ガザ決議案の採決、国連安保理が再び延期 新たな人質動画を武装組織が公開

戦闘が続くガザ地区南部ラファ(19日)

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国連安全保障理事会は19日、イスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘が続くパレスチナ自治区ガザ地区での、敵対行為の一時停止を求める決議案について、同日に予定していた採決を20日まで延期することを決めた。採決は当初、18日に行われる予定だったが、決議案の文言をめぐり激しいやり取りが続いている。ガザ地区の保健省は、19日のイスラエル軍の攻撃で100人が死亡したと発表した。人質の新たな解放交渉が進められているとの報道もある中、パレスチナの武装組織はイスラエル人の人質の動画を公開した。

ガザ地区をめぐる安保理決議案の採決ではこれまで、アメリカが拒否権を行使している。今回はこれを回避するための決議案の文言調整が続いている。

アメリカは、ほかの理事国と連携して決議案を作成中だとしている。

複数報道によると、アラブ首長国連邦(UAE)が提出した決議案の中身は、アメリカの支持を得るために、敵対行為の一時停止を求める文言がすでに弱められている。

新たな人質の交換をめぐる交渉が初期段階にあるとの報道もある。ポーランドではすでにアメリカ、カタール、イスラエルの協議が行われた。ハマスの政治部門トップは間もなくエジプトに向かう予定。

イスラエルのアイザック・ヘルツォーク大統領は、同国には人道的な戦闘の一時停止を再度実施する用意があると述べている。一方でハマスは、イスラエルの軍事作戦が続く間は交渉に応じないとしている。

1日で100人死亡とハマス

ハマスが運営するガザ地区の保健省は、19日のイスラエル軍の攻撃で100人が死亡したと発表した。

また、数百人が負傷したと、同省のアシュラフ・アルクドラ報道官はソーシャルメディアに投稿した。

イスラエルのヨアヴ・ガラント国防相は、ガザ地区での地上作戦について、「さらなる地域へ拡大する」と述べたと、イスラエル・メディアが報じた。

現地紙「タイムズ・オブ・イスラエル」は、ガラント氏の事務所の発表を引用し、ガラント氏がガザ地区との境界を視察した際、「ハンユニスは新たなテロの首都となった。我々はハマス幹部にたどり着くまで、そこでの行動を緩めない」と述べたと伝えた。

国境なき医師団(MSF)によると、ガザ地区北部のアル・アウダ病院を「12日間包囲」したイスラエル軍が、19日に同病院を制圧した。

16歳以上の男性が「病院から連れ出され、裸にされ、拘束され、尋問を受けた」という。

「尋問の後、男性の大半は病院に戻され、動くなと言われた」という。アル・アウダ病院には子供14人を含む数十人の患者が残っていると、MSFは付け加えた。

「この10週間、アル・アウダ病院は包囲され、空爆で損傷し、医療スタッフは爆発で死亡した。私たちが知る限り、ここはガザ北部で機能している最後の病院だ」

人道的一時停戦では「不十分」

国連の人道問題調整事務所(OCHA)のトップ、ジェマ・コーネル氏は、ガザ地区への援助物資の搬入を可能にする人道的一時停戦は「いま必要とされているものではない」と述べた。

また、戦闘の一時停止は「ガザ地区の復活を可能にする救済を与えるものではない」とし、戦闘は終わらせなければならないとした。

「それ(一時停戦)は、もとの生活に戻れるという見通しを、人々に与えるものではない」

「いま私が滞在している場所のすぐ近くのテントで暮らす子供たちに、自宅に戻って再建できる能力を与えるものではない」と、コーネル氏はBBCに語った。

イスラエル軍の攻撃で破壊された住宅の前に立つ子供たち(19日、ガザ地区デリ・アル・バラ)

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人質の動画を公開

パレスチナの武装組織「イスラム聖戦(PIJ)」は、ガザ地区で拘束されている人質2人の動画を公開し、イスラエル政府に解放交渉に応じるよう求めた。

公開された二つの動画には、男性が1人ずつ映っている。2人は、10月7日にイスラエル南部のキブツ(農業共同体)ニル・オズから連れ去られたガディ・モーゼスさん(79)とエラド・カツィールさん(47)だと名乗っている。

男性たちは、イスラエル軍の爆撃が自分たちの命を危険にさらしていると警告している。

戦争捕虜や人質は国際人道法で保護されている。BBCは強要されて撮影された可能性のある映像は放送しない。

ハマスはガザ地区で最大かつ最も強力な武装集団だが、PIJの武装部門アル・クッズ旅団なども10月7日のイスラエル襲撃に参加し、人質を取った。

PIJはハマスと同様に、イギリスやアメリカ、オーストラリアなどからテロ組織と指定されている。

ハマスは10月の奇襲で、約240人をイスラエルからガザ地区へ連れ去った。また、イスラエル側で約1200人を殺害した。

その後、イスラエルの刑務所に収監されていたパレスチナ人の釈放と引き換えに人質100人以上を解放した。

イスラエルから連れ去られたガディ・モーゼスを名乗る男性(パレスチナの武装組織「イスラム聖戦(PIJ)」が公開した動画の静止画)

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イスラエルから連れ去られたエラド・カツィールを名乗る男性(パレスチナの武装組織「イスラム聖戦(PIJ)」が公開した動画の静止画)

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