マッカートニー氏の所在不明のベース、世界規模の捜索プロジェクト始まる

ショーン・セドン、BBCニュース

Paul McCartney playing the missing guitar

画像提供, Apple Films Ltd

画像説明, 2021年公開のドキュメンタリーでは、紛失する前のベースを持つポール・マッカートニー氏の姿が確認できる

英ロックバンド、ビートルズのメンバーだったサー・ポール・マッカートニーが使用し、所在が分からなくなっているベースギターを世界規模で捜索するプロジェクトが始まった。

「ザ・ロスト・ベース・プロジェクト」は、「史上最も重要なベース」についての情報提供を呼び掛けている。

マッカートニー氏は1961年に、ドイツ・ハンブルグでヘフナー社の「500/1 バイオリンベース」を30ポンド(現在のレートで約5500円)で購入。しかし、8年後に所在が分からなくなった。

このベースはビートルズの「ラヴ・ミー・ドゥ」や「シー・ラヴズ・ユー」といったヒット曲で使われた。

マッカートニー氏がこのほど、ヘフナーにこのベースを捜索するよう依頼し、プロジェクトが始まったという。

プロジェクトを主導するのは同社のニック・ワス氏。2人のジャーナリストと共に、「ロックンロール史上最大のミステリー」に挑むとしている。

ワス氏はマッカートニー氏との長年の協力関係で知られ、今回のベースについて本も書いている。

ワス氏はBBCの取材に対し、マッカートニー氏が最近、話を持ち掛けてきたのが、捜索プロジェクトのきっかけだと語った。

「ビートルズを作ったベース」

このベースに何があったのかは分からない。ワス氏は、恐らく1969年に「ゲット・バック」の撮影が終わった後にどこかに置き去りにされたのだろうと話した。

「どこにしまわれたのかも、誰がその場にいたのかもわからない」

「多くの人は思い出すだろう。(中略)あれはビートルズを作ったベースだった」

この捜索を手助けしているのは、共にBBCニュースと仕事をしてきたスコット・ジョーンズ、ナオミ・ジョーンズ夫妻だ。

スコット氏は2022年のグラストンベリー音楽フェスティバルでマッカートニー氏が使った楽器を見た後、このベースの運命に興味を持ち、ヘフナーに接触した。すると、ヘフナーはすでにこの有名な顧客から捜索を要請されており、検討を進めていたという。

「ポールはヘフナーに、『誰かがこのベースを見つけられるとしたら、それはもちろんあなたたちだ』と言った。それが全ての始まりだった」と、スコット氏はBBCに語った。

「今はこのプロジェクトで協力している。ニックはこの楽器について地球上の誰よりも技術的な知識がある。私とナオミは調査スキルを持ち寄っている」

Ringo Starr and Paul McCartney (playing a Höfner 500/1 violin bass guitar) on stage during recording of the American Broadcasting Company (ABC) music television show 'Shindig!' at Granville Studios in Fulham, London on 3rd October 1964

画像提供, David Redfern/Getty

画像説明, マッカートニー氏は現在までヘフナー製のベースを使い続けているが、最初に買ったベースは、1969年を境に所在不明になっている。写真は1964年10月3日にアメリカのテレビ番組に出演した際のもの

このベースがオークションでいくらで取引されるかは誰にもわからないが、いくつかの前例がある。

ジョン・レノン氏の盗難されたギターは、半世紀後に再浮上した際には240万ドル(約3億5000万円)の値が付いた。米ロックバンド「ニルヴァーナ」のカート・コベイン氏が、音楽番組MTVアンプラグドで使用したアコースティックギターは600万ドル(約8億7700万円)で落札された。

マッカートニー氏の時代を決定づけたベースは、どちらの金額も超えるだろう。しかし今回のプロジェクトのチームは、捜索に商業的な動機はないと明確にしている。

スコット氏は、「ヘフナーは、誰かが純粋な善意で申し出るだろうと予想している。その人は恐らく、自分が何を持っているのかさえ分かっていないだろう」と話した。

「いつか、あのベースを公に展示できればいいと思う。それに、もし誰かが申し出る唯一の方法が、お金稼ぎであるなら、それでもいい。少なくとも発見はできるので」

「でも究極的には、私たちはポールのベースを取り返したいだけだ。ニックとヘフナーから、それが彼がすっと求めてきたことだと聞いている」

プロジェクトが呼びかけを始めてから48時間以内に、チームは何百件もの新しい手掛かりを受け取ったという。そのうち2件については、詳しい調査が始まっているという。

ベースの特徴は?

アマチュア探偵がこのベースを特定しようとするなら、知っておくべき目印がいくつかある。

決定的な証拠はヘフナーのロゴだ。このベースのオリジナルモデルでは、ロゴはベースのヘッド部分に垂直方向に入っている。しかし、マッカートニー氏が使った後発モデルは水平方向にロゴが入っているという。

また、最後に見られた時とそれ以前の写真では、ベースの見た目がかなり違っている。これは、長年のツアーを経て改修されたからだという。

マッカートニー氏のベースは暗めの色合いで、パール製のピックガードは外されている。また、黒い木の板の上にピックアップが二つ付けられていた。