米ニューヨークで中国「秘密の警察出先機関」運営の疑い FBIが2人逮捕

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米検察当局は17日、ニューヨーク市マンハッタンのチャイナタウン地区で中国の「秘密の警察出先機関」を運営した疑いで、同市在住の男性2人を逮捕したと発表した。
報道などによると、盧建旺容疑者(61)と陳金平容疑者(59)は共謀して中国政府の代理人として行動した疑いと、司法妨害の疑いで訴追された。17日に同市ブルックリンの連邦裁判所に出廷した。
有罪とされた場合、両容疑者は最長25年の禁錮刑となる。
米司法省国家安全保障部門のマシュー・オルセン司法次官補は、「PRC(中華人民共和国)の行動は、国家として許容される範囲をはるかに超えている。私たちはこの国に住むすべての人々の自由を、権威主義的な抑圧の脅威から断固として守る」と述べた。
ブルックリン検察トップのブリオン・ピアース氏も、「今回の訴追は、中国政府がニューヨーク市の真ん中に秘密警察署を設置し、私たちの国の主権を甚だしく侵害したことを明らかにするものだ」とした。
中国はこれまで、「警察の出先機関」の運営を否定している。問題となった機関については、外国で暮らす中国国民のための「サービスセンター」だとしている。
こうした出先機関は、イギリスやオランダなど53カ国に100以上あるとみられている。カナダでは先月、連邦警察がモントリオール地域の2カ所で捜査を進めていると発表した。
嫌がらせや脅迫に関与の疑い
米司法省によると、ニューヨーク市ブロンクス在住の盧容疑者とマンハッタン在住の陳容疑者は、中国公安部の代理として、アメリカで最初となる海外の警察の出先機関を開設した疑いがもたれている。
この出先機関の関係者が、連邦捜査局(FBI)の捜査に気づいたことから、出先機関は昨秋閉鎖されたという。
検察当局によると、盧容疑者は中国の警察当局と関係が濃く、中国反体制派への嫌がらせなどの「抑圧活動」に2015年から協力してきたという。2018年には、中国からの逃亡者とされる人物やその家族に嫌がらせや脅迫を繰り返すなどし、帰国を後押ししたとされる。中国の民主化運動家の居場所の特定にも協力したという。
盧容疑者はそうした行為を否定している。
検察当局の説明では、盧容疑者と陳容疑者は昨年10月、FBIがこの出先機関とされる施設を捜索した際に尋問を受けた。両容疑者とも携帯電話を押収され、アメリカでの活動を指示していたとされる中国公安部関係者らとの通信を削除したと述べたという。
「サービスステーション」と説明
アメリカとカナダの中国大使館は、問題となっている機関について、新型コロナウイルスのパンデミックの期間に開設された「海外サービスステーション」だと説明。運転免許証の更新などの支援を在外国民に提供していたとしている。
しかし人権団体は、中国当局が国外在住の中国人を脅迫・監視するためにこの機関を利用していると非難している。
カナダの連邦当局は先月、「中国の警察出先機関とみられる機関」から脅迫を受けた中国系カナダ人に名乗り出るよう呼びかけた。
カナダのジャスティン・トルドー首相は、「RCMP(王立カナダ騎馬警察)がこの件を調べ、情報当局が真剣に受け止めるよう確認している」と述べた。
FBIのクリストファー・レイ長官は昨年11月、警察の出先機関とされる組織についての報告を注視しているとし、「現実の問題」だと述べていた。
別に中国公安部34人を訴追
これとは別に、米当局は17日、偽のソーシャルメディアアカウントを使って米国内の中国反体制派に嫌がらせをし、中国政府の公式プロパガンダを広めたとして、中国公安部の職員34人を訴追したと明らかにした。
検察当局によると、訴追された職員は全員、「912専項行動工作組」として知られるエリート部署の所属で、中国やアジアの国々に住んでいるとみられる。同部署は「アメリカなど世界各地の中国反体制派を標的にする」ことを活動目的にしているという。






