メキシコ国境の移民施設で火災、少なくとも38人死亡

Mexican authorities and firefighters remove injured migrants, mostly Venezuelans, from inside the National Migration Institute (INM) building during a fire, in Ciudad Juarez, Mexico March 27, 2023

画像提供, Reuters

画像説明, メキシコ北部シウダードファレスの移民施設から火災の負傷者を救助する消防隊員

メキシコの移民手続きセンターで27日夜に火災があり、少なくとも38人が死亡した。当局によると、火災は収容者が強制送還に抗議する中で発生した。

犠牲者の多くは、アメリカに向かうために中南米から移動してきた人々だという。

火災があった施設のある北部シウダードファレスは、リオグランデ川をはさんで米テキサス州エル・パソと隣接している。ここ数週間、多くの人々が流れ込んでいた。

現在、多くの人が、新型コロナウイルスのパンデミック時に導入された「タイトル42」の廃止を期待してアメリカ国境へ向かっている。「タイトル42」は米公衆衛生法の一部で、国境を越えようとする移民を迅速に追放する権限を米政府に与えるもの。

火災が発生した移民手続きセンターの位置を表した地図
Presentational white space

メキシコのアンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール大統領は、移民がマットレスに火をつけたと説明した。

「送還されると知りって抗議を行った際に出火したと我々は考えている。(中略)それがこのひどい悲劇につながるとは思っていなかったのだろう」と、大統領は述べた。

現場の写真には、施設の外の歩道に遺体を収容した袋が並んでいる様子が写されている。

地元メディアによると、火災が発生した建物にいた移民は、27日に当局に連行され、この施設に到着した。施設は、アメリカとメキシコをつなぐスタントン=ラード橋の近くにある。

この施設はメキシコ国立移民研究所(INM)が管理しており、火災発生時には中南米からやってきた男性68人が施設内にいた。火災では29人がけがをしている。

メキシコ当局によると、死傷者にはグアテマラ、ホンジュラス、ヴェネズエラ、エルサルバドル、コロンビア、エクアドルの出身者がいた。

グアテマラのマリオ・ブカロ外相は記者団に対し、この火災で28人のグアテマラ国民が亡くなったと述べている。

アメリカの税関国境警備局は声明で、「火災で負傷し、メキシコからアメリカの医療機関に救急車で搬送され、治療を受けている人たちを受け入れ、手続きを行う準備がある」と述べた。

国連のアントニオ・グテーレス事務総長は、「徹底的な調査」を呼びかけた。

国連の報道官は、グテーレス氏が「より安全で規則に沿った、組織的な移住に向けた道筋を確立するため、さまざまな人の移動が発生する国々の当局と協力し続ける」と述べたとした。

アメリカのケン・サラザール駐メキシコ大使は、この悲劇は「崩壊した移民制度を修復する重要性と、不法移民の危険性を、この地域の各国政府に思い起こさせるもの」だと述べた。

「タイトル42」とは

タイトル42は、アメリカの国境警備当局が、「感染症の拡大を防ぐため」に個人の入国を拒否できるもの。ドナルド・トランプ前政権が2020年、COVID-19のパンデミックに際して導入した。

ジョー・バイデン政権はこの措置を廃止する意向を示しているが、現時点では有効のままとなっている。

バイデン政権が廃止の方針を発表して以降、シウダードファレスには多くの移住希望者が流れ込んでいる。

最近でも、ヴェネズエラ国民を中心とする数百人が、シウダードファレスとエルパソをつなぐ橋を無理やり渡ろうとした。

米当局はバリケードを設置し、このグループは「大人数での入国を図る脅威となる可能性」を示したと述べた。