トランプ氏親子に証言を命令、事業めぐる民事調査で 米裁判所

Donald Trump with his son, Donald Trump Jr, and daughter Ivanka

画像提供, Getty Images

画像説明, ドナルド・トランプ前大統領(中央)と息子のドナルド・トランプ・ジュニア氏、娘のイヴァンカ・トランプ氏

米ニューヨーク州の最高裁判所は17日、ドナルド・トランプ前大統領と息子のドナルド・トランプ・ジュニア氏、娘のイヴァンカ・トランプ氏の3人に対し、事業をめぐる民事調査で証言するよう命じた。

同州のレティシア・ジェイムズ州司法長官はかねて、トランプ一族が経営する「トランプ・オーガナイゼーション」が「資産評価で詐欺や誤情報」を通じて、税制優遇措置や融資を獲得した疑惑を捜査している。

今回の判断を受け、トランプ氏らは、21日以内に宣誓証言を行う必要がある。

トランプ氏は疑惑を否定しており、今回の判断についても不服を申し立てるとみられている。また、黙秘権を行使する可能性もある。

トランプ・オーガナイゼーションはBBCの取材に対し、「司法制度全体が腐敗している」と声明を発表した。

<関連記事>

ジェイムズ長官は2019年3月、トランプ氏が自らの資産を、銀行に融資を求める際には過大評価し、納税をめぐっては過小申告したとの疑いについて、民事事件として調べを開始した。一連の詐欺行為は、トランプ氏が大統領になる前に行われたとみられている。

トランプ・オーガナイゼーションをめぐっては、この民事事件とは別に、マンハッタン地区検事による刑事捜査も行われている。

トランプ氏はこの捜査が政治的な動機によるもので、民主党のジェイムズ氏による「魔女狩り」だと批判している。

トランプ氏の弁護団はかつて、トランプ氏や子供らが捜査で聴取を受けないよう、ジェイムズ長官を起訴しようとしたこともある。

裁判所の判断

審理の中でトランプ氏の弁護団は、もしトランプ氏が民事事件で証言すれば、免責特権が与えられない限りは、大陪審での証言を求めることを検察に禁じた法律を、ニューヨーク州当局が不当に回避することになると主張。

「(ジェイムズ長官)が依頼人(のトランプ氏)の宣誓供述が欲しいなら、彼は免責特権を得る権利がある」とした。

しかしニューヨーク州最高裁のアーサー・エンゴロン判事は17日、トランプ氏とトランプ・ジュニア氏、イヴァンカ氏の3人は、昨年12月に検察が出した法的命令に従う必要があると判断した。

また、ジェイムズ長官の調査では「詐欺の可能性を示す大量の証拠」が発見されており、トランプ・オーガナイゼーションの事業に関わった3人に宣誓下での供述を求める「明確な権利」があると述べた。

ジェイムズ長官は、最高裁判事の判断は勝利であり、「正義が達成された」と述べた。

line

<解説>アンソニー・ザーカー北米記者

ドナルド・トランプ氏が本当に宣誓したうえで、事業についての質問に答えるのかどうかは、見通しがつかない。

トランプ氏側は確実に不服を申し立てるだろう。それが失敗すれば、トランプ氏は黙秘するに違いない。2020年に息子のエリック・トランプ氏は、似たような状況でこの方法を取った。

前大統領の弁護士らも、すでにこのやり方を勧めている。口頭でのしくじりや矛盾する主張を見つけようとしているニューヨーク州検察を相手に、依頼人を何時間も座らせようというのは、弁護側の司法戦略として良いものではない。

袋小路に追い詰められたという状況には程遠いものの、それでもトランプ氏にとっては厳しい1日となった。

この民事事件、そしてマンハッタン地区検事による刑事捜査は、すぐには終わらないだろう。

さらに、判事の書面での命令に「詐欺の可能性を示す大量の証拠」という文言があるのもいただけない。特に、類を見ないビジネス洞察力を鼻にかけている人物にとっては。

line