欧州の約6割で干ばつの危険、過去500年で最悪の状態=EU調査

A boat trapped in mud on the dried-out shore of Lac des Brenets - part of the Doubs river, a natural border between France and Switzerland, 17 Aug 22

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画像説明, スイス・ヴォー州ではブルネ湖が干上がり、船が泥にはまって動けなくなった(17日、スイス西部)

欧州で現在、60%以上の地域が渇水による干ばつの危険にさらされている。欧州委員会が23日、8月の観測報告を公表した。欧州のほぼ全ての河川が何らかの形で水位が下がるなど、過去500年で最悪の渇水状況が続いているという。

欧州委員会の欧州干ばつ観測所(EDO)は8月報告で、欧州大陸の47%が干ばつ「警告」対象の状態にあると指摘。これは土壌が乾燥して干上がってしまったことを意味する。さらに17%の地域が「警戒」状態で、植生が「ストレスを受けている」様子が確認できるという。

報告書によると、現在の渇水は農作物の収穫に影響し、山火事の原因となり、欧州南部の一部では今後さらに数カ月続く可能性がある。

過去5年間の平均値と比較すると、今年のトウモロコシ収穫量は16%減、大豆は15%減、ヒマワリは12%減になる見通しという。

この報告を受けて欧州委員会は、「現在の干ばつは引き続き、少なくとも過去500年で最悪の様子」だとコメントした。

欧州委員会のマリヤ・ガブリエル委員(研究担当)は、欧州で続く熱波と水不足によって「欧州連合全体の水量が前例のないほど圧迫されている」として、「例年以上の頻度で山火事が発生し、作物の収穫に深刻な影響が出ている。気候変動は疑いようもなく、その影響は年を追うごとに顕著になっている」と述べた。

報告によると、欧州のほぼ全ての河川が何らかの形で水位が下がり、一部は干上がっている。

Ruins of an ancient bridge

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画像説明, ローマではテヴェレ川の水位が下がり、紀元1世紀の皇帝ネロが建造を命じたとされる橋の遺跡が露出した

船舶への影響に加えて、河川の水位下降は、すでに危機的な状況にあるエネルギー業界に一層の打撃を与えている。報告書によると、水力発電量は20%も減少している。

すでに年初から複数の場所が「深刻な渇水」状態にあったものの、「8月初めの時点でさらに範囲は広がり、悪化している」と報告は指摘。この状況は地中海沿いで少なくとも11月までは続く見通しという。

報告書によると、状況はイタリア、スペイン、ポルトガル、フランス、ドイツ、オランダ、ベルギー、ルクセンブルク、ルーマニア、ハンガリー、セルビア北部、ウクライナ、モルドヴァ、アイルランド、イギリスなどで悪化している。

「飢餓の石」が露出

A partially-submerged ship

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画像説明, セルビア・プラホゾの近くでは、第2次世界大戦中にソ連軍から逃れようとしていたナチス・ドイツの艦船が露出した

欧州各地では渇水により河川や湖が干上がり、それまで水没していた過去の遺物が露出するようになっている。セルビアではドナウ川の水が下がり、第2次世界大戦で沈没したナチス・ドイツの艦艇の残骸が見えるようになった。

スイスやドイツなどを流れるライン川や、ドイツからチェコを流れるエルベ川の川岸では、過去に水位が下がった時の地点を記録する石が次々と露出。「飢餓の石」とも呼ばれる石は、川の水位がこれより下回ると、干ばつによる飢饉(ききん)につながると後世に警告するもの。

Stone with 2018 carved on it.

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画像説明, 以前の低い水位を記した石がライン川であらわになった
ドイツ・ヴォルムスのライン川沿いであらわになった「飢餓の石」

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画像説明, ドイツ・ヴォルムスのライン川沿いであらわになった「飢餓の石」

今月12日に複数の地域で渇水が宣言されたイギリスでは、通常は夏でも青々と茂る芝生が茶色く枯れたほか、多くの樹木が熱波と渇水のため早くも紅葉し落葉し始めている。