英与党の議員、「ムスリムぶり」理由に閣外ポスト解任されたと 幹事長は否定

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英与党・保守党の元閣外相が、同ポストから解任されたのは自分の「ムスリム(イスラム教徒)ぶり」が理由だったと発言した。23日付の英日曜紙サンデー・タイムズが伝えた。元閣外相に解任理由を伝えた当事者とされる院内幹事長は、これを否定している。ボリス・ジョンソン首相は24日、事実関係を調査するよう内閣府に指示した。
保守党のナスラト・ガニ下院議員は2018年に運輸省の閣外相となり、女性ムスリム系の閣外相として初めて下院で答弁した。2020年2月の内閣改造で、政府ポストを失った。
これについてガニ氏はサンデー・タイムズに、当時、解任理由の説明を求めたところ、自分の「ムスリムぶりが問題として指摘された」と話した。ガニ氏によると院内幹事から、自分の「ムスリム女性としての立場のため(中略)他の同僚が居心地悪くなっている」と伝えられたという。
保守党のマーク・スペンサー院内幹事長は同日、ツイッターで、ガニ議員が言及している院内幹事は自分のことだが、ガニ氏の発言内容は「まったく事実と異なり、中傷にあたると考えている」と書いた。
首相官邸は24日、「議員がこの問題を最初に指摘した当時、首相は議員に、保守党選挙対策本部に正式に苦情を申し立てるよう助言したが、議員はそうしなかった。首相は今回あらためて、何があったのか事実関係を確認するよう担当者たちに要請した。首相は当時も今も、議員の発言を深刻に受け止めている」とコメントした。
ガニ議員は調査開始の知らせを受けて、「昨晩も首相にお話ししたように、私はただこの件を真剣に受け止めてもらい、首相に調査をしてもらいたい。そうすることにした首相の判断を歓迎する。調査対象には、首相官邸でのやりとりと幹事長の発言がすべて含まれなくてはならない」と述べた。
首相はすでに議員と面談
サンデー・タイムズ記事を受けて首相官邸は23日、ジョンソン首相がガニ議員の懸念を話し合うため、すでに議員と面談したと明らかにしていた。首相報道官によると、ジョンソン首相はその後、「事態を深く憂慮しており、正式な不服申し立て手続きを開始するよう議員に促した。しかし、議員はそうしなかった」という。
官邸はその上で、「保守党は、いかなる偏見や差別も一切容認しない」とコメントしていた。
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官邸の23日のコメントに対してガニ議員は、首相から保守党内の不服申し立て手続きを使うよう手紙で助言されたものの、「政府の公務に関連して起きたことについて、(党内手続きを使うのは)明らかに不適切だ」と判断したため、手続きをとらなかったと説明。「(ジョンソン氏率いる)政府がこれを真剣に受け止め、適切に調査し、他の同僚が同じような目に合わないようにしてもらいたいと、私はそれだけを願ってきた」と述べていた。
サンデー・タイムズ記事でガニ議員は、院内幹事に言われたことを問題にし続ければ「自分は仲間外れにされ、キャリアも評判も台無しにされてしまう」と感じたため、当時はそれ以上追及しなかったと話した。
「党内の正式なチャンネルを通じて何度か申し出てみた。手続きに従うよう細心の注意を払った。けれども手続きが途切れると、あとは自分の仕事を続けるしか、ほかにどうしようもなかった」
保守党内の反応

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ナディム・ザハウィ教育相はツイッターで、保守党内に「イスラム教嫌悪をはじめとしてどのような人種差別もあってはならない」と書き、ガニ議員の主張は「適切に調査し、人種差別を党内から追い出さなくてはならない」と述べた。
教育相はさらにBBC番組「ブレックファスト」で24日、ガニ議員は「大切な同僚」で、調査の実施は「重要」だと述べた。ガニ議員が発言したことは「とても勇気」のいることだったとたたえた上で、この問題は「速やかに、かつ徹底的に」調べる必要があると話した。
サジド・ジャヴィド保健相も、問題は「適切に調査」する必要があり、「議員の言い分を聞く必要がある」として、ガニ議員が正式に苦情を申し立てるなら支援すると述べた。
保守党の上院議員で保守党議員団の会長をつとめるシェイク男爵は、ガニ議員の発言を深く懸念しているとして、「誰かが本当のことを話していない。私は真相を突き止めたい。第三者による調査を希望する」と述べた。
緊迫する与党
BBCのデイミアン・グラマティカス政治担当編集委員は、ガニ議員が自分の解任についてこうして公に発言したこと自体、保守党内がいかに深刻に緊迫しているかの表れだと指摘する。
ジョンソン政権については、新型コロナウイルスのロックダウン中に官邸で相次ぎパーティーが開かれていたという指摘を契機に、与党内からもさまざまな批判が相次いでいる。
キャリア公務員でレベルアップ・住宅・コミュニティー省のスー・グレイ第二事務次官は近く、ロックダウン中に政府庁舎で開かれたパーティーについて調査を終わらせる見通し。グレイ氏は、首相官邸に隣接する首相公邸で行われた集まりも、調査の対象にしているとされている。
ラーブ副首相は、グレイ氏の調査報告の要旨を公表する方針を示しているが、全文を公表するかは態度を明らかにしていない。
これまでに閣僚経験者を含め一部の保守党議員が、ロックダウン中の官邸パーティーをめぐり首相に辞任を迫っている。さらに、首相辞任を求める与党議員を、官邸が「脅迫」しているという発言もあった。
保守党のウィリアム・ラグ議員は20日、首相不信任の手続きを求める議員が政府側から脅迫を受けていると公言。悪いうわさを流す、選挙区への補助金を削減するなどと言われたという。ラグ議員は、威圧されたと感じている議員は警察に連絡するよう呼びかけた。これについて官邸は、そのような脅迫行為の証拠はないと反論した。
19日には、クリスチャン・ウェイクフォード議員が保守党から労働党にくら替えすると発表。その後、自身も保守党時代に脅迫を受けたことがあると述べた。









