テニスのウィンブルドン大会、今年はロシアとベラルーシの選手出場認める

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テニスのウィンブルドン選手権の主催者は31日、今年7月の大会でロシアとベラルーシの選手の出場を認めると発表した。「中立的なアスリートとして競技する」ことなどが条件となる。
ウィンブルドン選手権を主催するオール・イングランド・ローン・テニス・クラブ(AELTC)は昨年の大会については、ロシアによるウクライナ侵攻と、ベラルーシがロシアを支援したことを受け、ロシアとウクライナの選手の出場を禁止した。7月3日からの今年の大会についてAELTCのイアン・ヒューイット会長は、「我々は引き続き、ロシアの違法な侵略を全面的に非難し続けるとともに、ウクライナの人たちを心から支援し続ける」とコメント。
「今回の決定は非常に難しいもので、軽々しく決めたわけではないし、影響を受ける人たちに大いに配慮して決めたことだ」と会長は述べた。
今年の大会に関する決定は、ウィンブルドンに向けてイギリス国内で開かれるトーナメントにも適用される。
出場する選手には、次のような条件が求められる。
- ロシアとベラルーシの両方、またはいずれか一方の国家や政権や指導者を支持しないと同意する
- ロシアとベラルーシの両方、またはいずれか一方の国家から資金援助を受けないこと。両国家が運営もしくは支配する企業からのスポンサーシップも、これに含まれる

ロシアとベラルーシの選手出場が認められることになり、男子と女子の世界ランキング上位にいるロシアのダニール・メドヴェジェフ、アンドレイ・ルブレフ、ダリア・カサトキナ各選手の出場が可能になった。
同様に、今年の全豪大会で優勝した女子ランキング2位のアリーナ・サバレンカ選手(ベラルーシ)も、出場できることになった。
ウィンブルドンに出場するためには、選手とスタッフは中立宣言に署名しなくてはならない。この宣言に違反した場合は、罰金や大会追放の罰則の対象になる。
昨年の出場禁止措置で罰金
プロテニスでは、ウィンブルドン選手権以外の四大大会で、ロシアとベラルーシの選手が「中立」選手として出場することがすでに認められている。
昨年のウィンブルドンでロシアとベラルーシの選出の出場を禁止したことについて、男子と女子のプロテニスツアー(ATP、WTA)はAELTCと英LTA(ローンテニス協会)に罰金を科した。
ウィンブルドンに関する昨年の決定は、イギリス政府の助言に沿ったもので、世論調査会社YouGovのオンライン調査によると、イギリス国民の69%が支持していた。
AELTCは、今年の大会についての決定は、イギリス政府やLTAのほか各国の関係者と協議した結果のことだとしている。
AELTCとLTAは、昨年の決定の正当性について譲るつもりはないものの、もし今年も同様の決定をしたなら、LTAはATPとWTAから除名されてしまうところだったと明らかにした。
その場合、クイーンズやイーストボーンなどイギリス国内の芝のコートで大会が開けなくなり、イギリスのテニス団体が資金的に苦しむことになったはずだという。
AELTCはさらに、「この1年、イギリス国外のテニス大会ではロシアとベラルーシの選手が『中立』選手として出場していた。加えて、現在のテニス環境において、四大大会が条件を一律にそろえることの重要性が増していると考える」と、今年の決定の理由を説明した。
ウクライナからは反発
今回の決定に先立ちウクライナのエリナ・スヴィトリナ選手はBBCに対して、「罪のないウクライナ人がまだ殺されている」間は、ロシアとベラルーシの選手はウィンブルドン大会に出るべきではないと話していた。
ウクライナのドミトロ・クレバ外相は、ウィンブルドン選手権に関する方針転換を「道徳にもとる」と非難し、ロシアやベラルーシの選手に査証(ビザ)を発行しないよう求めた。
「ロシアは侵略や残虐行為をやめたのか? いや、やめていない。ただウィンブルドンが両国の共犯同士への配慮を決めただけだ」と、外相はツイッターで書いた。
イギリスのルーシー・フレイザー文化相は、今年のウィンブルドン選手権に関するAELTCとLTAの決定を支持。「プーチンがウクライナで戦争を続ける間、我々はロシアとベラルーシを代表する選手が国内外のスポーツ大会出場を認められるべきではないと、姿勢を明示してきたし、それは今も変わらない。他方、自己負担で個人として出場するロシアやベラルーシの選手は、中立性に関する我々の指針に従うことを条件に、イギリスで競技に出場できる」とした。
文化相はさらに、「ロシアの侵略に対して、信義をもとに態度を示したからといって、AELTCとLTAが国際テニス・ツアーに罰金を科せられたのは間違っている」と批判した。
ATPとWTAはこうした批判には応えていないものの、共同声明で「すべての選手が競技の機会を与えられることを喜んでいる」と述べほか、「私たちはロシアによるウクライナに対する戦争を、明確に非難しているし、その非難をあらためて繰り返す」と強調した。










