欧州議会で汚職疑惑、副議長を逮捕し4人訴追 「湾岸国」が贈賄か

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欧州議会で「湾岸国」による贈賄疑惑が持ち上がっており、捜査当局は11日、議会関係者4人を訴追した。この湾岸国はカタールだと報じられている。
この疑惑では先に、エヴァ・カイリ副議長(ギリシャ)が逮捕された。
欧州議会のあるベルギーの検察当局は、湾岸国が欧州議会での決定に影響を及ぼそうと、寄付金や贈り物を渡したとみている。
現地メディアによると、この湾岸国はカタールだという。カタールは疑惑を否定している。
監視組織や、反対派の議員らからは、欧州議会における最大の汚職スキャンダルになる可能性があるとの声もあがっている。
カイリ副議長は職務停止
ベルギーの憲法では、欧州議会議員の家宅捜索には議長の立ち合いが必要だと定められている。ロベルタ・メツォラ議長は10日夜、地元マルタから飛行機でブリュッセルに戻った。
メツォラ議長の報道官は、「エヴァ・カイリ氏に委任されていたすべての権限、職務、任務を即刻停止することを決定した」と説明。また、欧州議会は「汚職に断固として反対」し、捜査当局に「全面的に協力している」と述べた。
カイリ氏は、14人いる副議長の1人としての職務権限を停止され、欧州議会の会派「社会民主進歩同盟」の資格も一時失った。地元ギリシャでは、中道左派政党の全ギリシャ社会主義運動(PASOK)から除名された。
ベルギーの警察は9日の捜索で、16カ所から合わせて約60万ユーロ(約8600万円)の現金を押収した。コンピューターや携帯電話なども、データの確認のために押収した。
また、6人が事情聴取のために拘束されたが、うち2人はその後、釈放されている。
ベルギーの連邦検察局は声明で、「捜査を指揮するブリュッセルの捜査判事により、4人が逮捕された。犯罪組織への参加、マネーロンダリング(資金洗浄)、汚職の容疑がかけられている」と説明した。
また、湾岸国がここ数カ月、欧州議会の経済的・政治的決定に影響を及ぼすため、議員の側近などを標的として動いていた疑いがあると述べた。
「湾岸国」はカタールだと報じられていることについて、カタール政府の報道官はAFP通信の取材で、「我々は捜査の詳細を知らない。カタールによる不正行為という主張は、重大な偽情報だ」と反論。同国は「国際法や規制に完全に従っている」と述べた。
過去にカタールを擁護
カイリ氏の副議長としての担当には、中東地域も含まれていた。過去には、カタールを擁護する発言もしている。
11月には、同国でサッカー・ワールドカップ(W杯)が開催される中、カタールは雇用主がパスポートを取り上げて労働者を出国できなくする「カファラ」制度を廃止するなど、「労働者の権利の最前線にいる」と発言。「カタールのW杯は、スポーツ外交が1つの国で歴史的変革を成し遂げ、アラブ世界を刺激できることを、実際に証明している」と語っていた。
カイリ氏は一方で、一部の欧州議会議員がカタールを中傷・差別していると非難し、「こういう議員は、カタール側と話をする人、関わる人すべてを汚職で非難するのだ」と述べていた。
カタールは以前、今回のW杯の開催招致などでも不正の疑いをかけられた。同国はこの疑惑を否定しており、FIFAからも不正の事実はなかったとされている。







