スーナク英首相、COP27不参加を発表 野党や環境団体からは批判

画像提供, Getty Images
イギリスの首相官邸は27日、気候変動対策協議のため来月エジプトで開かれる国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議(COP27)に、リシ・スーナク新首相が参加しないと発表した。野党や環境団体からは、スーナク政権が気候変動を重要視していないのではないかと批判している。
首相官邸は、首相には「秋季予算の準備など、国内に差し迫った業務があるため」と欠席理由を説明した。代わりにリズ・トラス前首相のほか、昨年11月に英グラスゴーで開かれたCOP26で議長を務めたアロク・シャーマ氏などが代表団に加わると述べた。
「我々は引き続きネット・ゼロに取り組み、国内外の気候変動対策の活動を主導していく。イギリスは他の多くの国々に先駆け、ネット・ゼロを推進している」と、首相報道官は述べた。
「我々は、COP27のホスト国エジプトと緊密に協力し、すべての国がグラスゴーの気候協定で誓った歴史的な公約を進められるようにする」
イギリスでは、COP27開催期間中の17日に、ジェレミー・ハント財務相が秋季予算を発表することになっている。
<関連記事>

COPは、地球温暖化を食い止めるために各国が集まり合意形成するため、毎年開かれている。COP27は11月6~18日に、エジプトのシャルム・エル・シェイクで開催される予定。
COP27では、排出量削減、気候変動による影響に対する準備、そのための途上故国への技術的支援の確保の3点が主題となる。
国連はこれに先立ち発表した報告書で、世界の平均気温の上昇を1.5度以下に収める「確実な道筋がない」と警告した。世界の多くの科学者は、世界の平均気温の上昇を産業革命前と比べ、1.5度以下に抑えなければ、世界中に深刻な影響が出るとみている。
この報告書ではまた、 昨年のCOP26以降、各国政府が示した炭素削減計画は「ひどく不十分」だったと指摘している。
アントニオ・グテーレス国連事務総長は26日、BBCに対し、各国が気候変動を再優先しなければ壊滅的な事態に直面すると述べた。
<関連記事>
- 欧州の約6割で干ばつの危険、過去500年で最悪の状態=EU調査(2022年8月)
- 温暖化は人間が原因=IPCC報告 「人類への赤信号」と国連事務総長(2021年8月)

「次世代への裏切り」と批判
最大野党・労働党は、スーナク氏のCOP欠席表明は「気候対策のリーダーシップにとって大きな裏切り」だと批判した。
エド・ミルバンド影の気候変動担当相はBBCに対し、「各国首脳が一堂に会し、我々が直面する長期的な最大の脅威にどう対処するかについて話し合う場があるのに(中略)首相は姿を見せようともしない」と指摘。
「今の世代と未来の世代を完全に裏切る行為だと思う」と述べた。
野党・自由民主党のエド・デイヴィー党首も、「気候変動への対応で世界をリードしてきたイギリスの誇らしい伝統に背を向けるものだ」と述べた。
緑の党のキャロライン・ルーカス党首は、「政府は気候変動に対するリーダーシップの継続を主張するが、新首相のCOP27欠席は、これをあざ笑うものだ。イギリスのCOP議長国任期をこのような形で終えるとは、実に恥ずかしいことだ」と指摘した。
環境保護団体グリーンピースUKのレベッカ・ニューソム氏は、この動きはスーナク氏が気候変動を「深刻だと十分に」受け止めていない証拠だと述べた。
チャールズ国王も不参加
昨年のCOP26にはボリス・ジョンソン首相(当時)のほか、財務相だったスーナク氏も参加した。
COP27には200以上の政府が参加する。アメリカのジョー・バイデン大統領は出席する予定だが、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は出席しないほか、中国も指導者を送り込むか明らかにしていない。
イギリスでは英王室が9月、チャールズ国王がCOP27に出席しないことを明らかにした。
国王は長年にわたり環境問題に関心を寄せているが、王室はトラス首相(当時)に助言を求め、「「相互の友情と敬意に基づき、国王は出席しないという合意が成立した」と述べた。
これについて、アメリカのジョン・ケリー気候変動特使はBBC番組「ニューズアワー」で、国王が出席することは「世界と」イギリスにとって良いことだと述べた。
「国王はこの領域で60年にわたって信頼とリーダーシップを発揮している」「これは政治やイデオロギーの問題ではなく、科学に基づいた問題だ」
BBCのマット・マグラス環境担当編集委員は、イギリスがCOP26の単なるホスト国ではなく、その限定された成功の立役者だということを考えると、政治の重要人物がCOP27に参加しないのは異例のことだと指摘。エジプト側の主催者はこの事態に激怒しそうだと述べた。
マグラス記者は、イギリスは気候変動対策で世界を主導する国のひとつのはずなだけに、その首脳がCOP27への参加を優先できないのは、COP27にとって好ましい状況ではないと解説している。











