尹大統領の弾劾訴追案、韓国国会で発議 今後どう進められるのか

抗議する市民たち

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画像説明, 抗議する市民たちは「尹錫悦を逮捕せよ」と訴えた

韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領に対する弾劾訴追案が5日未明、国会で発議された。議案は野党6党が前日、国会に提出していた。7日に採決が行われる見込み。

尹氏は3日夜に突如として非常戒厳を宣布。約6時間後に国会の要求に従って解除した。

韓国の主要野党「共に民主党」は、尹氏の非常戒厳宣布を「内乱行為」と非難。尹氏の弾劾を求めるとともに、「内乱罪」で告発する考えを示している。

聯合ニュースによると、尹氏が所属する与党「国民の力」は、弾劾訴追案に反対する方針を決定した。

弾劾訴追案は、国会で報告されてから72時間以内に採決にかけられる。定数300人の3分の2(200人)以上の賛成で可決となる。野党「共に民主党」は、7日夜に採決する方針を決めた。

現在の国会の構成では、与党議員108人のうち少なくとも8人が賛成に回る必要がある。5日未明に議案が国会で報告された際には、与党議員は全員欠席した。

弾劾訴追案が可決されると、大統領は直ちに職務停止となり、首相が大統領代行となる。

その後、憲法裁判所が最長180日をかけて、弾劾の妥当性を審理する。裁判官9人のうち6人以上が弾劾を支持すれば、大統領は罷免される。

韓国の弾劾の仕組み

尹大統領は非常戒厳を宣布した際、北朝鮮の共産主義勢力が韓国国内で権力を握ることが懸念されると、理由を説明していた。

大統領府は戒厳について、「厳密に憲法の枠内に収まるものだ」と正当性を主張している。宣布のタイミングについては、経済と国民生活への「悪影響を最小限に抑える」よう配慮したと、4日に説明した。

動画説明, 「国と自由な憲法秩序を守る」 韓国大統領は非常戒厳の宣布で何を述べたのか

こうしたなか、尹氏の複数の側近が辞意を表明している。尹氏は5日、金龍顕(キム・ヨンヒョン)国防相の辞意を受け入れた。金氏は4日に出した声明で、非常戒厳の全責任を取るとし、国民に混乱を生じさせ不安を与えたことを謝罪するとしていた。

同盟関係にある国なども今回の事態に反応している。

アメリカのカート・キャンベル国務副長官は「重大な懸念」を表明。北大西洋条約機構(NATO)のマルク・ルッテ事務総長は、非常戒厳が解除されたのは法の支配が尊重されていることを示すものであり、韓国との「鉄壁の」関係は変わらないとした。

日本の石破茂首相も4日、韓国の状況を「特段の、かつ重大な関心を持って注視している」と述べた。

過去に弾劾された韓国大統領はいるのか

ソウルの国会前では多数の警官が警備に当たった

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画像説明, ソウルの国会前では多数の警官が警備に当たった

韓国では過去に複数の大統領が弾劾されている。

2016年には、当時の朴槿恵(パク・クネ)大統領に対する弾劾訴追案が可決された。収賄、国家権力乱用、国家機密漏洩に関わったとされた。のちに憲法裁判所によって罷免された

2004年にも、当時の盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領が弾劾され、2カ月間、職務停止となった。しかしその後、憲法裁判所の判断で大統領に復帰した。

今回、尹大統領が辞任するか弾劾されれば、政府は60日以内に大統領選挙を実施することになる。新大統領は新たに5年の任期をスタートさせる。