アメリカ各地で数千フライトに欠航や遅延 連邦政府閉鎖の影響で便数削減命令

サンフランシスコ空港の出発便の電光掲示板には「Cancelled」の文字が並んだ

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画像説明, アメリカ各地の空港で、フライトのキャンセルが相次いだ(7日、サンフランシスコ国際空港)

アメリカで7日、5000便以上の航空便が欠航または遅延した。連邦政府は政府閉鎖中、航空会社に航空便の削減を義務づけるよう命令しており、この日から命令が発効した。

アメリカでは、2026年度の歳出法案が成立するまでのつなぎ予算が成立されず、10月1日から連邦政府の一部閉鎖が続いている。航空便削減に関する新規則は、政府閉鎖によって無給で働く航空管制官やその他の連邦職員への負担を軽減するため、国内40カ所の主要空港で7日から施行された。

連邦政府の閉鎖が先月始まって以来、市民生活の機能維持に不可欠な政府職員も生活費を得るため、病欠を申し出たり、副業を始めたりしている。

これによる人員不足に対応するため、連邦航空局(FAA)は緊急命令を発出し、航空便の4%削減を義務づけた。この削減率は来週末までに10%に達する見込み。

この命令は、ニューヨーク、ロサンゼルス、シカゴ、首都ワシントンなどの主要な交通拠点に影響を及ぼしている。FAAによると、アメリカの空の安全を維持する役割を担う航空管制官たちは、人手不足の中で疲労を訴えているという。

管制官の確保が焦点に

航空管制官は必要不可欠な職員として、政府閉鎖中も無給で勤務を続けることが求められている。

航空職員の労働組合によると、過去最長となった政府閉鎖の間、1カ月以上無給で働き続けた管制官の多くがストレスのため体調を崩している。食費など生活費を確保するため、副業を余儀なくされている管制官も大勢いるという。

ショーン・ダフィー運輸長官は7日、BBCに対し、国際便については国際協定の順守義務がアメリカにもあるため、航空便削減の命令はまだ影響していないと話した。

他方、ダフィー長官は米FOXニュースに対して、政府閉鎖が続き、航空管制官の欠勤が続けば、航空便の削減率が20%に達する可能性があると述べた。

全国航空管制官協会のニック・ダニエルズ会長は、管制官たちが政治的な対立の駒として利用されていると述べた。

「問題が悪化することは分かっている。問題は増えるはずだ。そして、アメリカの航空利用者の安全を確保するため、安全性向上につながるあらゆる取り組みを、我々は100%支持する」と会長はCNNに話した。

ダニエルズ会長は、航空管制官たちは今後も出勤して「職務を果たす」と述べた。

「我々はできる限りのことをする。しかし、自分たちが何とかしていきなり金が手に入るなど、そうはならない」、「議会が政府を再開する必要がある」と、会長は強調した。

航空業界以外でも、今回の政府閉鎖は食料支援プログラムの資金停止など、全国的に前例のない混乱を引き起こしている。

青地の出発便ボードにキャンセルを示す赤い表示が並ぶ

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画像説明, 出発便キャンセルの知らせが赤く並んだ(7日、ロナルド・レーガン・ワシントン・ナショナル空港)

各地の空港で長蛇の列

航空便削減の緊急命令が7日に発効されると、各地の主要空港でフライト状況を示す掲示板に欠航の通知が次々と表示され、旅行者のストレスは一気に増した。

国内便が混乱する中、複数の航空会社が顧客向けの案内を開始。デルタ航空、ユナイテッド航空、アメリカン航空などは、影響を受けていない便の利用者にも再予約や変更の手数料免除、全額返金などを提供して対応した。

いとこの結婚式を目指していたジョー・サリヴァン氏は、首都ワシントンのレーガン・ナショナル空港へ向かう車中で、ジョージア州アトランタ行きの便が欠航になったと通知を受け取った。

アトランタのハーツフィールド・ジャクソン・アトランタ国際空港は、世界で最も混雑する空港の一つとされ、デルタ航空の拠点でもある。そしてここも、政府による航空便削減の対象に含まれた。

「再予約はできたが、当初の予定から12時間以上も後の、翌日の便だった」とサリヴァン氏は話した。結婚式の2時間前には到着する予定なので、まだ間に合うかもしれないが、他の行事には参加できない。

「今夜は現地の家族と会う予定だったので、その点では非常に不便だ」、「今はいったん家に帰ってソファに座り、明日の便の出発を待つしかできない」とサリヴァン氏は話した。

空港では、1時間のフライトが欠航になる可能性に備えて、7時間かかる300ドルの鉄道チケットを買ったとBBCに話す女性もいた。

旅行者のベン・サウセダ氏は、無給労働は決して良いことではないと言い、「自分は飛行機に乗るたびに、自分の命を航空管制官に託している」と指摘。「管制官たちは最高だ(中略)でも今となっては、無給で働く人たちの手に、自分は自分の命を委ねている。どうやって家族を養えるか考えている管制官たちにとって、大きなストレスだ」とも同氏は話した。

「最高の技術で自分たちを守ってくださいとお願いしている管制官には、大変なストレスがかかっている。政府はこの事態を、何とかする必要がある」

手荷物検査を待つ人たちが何重にも行列している

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画像説明, 搭乗前の手荷物検査を待つ人の行列が続いた(7日、サンディエゴ国際空港)

政府閉鎖はいつ終わるのか

すでに38日間続く連邦政府の閉鎖がいつ終わるかは不明なままだが、連邦議会の議員の間には動きが見られる。

閉鎖の最初の数週間は、共和党と民主党の間で交渉はほとんど、あるいはまったく行われていなかった。しかし、今では対話が始まっており、双方とも合意に至る可能性があると考えている様子がうかがえる。

野党・民主党は7日、つなぎ予算を確保する案を提示した。しかし、与党・共和党の支持を得られていないため、可決の可能性は低い。つなぎ予算案を上院で通過させるには合計60票が必要だが、上院の議席は共和党53人、民主党47人で分かれている。

政府閉鎖が始まって以来、共和党が多数を占める上院では、政府再開のため同様のつなぎ予算法案について採決を繰り返しているが、可決できていない。

民主党は、共和党が低所得者向け医療補助の延長に同意しない限り、政府資金に関する短期措置を支持しない方針を貫いている。

対する共和党は、民主党が無関係な政策課題をめぐって政府を人質に取っていると非難している。

共和党のジョン・スーン上院院内総務は7日、記者団に対し、合意に向けた作業は週末も継続すると述べた。院内総務は、法案採決がある場合に備えて、上院議員たちに市内に留まるよう指示したという。

下院は政府が閉鎖されて以来、休会が続いている。

最近では、ドナルド・トランプ大統領が、上院のフィリバスター(議事妨害)ルールを廃止すれば、政府閉鎖を終息させられると言及し始めている。現行の決まりではフィリバスターが行われている場合、それを終わらせるのに採決で60票以上の賛成が必要になる。

フィリバスター制度を廃止し、つなぎ予算法案を単純過半数で可決できるようになれば、53議席をもつ共和党は、民主党の協力がなくても政府を再開させられる。

しかし、民主党・共和党を問わず、フィリバスター廃止案を支持する上院議員はほとんどいない。

それでもトランプ氏は7日、フィリバスター廃止を再び強く主張した。「上院は、民主党による政府閉鎖を終わらせる合意に達するまで、この街を離れるべきではない。合意に達することができないなら、共和党はフィリバスターを直ちに廃止し、偉大なアメリカの労働者たちのために行動すべきだ」(太文字は原文では全て大文字)、と、トランプ氏は自分のソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」に投稿した。