国連総長、ガザの状況は「国際人道法違反」 イスラエルは強く反発

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パレスチナ自治区ガザ地区のイスラム組織ハマスとイスラエルの軍事衝突をめぐり、国連のアントニオ・グテーレス事務総長は24日、イスラエルによる空爆と封鎖が続くガザ地区で「国際人道法違反」が見られるとの認識を示した。イスラエルは強く反発している。こうした中、ガザ地区の人道危機はいっそう深刻化している。
グテーレス氏はこの日開かれた安全保障理事会で、「どんな武力紛争でも民間人の保護が最重要だ」と強調。
イスラエルやハマスを名指しせずに、民間人を人間の盾として使うことや、「100万人以上の人々に対して避難所も食料も水も医薬品も燃料もない(ガザ)南部に避難するよう命じ、その上で南部を爆撃し続ける」ことは、民間人の保護に反すると非難した。
そして、「ガザで見られる明白な国際人道法違反を深く憂慮している」と発言。「武力紛争のいかなる当事者も、国際人道法を超越するものではない」と述べた。
グテーレス氏はまた、今回の軍事衝突のきっかけとなった今月7日のハマスによるイスラエルへの攻撃について、「何もない状況で急に起こったわけではない」と主張。
「パレスチナの人々は56年間、息のつまる占領下に置かれてきた。自分たちの土地を入植によって少しずつ失い、暴力に苦しんできた。経済は抑圧されてきた。人々は家を追われ、破壊されてきた。そうした苦境を政治的に解決することへの希望は消えつつある」と述べた。
同時に、「パレスチナの人々が怒っているからといって、ハマスによるおぞましい襲撃が正当化されるわけではない。また、おぞましい襲撃を受けたからといて、パレスチナの人々に対する集団的懲罰が正当化されるわけではない」とした。
イスラエルは辞任を要求
イスラエルはこれに猛反発している。
ギラド・エルダン国連大使は、「指定されたテロ組織によってイスラエル国民に対して実行された、この上なく恐ろしい行為に理解を示す人々と話をすることに、何の正当性も意味もない」と、グテーレス氏の発言を非難。
「(グテーレス氏に)即時の辞任を求める」とX(旧ツイッター)に投稿した。

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安保理会合に出席したアメリカのアントニー・ブリンケン国務長官は、「火に油を注いではいけない」と発言。イスラエルとハマスが衝突する中、新たな戦線が他国や別組織によって開かれるのを阻止するため、安保理が結束したメッセージを発するべきだと訴えた。
ブリンケン氏はまた、イランに対して、いかなる攻撃にも「断固として」対処すると警告。「私たちは間違いなく自国民を守る。迅速かつ断固として安全保障を守る」と述べた。
さらに、ガザ地区に支援が届くよう、人道的な戦闘停止を検討する必要があるとした。
子ども2360人死亡とユニセフ
ガザ地区の人道危機は深刻度を増している。
ガザ地区の国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)は、燃料の必要性を改めて強調。タマラ・アル・リファイ広報官は、「燃料がなければ私たちは仕事ができず、人々は死ぬかもしれない」とBBCに話した。
「私たちのトラックが支援物資を受け取って運ぶための燃料が必要だ」
「きれいな水を手に入れるためにも、淡水化プラントを動かす燃料が必要だ。病院も燃料が必要だ。救命装置が動かなければ人々は死んでしまう」
UNRWAでは学校を中心にガザ地区の150カ所で避難所を設置しているという。ジュリエット・トゥーマ広報部長は、「それらの場所に避難者60万人が身を寄せている。みんな食料、水、衛生設備を必要としている。マットレスも、保護も必要だ」とBBCのラジオ番組で話した。
トゥーマ氏はまた、「緊急に燃料を調達しなければ、明日(25日)夜をもって私たちはガザ地区での活動を停止せざるを得ない」とした。
ハマスが運営するガザ地区の保健当局は、地区内の病院が「完全に崩壊した」との声明をテレグラムに投稿。
「病院12カ所と保健センター32カ所がサービスを停止している。攻撃の標的にされ、燃料も不足していることから、今後数時間でさらに多くがサービスを停止するだろう」とした。
その上で国際社会に対し、病院への燃料の供給と、専門医師団の派遣を要請した。

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こうした中、パレスチナ赤新月社(PRCS)は、水、食料、医薬品を積んだトラック8台がエジプトからラファ検問所を通ってガザ地区に入ったと、X(旧ツイッター)で明らかにした。
PRCSによると、トラック5台は水、2台は食料、1台は医薬品を載せていたという。
ガザ地区の保健当局は24日、地区内の死者は今月7日以降、少なくとも5791人に上ったと発表した。前日より700人以上増えた。
国連児童基金(ユニセフ)のアデル・ホドル中東・北アフリカ地域事務所代表は、過去18日間の軍事衝突によるガザ地区での子どもの被害について、死者2360人、負傷者5364人に上っているとした。また、毎日、子ども約400人が死傷しているとした。
イスラエルがガザ北部でビラ投下
イスラエルは、前日だけでガザ地区の標的400カ所以上を攻撃したと発表した。ハマスの施設を狙ったとしている。
イスラエル軍は、ガザ地区北部でビラを投下した。ハマスに拘束されている人質に関して情報を求めるもので、見返りに保護と補償を提供するとしている。
ビラにはアラビア語で、「もしあなたが平和に暮らし、子どもにより良い未来を与えたいなら、直ちに人道的行為を実行し、付近で拘束されている人質に関する確かで貴重な情報を提供してほしい」と書かれている。
また、「イスラエル軍は、あなたとあなたの家の安全を確保するため、最大限の努力をすると保証するし、金銭的な報酬も支払う。完全な秘密保持も保証する」としている。
ロイター通信は、このビラを破り捨てた男性がいたと報じた。男性は「ガザにいる私たちは、東から西までみんな抵抗を続けている」、「私たちは避難所も、食べ物も、水も、動物が飲むような水さえない、危険な場所で生活している。だが勝利の日までここにとどまる」などと話したという。
イスラエル中部にロケット弾
イスラエル当局は、同国中部にロケット弾が落下し、5人が軽傷を負ったと発表した。周辺には空襲警報のサイレンが鳴り響いた。
現地メディアは、今月7日のハマスの襲撃以降で最大規模の攻撃だと伝えている。
イスラエル当局は、ハマスによる攻撃の死者は1400人を超えているとしている。また、200人以上がハマスに人質に取られているとしている。
イスラエル軍は、パレスチナ自治区ヨルダン川西岸地区のジェニン市近郊でパレスチナ人と衝突し、ドローン(無人機)による攻撃を実施したと、ソーシャルメディアで明らかにした。
一方、イギリスのリシ・スーナク首相の報道官は24日、ハマスによるイスラエル攻撃による同国人の死者が12人となり、行方不明者は5人だと明らかにした。








