欧州はアメリカなしでは大変なことに、単独ではロシアに対抗できず=フィンランド首相

Finnish Prime Minister Sanna Marin speaking at the Lowey Institute in Sydney, Australia on Friday

画像提供, EPA-EFE/REX/Shutterstock

フィンランドのサンナ・マリン首相は2日、欧州はアメリカなしではロシアのウクライナ侵攻に立ち向かうだけの力がないと発言し、欧州の防衛力強化の必要性を強調した。フィンランドはウクライナでの戦争を受けて今年5月、長年の中立方針を転換し、北大西洋条約機構(NATO)加盟申請を決定している。

オーストラリア訪問中のマリン首相は、「容赦なく正直に申し上げる必要がある。今の欧州は力が足りない」、「アメリカなしでは大変なことになっていた」と発言した。

シンクタンクのロウイー研究所で講演したマリン首相は、「アメリカはウクライナにたくさんの武器と資金支援と人道支援を提供してきた。欧州にはまだ力が足りない」と述べた。さらに、欧州の防衛力について、確実に能力を増強し「欧州の防衛産業を強化し、さまざまな状況に対応できるようにしなくてはならない」と強調した。

マリン首相は加えて、一部の欧州諸国が近年、ロシアとの関係を強化しようとしてきたと批判。「欧州は長いこと対ロ戦略を築いていた(中略)ロシアからエネルギーを買って、経済関係を緊密にすれば、戦争が防げると思っていた」ものの、この考えは「まったく間違っていたと証明されてしまった」と述べた。

<関連記事>

Presentational white space

マリン首相はこれについて、欧州諸国はポーランドやバルト諸国の警告に耳を傾けるべきだったと指摘。ロシアに近い各国は、ロシアがウクライナ侵攻となると「経済関係など気にしていない、制裁など気にしていない、そういう諸々は一切気にしていない」のだと、かねて警告していたと、マリン氏は強調した。

さらに、欧州諸国の軍備がウクライナ支援によって縮小する中、マリン首相は欧州各国が手元の軍備を強化する必要があると強調した。

ウクライナ支援の規模

Ukraine aid
Presentational white space

ロシアが2月24日にウクライナ侵攻を開始して以来、アメリカはロシアと戦うウクライナに最大の軍事支援を提供してきた。英下院が11月に発表した調査報告によると、アメリカの支援総額は186億ドル(約2兆5000億円)に上る。

ドイツのシンクタンク「キール世界経済研究所」によると、アメリカに続いて支援額の多いのは欧州連合(EU)、イギリスと続くものの、アメリカの額は圧倒的に多い。

EUやNATOの加盟国の多くは、ウクライナでの戦争が始まって以来、自国の防衛予算拡大を公約している。

ドイツは2月に従来の外交政策を一変させ、防衛予算に1130億ドル追加するほか、NATO目標である国防費の国内総生産(GDP)比2%以上への引き上げを確約し、ウクライナに武器を直接供与する方針も示した。

イギリスでは6月、当時のボリス・ジョンソン政権が2020年代の終わりまでに国防費を国内総生産(GDP)比2.5%まで拡大する方針を示した。

2020年の試算では、アメリカの国防費はGDP比3.7%超、NATOの欧州加盟国とカナダの平均は同1.77%だったという。

NATOは、全加盟国の国防費支出をGDP比2%以上にする目標を掲げている。最近では、ロシアと国境を接するエストニアなどから、それをGDP比3%に増やすよう求める声も出ている。

ロシアと1300キロ以上にわたって国境を接するフィンランドは今年5月、スウェーデンと共に正式にNATO加盟を申請した。NATO加盟30カ国は7月にフィンランドとスウェーデンの加盟議定書に署名。全部30カ国が国内の批准手続きを終えれば、両国はNATO加盟国になる。