ロシア外交官、抗議の辞職 プーチン氏の「無分別な」戦争を理由に

フローラ・ドルリー、BBC

Boris Bondarev's diplomatic passport

画像提供, Boris Bondarev

画像説明, ボリス・ボンダレフ氏の外交官パスポート。同氏はウクライナ侵攻を痛烈に非難する文書を公表した

ロシアの外交官が、「血まみれで、無分別の」戦争に抗議するとして辞職したことが23日、明らかになった。戦争は「プーチンがウクライナに対して吹っかけた」と述べた。

外交官はボリス・ボンダレフ氏。同氏のリンクトインによると、スイス・ジュネーヴの国連機関のロシア代表部に勤務していた。

同氏はBBCに、自らの考えを表明することで、ロシア政府から裏切り者とみなされる可能性があると述べた。

しかし、今回の戦争をウクライナ人とロシア人に対する「犯罪」だとした自らの発言は変えないとした。

ロシア政府はまだコメントしていない。

ロシアは、戦争をめぐる政府の公式説明に批判的な人々や、そこから距離を取る人々を取り締まっている。政府は今回の戦争を「特別軍事作戦」とだけ呼んでいる。

外交官の訴え

ボンダレフ氏は、ソーシャルメディアに文書を投稿し、同僚外交官と共有した。その中で、「この血まみれで、分別がなく、まったく不必要な屈辱をこれ以上共有できない」とし、20年にわたった外交官のキャリアを終えることにしたと説明した。

また、「この戦争を思いついた人たちの望みはただ一つ。永遠に権力の座に居座り続けることだ」とし、「それを達成するためなら、彼らは人命をどれだけ犠牲にしてもいいと思っている」と主張。

「ただそれだけの理由で、すでに何千人ものロシア人とウクライナ人が死んでいる」とした。

さらに、ロシア外務省は外交よりも「うそと憎悪」に関心があると、率直に非難した。

動画説明, ウクライナ侵攻に「もう関わりたくない」 辞職したロシア外交官、BBCに語る

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同僚の「改心」には懐疑的

ボンダレフ氏はBBCに、辞職する「以外の選択肢はなかった」と述べた。「正直言って、これが大きな変化を生むとは思わない。だが、いずれ築かれるであろう大きな壁の、小さなレンガの1つになるかもしれないと思う。そうなることを願っている」。

ボンダレフ氏は、ロシアが侵攻という「過激な手段を講じた」ことに、同僚たちは当初、「幸福、喜び、陶酔」を感じていたと明らかにした。

「今ではあまり喜んではいない。いくつかの問題、とりわけ経済の問題に直面しているからだ」、「しかし、そうした人たちの多くが悔い改め、考えを変えるようなことはないだろう」。

そして、「それらの人々が過激さを少し弱め、攻撃性をかなり弱めるかもしれない。だが、平和的になることはない」とした。

自らについては、そうした同僚とは対照的に、侵攻が始まった2月24日ほど「自分の国を恥じたことはない」と、ボンダレフ氏は書いた。

「裏切り者」になる覚悟

ボンダレフ氏が、勤務していた代表部を辞める初の外交官なのかは不明。ただ、これまで辞職を公表した職員は他にいない。

ボンダレフ氏は、ロシア政府が自らを裏切り者と見なすことを覚悟しているという。だが、「違法なことは何もしていない」とする。

「私はただ辞職し、自分の考えを述べた」、「しかし、身の安全はもちろん心配しなくてはならないだろう」。

<分析> スティーヴ・ローゼンバーグ・ロシア編集長

辞表にしては痛烈だった。

外交官のボリス・ボンダレフ氏は、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領、セルゲイ・ラブロフ外相、ロシアによるウクライナ攻勢を、思いのままに批判した。

「侵略戦争」、「最も深刻な犯罪」、「戦争屋、うそ、憎悪」……。

ロシア当局者からこうした言葉を聞くのはまれだ。プーチン氏がウクライナで「特別軍事作戦」(世界の大半はロシアの戦争と呼んでいる)を開始してから3カ月、ロシアの国家機関では、反対意見を表明する動きはほとんどない。

ロシア当局にとって、恥ずべきことなのか? もちろんだ。当局は、ウクライナ侵攻というプーチン氏の決定を、国家機構が全面的に支持していると示したいと思っている。

しかし、1人が辞任したからと言って、他の人が自動的に続くわけではない。ボンダレフ氏は私に、自分は少数派だと認めた。差し当たっては、ロシア外務省の職員のほとんどは政府の公式見解と「特別作戦」を支持するだろうと、彼は考えている。