入社したジェフ・ドノフリオ最高財務責任者(CFO)が代行すると発表した。

辞任するルイス氏は、米ダウ・ジョーンズの元CEOと米紙ウォール・ストリート・ジャーナルの元発行人を経て、2023年にワシントン・ポストの発行人兼CEOに指名された。

同紙の赤字からの転換に努めたが、購読者や従業員らから批判を浴びてきた。

首都ワシントンにあるワシントン・ポストの本社前では、人員削減の発表翌日の5日、数百人が抗議した。

動画説明, ベゾス氏は「責任取るべき」と元編集主幹、米紙ワシントン・ポストの人員整理

支援の募金活動

募金サイト「GoFundMe」には、同紙の労働組合員に与えられる保護の対象にならない外国の現地採用の従業員らを支援するページが開設された。こうした従業員は、住居、ビザ、福利厚生が突然失われる恐れがある。

この活動を展開しているミシェル・リー氏は7日、「解雇された人の中には、電気のない生活を送っている紛争地域の記者、世界中の残虐行為を毎日取材しているソウルとロンドンの速報ニュース拠点の記者や編集者、ほんの数カ月前に海外赴任のため生活を一変させた特派員、そして私たちのジャーナリズムに不可欠な現地スタッフらがいる」と同ページに書き込んだ。

この活動には、8日夜の時点で18万ドル(約2800万円)以上が集まった。目標額は20万ドル。

同紙労組がアメリカ人スタッフのために立ち上げたGoFundMeの別のページでは、すでに50万ドル以上集まっている。

2021年までワシントン・ポストの編集主幹を務めたマーティ・バロン氏は、今回の人員削減を、「世界で最も偉大な報道機関の一つの歴史において、最も暗い日の一つ」と呼んだ。

同紙ではここ数年、人員削減が繰り返され、物議を醸す編集方針が示されてきた。ルイス氏の辞任は、同紙にとって新たな激震となる。

ダークスーツ、水色シャツ、紫のネクタイを着けたベゾス氏がマイクを前に口を開けている

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画像説明, 米アマゾンの創業者ジェフ・ベゾス氏は2013年、ワシントン・ポストを買収した

ワシントン・ポストのオーナーのベゾス氏は、2024年米大統領選挙の直前、数十年にわたる慣例を破り、同紙が特定の候補への支持を表明しないと決めた

同紙は1970年代以降のほとんどの大統領選で、特定の候補(すべて民主党)を支持してきた。

支持表明をやめたことは広く批判され、購読者を数万人規模で失うことになった。

ベゾス氏はまた、同紙のオピニオン欄について、「個人の自由と自由市場」に力を入れると昨年2月に表明。同欄の編集長が辞任する事態となった。

2013年に同紙を買収したベゾス氏は、対立する意見の記事は掲載しないとした。