ゼレンスキー氏、奪還領土を訪問 南部ではダムが攻撃され住民避難

President Zelensky with Ukrainian troops in Izyum

画像提供, Office of the President of Ukraine

画像説明, ゼレンスキー大統領(中)はウクライナ北東部イジュームを訪れ、兵士たちとの撮影に応じた(14日)

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は14日、ロシアから奪還した北東部の要衝イジュームを訪れ、兵士らをたたえた。首都キーウに戻った後、乗っていた車両が別の車と衝突する事故に遭ったが、大きなけがはなかった。

ゼレンスキー氏はイジュームで、ロシア占領軍に対する反撃に参加した部隊に感謝の言葉を述べた。

国旗掲揚式にも臨み、ウクライナのすべての都市や村にウクライナ国旗が戻ると宣言した。

ウクライナはこのところ、急速な反転攻勢で領土を次々奪還し、ロシア軍を撤退に追い込んでいる。ウクライナ当局は、東部ドンバス地方の多くの町を取り戻したいとしている。

ゼレンスキー氏は13日深夜の演説で、東部ハルキウ州でこれまでに領土8000平方キロメートルを奪還したとし、軍がその保持に努めていると述べた。

ゼレンスキー氏は先週8日、ウクライナ軍が1000平方キロメートルを奪還したと説明。11日には奪還領土が3000平方キロメートルに広がったとし、翌12日には6000平方キロメートルに増えたと述べていた。

BBCは、奪還領土の正確な面積を確認できていない。

A Ukrainian tank advancing

画像提供, Getty Images

画像説明, ウクライナ軍の戦車と兵士。同軍の素早い反攻を受け、ロシア軍は撤退したとみられている

ゼレンスキー氏は、ロシア軍に占領されているウクライナの全領土を奪還すると宣言。いつ実現するかは分からないが「真実は私たちの側にある」と述べた。

ウクライナ軍の情報機関によると、ロシア軍は自軍部隊の逃亡を防ぐため、いわゆる「バリア部隊」をウクライナに配置している。同軍に「パニック」と「戦闘拒否」が広がっていることが、傍受した会話からうかがえるという。

ゼレンスキー氏の乗った車が衝突事故

ウクライナの大統領報道官は14日、大統領専用車と護衛の乗用車が首都キーウで衝突したと発表した。

報道官は「大統領は医師の診察を受けたが、大きなけがは見つからなかった」とした。運転手が現場で手当てを受け、救急車で運ばれたという。

ゼレンスキー氏は、イジュームの訪問を終えてキーウに戻ったところで、事故に遭っったとされる。

ロシアがダムにミサイル攻撃か

ウクライナ当局は14日、南部の都市クリヴィー・リフで、ロシア軍が民間インフラを攻撃したと非難した。ダムに巡航ミサイルが撃ち込まれ、近くの川の水位が上昇したほか、住民の飲料水の供給が脅かされたという。

同市の市長によると、市内2地区の通り22カ所ほどで被害が出ている。当局は、ダムの決壊によって1秒間に100立法メートルの水が流れ出しており、川が危険なレベルまで増水していると説明した。

市中心部などの住民約60万人が、洪水の恐れがあるとして、避難するよう指示されている。

ウクライナは、反撃を受けたロシアが、仕返しとしてダムを攻撃したと主張している。

A hydraulic structure damaged by Russian missile strikes in Kryvyi Rih, southern Ukraine. Photo: 14 September 2022

画像提供, Reuters

画像説明, ウクライナ当局は、ダム(写真)に最大8発のミサイルがロシアによって撃ち込まれたと述べた

ゼレンスキー氏は、「クリヴィー・リフを水浸しにする」ことを狙った「テロ国家」だと、ロシアを批判。

「占領者はパニックを引き起こし、非常事態を作り出し、人々から光や熱、水、食料を奪おうとすることしかできない。それで私たちは屈服するか? とんでもない。向こうは相応の対応と報復を受けるのか? もちろんだ」と述べた。

一方、アメリカのジョー・バイデン大統領は、ウクライナが「目覚ましい」前進を遂げたと発言。ただ、攻勢は「長丁場になる可能性がある」と警告した。

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ロシアは依然として、ウクライナ領土の約5分の1を支配している。侵攻初期に制圧したドンバス地方の町は現在、ウクライナ軍が奪還を目指している。

首都キーウなどの占領に失敗したロシアは、ドンバス地方に重点を置いている。同地方の一部は、ロシアの侵攻前から、ロシアの支援を受けた反政府勢力の支配下にあった。

ドンバス地方を構成する2地域のうちの1つ、自称「ルガンスク人民共和国」のアンドレイ・マロチコ軍司令官は、戦闘が領土の境界まで及んでいると、ロシア国営メディアに話した。

一方、ルハンスク州の知事で避難中のセルヒイ・ハイダイ氏は、ウクライナ軍とロシア軍が「現在リマンで激しく戦っており、あと数日続くとみられる」と、テレグラムに投稿した。

リマンは5月末、長い戦闘の末にロシア軍に陥落した都市。自称「ドネツク人民共和国」の首都ドネツク市から150キロも離れていない。

ハイダイ氏はまた、ウクライナ側がイジュームとクプヤンシクの2つの町を奪還したことで、ロシアが支配するセヴェロドネツク、リシチャンスクの両都市への補給線を断絶できるかもしれないと述べた。

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ロシア政府は、「当初設定されたすべての任務が果たされるまで」作戦を続けると主張している。

しかし、ウクライナの素早い進撃にロシア軍は驚いたと様子で、一部の兵士は軍服を捨てて市民に紛れ込んだとも報じられている。

いくつかの都市や町では、ロシアが制圧した後に移り住んでいたロシア人教員たちが、ロシア軍の撤退で取り残されている。

ウクライナ軍は現在、多数の人を拘束している。イリナ・ヴェレシュチュク副首相は、そうした人たちを訴追するとしている。

東部ハルキウ州では、数カ月にわたるロシアの占領下で拷問や殺害があったと、住民らが証言している

動画説明, 警察署での拷問、住民が証言 解放されたウクライナ東部のいま
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他方、ドイツのオラフ・ショルツ首相は13日、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領と電話で協議。ドイツ政府によると、ショルツ氏は90分間の協議で、「停戦、ロシア軍の完全撤退、ウクライナの領土と主権の尊重に基づいて、できるだけ早く外交的解決策を見いだす」よう、プーチン氏に求めたという。