ウクライナ、ロシアの主張は「作り事」 プーチン氏の盟友の娘の爆死への関与否定

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ウクライナ当局は23日、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領の世界観に大きく影響したとされる国家主義思想家の娘が乗った車が爆発して死亡した事件について、ウクライナの特殊部隊による犯行だとするロシア側の主張は作り事だと一蹴した。
ウクライナの国家安全保障国防会議(NSDC)のオレクシー・ダニロウ書記は、「我々はこのようなやり方はしない」と述べ、ウクライナは爆発とは無関係だとした。
ダニロウ氏は、自分たちにはウクライナの子供たちのためにやるべき大事なことがほかにたくさんあるとした上で、「(爆発)はFSB(ロシア連邦保安庁)がやったことだ。それなのにFSBは、我々の仲間が関与したかのようなことを言っている」と、ダニロウ氏はウクライナのテレビで語った。
ダニロウ氏はさらに、戦争についてロシア国民の支持が低下しているだけに、ロシア政府は国民の支持を駆り立てようと、自国内で複数の攻撃を計画しているのだと主張した。
ウクライナのミハイロ・ポドリャク大統領顧問も、ロシアの「プロパガンダは作り事の世界に生息している」として、自動車爆破事件はロシア特殊部隊の内部闘争の一部だと付け加えた。
思想家アレクサンドル・ドゥーギン氏(60)の娘ダリヤさん(29)は20日夜、首都モスクワ近郊で、運転していた車が爆発して死亡した。ドゥーギン氏は当初、同じ車に同乗する予定だったが、直前に別の車に乗ることにしたとロシア・メディアは報じている。
FSBは22日、この事件を解決したと発表。ウクライナの特殊部隊による犯行だと非難した。この主張はロシア国営テレビで広く報じられ、親ロシア政権の評論家たちはただちに報復するよう求めた。
20日の爆発は、「プーチンの脳」とも呼ばれるドゥーギン氏を対象にした攻撃だった可能性が、指摘されている。ウクライナ領土に「ノヴォロシア」(新ロシア)を築くという同氏の拡張主義的な考えは、プーチン大統領による2014年のウクライナ・クリミア半島の併合に影響を与えたとされる。
ダリヤさんの追悼式は23日、ロシア・モスクワで行われた。
プーチン大統領は「卑劣で残酷な犯罪」だと非難し、ダリヤさんに勇敢勲章を授与した。
ドゥーギン氏は娘について、「人生の旅路についたばかりの希望の星」だったとたたえた。また、娘がロシアの敵によって自分の目の前で残酷に殺されたとし、ウクライナに勝たなくてはならないと力説した。
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旧ソ連からの独立記念日を前に警戒
8月24日は、ウクライナが旧ソ連から独立して31年の記念日であると同時に、ロシアによるウクライナ侵攻が始まってから半年の節目の日でもある。
ウクライナ政府が記念行事の準備を進める中、ロシアでは爆破事件への報復を求める声が相次いでいる。
米国務省は、ロシアがウクライナの民間インフラや政府施設を攻撃するための取り組みを強化していると警告している。
ロシアの攻撃がエスカレートすることを懸念し、キーウ市は公共イベントを禁止した。ハルキウ市は夜間外出禁止令の開始を現地時間午後4時からに前倒した。

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誰の犯行なのか
FSBは、ウクライナ特殊部隊から仕事を請け負ったウクライナ人女性が事件に関与していたと主張。女性は7月に娘と共にロシアに移住し、ミニクーパーでダリヤさんを尾行していたという。FSBは、容疑者の車がロシアに入国した時のものだとされる動画を公開。さらに、容疑者がダリヤさんの自宅とされる建物に入った時と、ロシアを出国した時の様子だという監視カメラ映像も公表した。
ロシア・メディアは、FSBが容疑者だとするこの女性が、ロシア政府がテロ集団とみなすウクライナのアゾフ連隊と結び付けて報じている。アゾフ連隊はこの主張を全面的に否定している。
エストニア政府は、ダリヤさんを殺害したとされる人物が国境を越えてエストニアへ逃亡したというロシア側の主張を、「非常に長い間続いているロシア連邦による一連の挑発行為の1つ」だと一蹴した。
ロシアの独立系メディア「Agentstvo」は、殺人犯だとされる女性と、女性が乗っていたミニクーパーをめぐるFSB側の主張について、複数の疑問点を挙げた。なぜ女性はこのような危険な任務に子供を連れて行ったのかという点のほか、女性の車の映像だとFSBが言う動画は事件の3日前にキーウ州から投稿されていたと指摘した。
ロシアの元下院議員で、ウクライナで亡命生活を送るイリヤ・ポノマレフ氏は、プーチン政権に抵抗する無名の地下組織「国民共和国軍(NRA)」の犯行だと主張した。ポノマレフ氏はNRAはすでにいくつかの行動を起こしていたと発言している。しかし、この組織について、21日以前に誰かが公に言及した形跡は確認されていない。










