ゼレンスキー大統領、EUに戦闘機供与を呼びかけ 欧州議会で演説

President Zelensky spoke of Ukraine's "European way of life" throughout his speech

画像提供, European Parliament

画像説明, 欧州議会で欧州連合(EU)旗を持つウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領と、ロベルタ・メツォラ議長

ウォロディミル・ゼレンスキー大統領は9日、欧州連合(EU)の首脳らに対し、ロシアの侵攻に対抗するための戦闘機や兵器の供与を呼びかけた。

ゼレンスキー氏が国外に出るのは、昨年2月の侵攻開始以来、昨年12月の訪米に続き2回目。8日にイギリスフランスを訪問した後、9日にブリュッセル入りした。

ブリュッセルでは欧州議会で演説した後、EU首脳会談に出席し、「我々は協力のダイナミクスを高め、侵略者よりも早く実行しなければならない」と語った。

戦闘機供与をめぐっては、すでに一部のEU首脳が、集団的な動きにするべきだと強調している。また、公の場でこの議論が展開されることを避けようとする首脳がいる一方で、供与がエスカレーションを招き、ロシアのシナリオに乗っかってしまうとの懸念の声も上がった。

ロシア政府は9日、欧米の直接的な関与と間接的な関与の境界線がなくなりつつあると警告した。

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ゼレンスキー氏は、未公表だが前向きな合意がなされたと発言。ミハイロ・ポドリャク大統領顧問もウクライナのテレビ番組で、今年中に長距離ミサイルと戦闘機が供給される予定だが、交渉次第だと話した。

イギリス政府は、長期的な戦闘機の提供についてはまだ決定していないが、ウクライナがすでに保有する戦闘機でウクライナのパイロットに訓練を提供するとしている。

ポーランドのマテウシュ・モラウィエツキ首相は、同国は「北大西洋条約機構(NATO)という組織全体」としてしか動かないと述べた。オランダのマルク・ルッテ首相は、この議論は非公開の場で行われるべきだと指摘した。こうした中、欧州議会のロベルタ・メツォラ議長は、ウクライナの戦闘機供与の要請について早急に考慮すべきだとEU加盟国に呼びかけた。

ゼレンスキー氏は、欧州議会での演説で繰り返し、ウクライナと欧州の暮らし方の共通性について語った。ウクライナはすでにEUに加盟申請をしており、通常何年もかかる加盟への道を迅速に進めるよう、EUの指導者らに働きかけている。

「ウクライナはやがてEUに加盟する」と、ゼレンスキー氏は欧州議会議員らに述べ、ウクライナは欧州と共に「現代における最大の反欧勢力」から身を守っているのだと強調した。このテーマはその後の首脳会議でも繰り返され、自由なウクライナがなければ自由な欧州もあり得ないとゼレンスキー氏は強調した。

French President Emmanuel Macron (R) walks next to Ukraine's President Volodymyr Zelensky (L) before heading to Brussels, in Military Airport Villacoublay, in Velizy-Villacoublay, Southwest of Paris

画像提供, EPA

画像説明, ゼレンスキー氏は8日にエマニュエル・マクロン仏大統領とも会談した
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ゼレンスキー大統領は8日、イギリスを訪れ、リシ・スーナク首相と会談。午後には英議会で演説し、チャールズ国王とも面会した。

スーナク首相はゼレンスキー氏の戦闘機供与の要請に対し、「可能性は排除されていない」と述べている。

英首相官邸は、イギリスが供与できる戦闘機についてベン・ウォレス国防相が調査を進めていると説明。しかし、「長期的な解決策」であり、パイロットの訓練には何年もかかる可能性があると強調した。

ゼレンスキー氏はその後、仏パリでエマニュエル・マクロン仏大統領とドイツのオラフ・ショルツ首相とも会談した。

ゼレンスキー大統領はパリでの共同記者会見で、、フランスとドイツが戦車や現代の戦闘機、長距離ミサイルをウクライナに提供すれば、戦況を「大きく塗り替え」られるかもしれないと語った。

マクロン氏は先に、戦闘機供与にある程度の前向きさを示していたが、ショルツ氏は慎重な構えを見せている。

マクロン氏は8日の会見で、ウクライナはフランスの支援を頼りにできるとし、フランスが「ウクライナの勝利と正しい権利の回復を助ける決意をした」と述べた。ショルツ氏は、「我々の立場は変わっていない。ロシアを勝たせるわけにはいかない」と述べた。

ロシアの侵攻開始から11カ月が過ぎ、その間、ゼレンスキー氏はウクライナをほとんど離れていない。ウクライナ政府高官は、今回の外国訪問は結果を得るためのものだと話している。

西側諸国は先に、ウクライナに主力戦車の供与を次々と発表したが、ゼレンスキー氏は戦闘機と長距離ミサイルが重要だとしている。パリでの協議では、兵器供与には「わずかな時間しか」残されていないと警告した。

オランダのルッテ首相は、戦闘機供与の決定の前には多くのデリケートな問題を話し合わなくてはならないと指摘。「賛否両論がある。第5条によって、NATOとロシアの直接対決にならないよう、確実に確認する必要がある」と述べた。NATO条約第5条は、1つの加盟国への攻撃は全加盟国への攻撃に等しいと定めている。

ショルツ首相はつい最近、ドイツ製戦車「レオパルト2」の供与に同意した一方、ウクライナ向けの兵器システムの「公開入札」に巻き込まれないよう警告している。

ロシアの反応は

モスクワは開戦以来、西側諸国に対して武器供与を行わないよう繰り返し警告しており、「挑発行為」と呼ぶものには報復すると頻繁に脅している。

ロシア大統領府のドミトリ・ペスコフ報道官はモスクワでの記者会見で、ウクライナへの戦闘機派遣の議論が高まっていることについて問われると、ロシアはこれを、英仏独が紛争への関与が高まっている証拠と見ていると述べた。

「我々はこれを遺憾に思う。各国の一連の行動は、この紛争をめぐる緊張の悪化につながり、紛争を長引かせ、ウクライナの痛みと苦しみを増すばかりだ」