ナワリヌイ氏の葬儀、モスクワで執り行われる 数千人が集まり行進

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ロシア北極圏の刑務所で急死したと2月16日に発表された野党指導者アレクセイ・ナワリヌイ氏(47)の葬儀が1日、モスクワ南部で執り行われた。
葬儀の行われた教会や墓地には、ナワリヌイ氏を追悼するために数千人の市民が集まった。多くの人が花を持ち、ナワリヌイ氏の名前や反政府のメッセージを連呼した。
教会や墓地周辺には朝からフェンスが設けられ、警察官も多数出動した。
人権団体によると、同日夜までにロシア各地でナワリヌイ氏の追悼に参加した人が90人以上逮捕されたという。
ロシアのテレビ局は、ナワリヌイ氏やその葬儀についてほとんど報じていない。そのため葬儀の様子は、ナワリヌイ氏が立ち上げた「反汚職基金」が、ナワリヌイ氏のユーチューブチャンネルからリアルタイムで実況した。
葬儀は現地時間午後2時に、モスクワ南東部マリイノ地区にある教会で始まった。マリイノは、ナワリヌイ氏がかつて住んでいた地域。
教会に霊柩車(れいきゅうしゃ)が到着すると、集まった人々は拍手で出迎えた。

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この前日には、広報担当のキラ・ヤルミシュ氏が、霊柩車が手配できないなど、葬儀の準備が難航していると述べていた。
葬儀には母親のリュドミラ・ナワルナヤ氏と父親のアナトリイ・ナワリヌイ氏が参列した。
また、ドイツやフランス、アメリカの駐ロシア大使らが、赤い花束を持って参列した。
ナワリヌイ氏のチームは、教会内で撮影された告別式の写真を公開。棺(ひつぎ)が開けられ、赤と白のバラに囲まれたナワリヌイ氏の姿が見えた。棺の隣にはリュドミラ氏とアナトリイ氏が座り、ロシア正教会の司祭の姿もあった。

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棺はその後、埋葬のためモスクワ川南岸のボリソフスコエ墓地に移動した。
霊柩車に棺が載せられると、集まった人々が車に花を投げ、「ありがとう!」、「あなたを忘れない!」と叫んだ。
また、リュドミラ氏に対して、「息子さんにありがとう」、「許してください」などと声をかける人もいた。
霊柩車が墓地に向かうと、群衆も墓地へと行進した。
BBCのラウラ・ゴッツィ欧州記者は、人々が行進しながら「戦争反対」、「プーチンなきロシア」、「ロシアは自由になる」といったスローガンを叫んでいたと報告。
ロシアでは通常、こうしたスローガンが書かれたボードを持っているだけで逮捕されるが、人々はこの日、この機会に勇気づけられているようだと伝えた。

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ボリソフスコエ墓地からのライブ配信では、ナワリヌイ氏の開いた棺に、最後の別れを告げる両親や弔問客の姿が映った。
やがて棺は閉じられ、地中に降ろされた。
埋葬では、フランク・シナトラの「マイ・ウェイ」や、映画「ターミネーター2」の曲が演奏された。
広報担当のヤルミシュ氏は、「『ターミネーター2』は世界最高の映画だ」とナワリヌイ氏が思っていたのだとソーシャルメディアに書いた。
「あなたなしでどうやって」

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ナワリヌイ氏の妻ユリア・ナワルナヤ氏と2人の子どもは現在外国に住んでおり、クレムリン(ロシア大統領府)からの弾圧を懸念してロシアへの渡航を断念したと報じられている。
葬儀が終わった午後4時過ぎ、ナワルナヤ氏はソーシャルメディアに追悼文を投稿した。
ナワルナヤ氏は夫に「リョーシャ」と愛称で呼びかけ、「あなたなしでどうやって生きていけばいいのかわからないけど、上にいるあなたが私のために喜んでくれて、私を誇りに思ってくれるように、ベストを尽くします。できるかどうかわからないけど、やってみます」と語りかけた。
これと共にナワルナヤ氏は、2人の思い出をまとめた動画を投稿した。
ナワルナヤ氏は2月28日に欧州議会で演説し、夫が死亡したのはウラジーミル・プーチン大統領の命令によるものだと強く非難した。
90人以上逮捕
夕方になっても墓地の外には大勢が並んでいた。「プーチンは彼を殺したが、彼は屈しなかった」というプラカードも掲げられた。
弔問者の1人はBBCに「今この時に、怖がっているわけにはいかない。政府の連中こそ卑怯者だ。我々を恐れている。こちらは花をもって墓参りしているだけなのに」と話した。
ロシアの人権状況を監視する人権団体OVD-Infoによると、1日夜までにロシア各地でナワリヌイ氏の追悼に参加した人が少なくとも91人、逮捕された。
「戦争反対」、「私たちは恐れない」

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<解説>スティーヴ・ローゼンバーグ BBCロシア編集長
ナワリヌイ氏の遺体が収められた棺が霊柩車から運び出され、教会に運び込まれると、集まった大群衆から拍手が沸き起こった。
大勢が「アレクセイ」と名前を連呼し、「あなたは恐れていなかった、私たちもだ!」と叫んだ。
また、「戦争反対」「私たちは決して忘れない」「人殺し」といった声も聞かれた。
花やろうそくを手にした人々の長い列が、教会から道路に向かってずっと続いた。
通りに集まった人の中には、手すりに押しつけられたり、スーパーマーケットの近くの高台に立ったりしている人もいた。
教会の前に並んでいたアンナさんはナワリヌイ氏について、「私たちの希望でした。私の子供と同年代で、自分の息子を埋葬するような気持ちです」と語った。
若い女性のアリオナさんは、ナワリヌイ氏を追悼しに来た理由についてこう話した。
「彼しか信じられなかった。彼が大統領になるのを夢見ていた。私自身と、そしてこの国の人たちにとって、とてつもない悲劇です」












