イギリス各地で救急隊員や看護師のスト続く、年明けにも決定

Striking ambulance service staff in London

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画像説明, ロンドンでストを行う緊急退院

英イングランドとウェールズの大半の地域で21日、救急隊員や緊急電話の応答係などが昇給を求めるストライキを行った。

救急サービスは28日にもストを行うほか、イングランドでは新たに来年1月11日と23日のストが決定した。ウェールズの労働組合も、新年のストを可決した。ストには救急隊員、通信指令室のスタッフ、支援スタッフが参加する。

イギリスではこのところ、生活費危機を受けてさまざまな分野でストが相次ぎ、市民生活に影響が出ている。物価高騰に伴う生活費上昇を乗り切るため、何万人もの労働者が給与での支援を求めている。

12月には救急サービスだけでなく看護師もストを行っており、以前からサービスの停滞が指摘されている国民保健サービス(NHS)にさらなる重圧がかかっている状態だ。

スティーヴ・バークリー保健相は、これ以上のストは誰のためにもならないと警告。賃金は独立した機関の推奨額に見合っているため、交渉は行わないとしている。

一方、労働組合のリーダーらは、ストは政府が賃金交渉を拒否していることの直接的な結果だとしている。

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Presentational white space

21日のストには、ユニゾン、全国都市一般労組(GMB)、ユナイトの3労組に所属する救急サービススタッフ約1万人が参加。生活費の上昇に見合う昇給を求めた。具体的な昇給率は提示していないが、雇用危機を引き起こさない基準が必要だとしている。

ストは地域によるものの、12~24時間継続した。心臓発作など最も深刻度の高い「カテゴリー1」の急患は救急搬送が受けられたが、それ以下の基準の患者については、各地域のNHSに判断が委ねられた。

影響を受けた地域の人々は、命の危険がある場合にはなお緊急サービスを呼ぶ「999」に通報するようアドバイスを受けた。一方、それ以外の場合は適切なサービスを案内する「111」への連絡が推奨された。

なお、ストはイングランド東部とワイト島、北アイルランド、スコットランドでは行われなかった。

ストに伴い、陸軍から約750人が救急車の運転など、支援に出動した。しかし、重症患者を対象とした出動や、臨床的な治療は行わなず、その役割は限定的だった。

28日のストにはGMB所属のスタッフが参加する予定。

また年明けのストは、ロンドンを含むイングランドの5地域が対象になるという。ユニゾンによると、ストは24時間続き、「999」対応スタッフだけでなく、救急サービスに係る全ての職員が参加する。

バークレリー保健相は、「一部の組合員が、さらにストに入ることを選んだのは残念だ」と述べた。

保健相はさらに、組合の賃金要求は「最前線のサービスから資金を奪うことを意味し、治療のさらなる遅れを引き起こす」と述べ、再度のストライキ決行は再考するよう呼びかけた。

保健相は、救急隊員にはすでにNHSが推奨する賃上げがなされており、これ以上の賃上げは払えないと繰り返し述べている。

その一方で保健相は、2023年4月からのイングランドのNHS職員の来年の賃金協定には前向きだとされている。しかし労組は、一連のストライキは今年の賃金提示についてだと強調している。

スト以前から救急対応に遅れ

Ambulances parked ahead of the ambulance strikes on Wednesday

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イギリスではストが始まる以前から、救急サービスの対応遅延が問題となっている。救急外来の外で1時間以上待たされた救急車は1万6000台と、全体の25%になるという。

イングランドでは、救急隊員から病院スタッフに患者を引き継ぐ時間の目標を15分としている。

しかし今週は、搬送10件のうち4件で、救急外来に到着した救急車が患者をおろすまでに少なくとも30分の待機時間があった。これは先週の10件中3件から増えている。

さらに、待機時間が1時間以上だったケースは17%から25%に増加。救急隊員の対応時間に換算すると4万6000時間の遅れに相当する。

看護師のストも継続

Striking nurses in Cambridge
画像説明, ケンブリッジでストに参加する看護師(15日撮影)

イギリス看護協会(RCN)の看護師は今月15日と20日に大規模なストを行ったが、新年にもさらにストを行うと発表した。12月にストを行ったイングランドとウェールズ、北アイルランドに加え、スコットランドでもストが行われる予定。

RCNには、NHSの看護師の3分の2に当たる約30万人が所属している。

RCNは19%の賃上げを求めているが、これに対してNHSの賃金統括団体は7月、平均4%増にあたる1400ポンドの昇給を提示(熟練看護師についてはこれよりわずかに多く賃上げ)。スコットランドのNHSも平均7.5%の昇給を提示した。いずれも労組側に拒否されている。

イギリスと北アイルランドのNHSトラストによると、15日のストでは、少なくとも1万9000人の患者が診療や手術の延期を余儀なくされた。イングランドだけでも9999人の看護師がストに参加したという。

クリスマス前に郵便局がスト

Royal Mail postal worker

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郵便業務を担当するロイヤル・メールの労働者は、クリスマス直前の繁忙期にあたる12月23日と24日、昇給と労働条件の見直しをめぐってストを行う。

ストに参加するのは通信労働者労働組合(CWU)に所属する労働者で、11万5000人以上に上る。

スト当日は一部の郵便物以外の配達が行われず、集荷なども停止する。ただし、郵便局は別事業のため、営業するという。また、クリスマスカードの投函期限が前倒しされた。この期限はすでに過ぎている。

ロイヤル・メールは18カ月で9%の賃上げを提示しているが、これは現在の物価上昇率(10.7%)よりも低いため、労組は追加の昇給を求めている。

CWUはまた、各種手当の廃止や日曜勤務の義務化といった労働条件の変更に抵抗している。