ジョンソン英首相、飲み会がコロナ対策違反だとの「警告はなかった」 元顧問に反発

動画説明, 「ルール違反の警告は受けてなかった」 ジョンソン英首相、官邸での飲み会めぐり

イギリスのボリス・ジョンソン首相が、新型コロナウイルス対策で厳しい制限が課されていた昨年5月に首相官邸の庭で開かれたパーティーに参加したことをめぐり、規則違反の恐れがあると警告されていたとの指摘が出ている。ジョンソン氏は18日、これを「断固として」否定すると述べた。

問題のパーティーが開かれた当時、ジョンソン首相の上級顧問だったドミニク・カミングス氏は、この件についてジョンソン首相に警告していたと自身のブログで発言。ジョンソン首相は議会の説明で、そのことについて議員らをだましたと批判した。

ジョンソン首相は18日、訪問先の病院で、カミングス氏の主張について記者から質問され、「パーティーがルールに反していると誰にも警告されていない。されていたら覚えているはずだ」と反論した。

一方、もし議会を欺いていることが発覚したら辞任するかとの質問には、「調査報告を待ってほしい」と述べた。

イギリスではこのところ、パンデミック対策で屋内での集まりが制限されていた時期に、首相官邸を含む政府機関で複数の「飲み会」やクリスマスパーティーが開かれていたことが相次いで発覚。ジョンソン政権は問題の対応に追われている。

野党がジョンソン首相の辞任を求めているほか、与党・保守党内からも、首相不信任案を提出する議員が出てきている。

内閣は現在、レベルアップ・住宅・コミュニティー省のスー・グレイ第二事務次官に一連の出来事について調査を依頼している。

BBCの取材では、グレイ氏の調査チームはカミングス氏にも連絡を取っていることが分かっている。カミングス氏は、質問には何でも答えるつもりだと述べている。

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カミングス氏が指摘したのは、2020年5月15日に首相官邸の庭で行われた飲み会について。この集まりについて最初に報じたITVニュースによると、ジョンソン首相の首席秘書官の名前で100人以上に招待メールが送られていた。

また、BBCが取材した目撃者は、当日は30人ほどが参加し、ジョンソン氏と婚約者のキャリーさんもいたと話した。ジョンソン氏は12日の議会の首相質疑で、25分ほど出席していたことを認めたが、「職務上のイベントだと、暗に信じていた」と述べた。

カミングス氏はブログで、ジョンソン首相に当時、このパーティーがパンデミック対策を破っていると警告したものの、一蹴されたと説明。

また、招待メールを送ったマーティン・レノルズ氏がジョンソン首相に確認を取らなかったという主張は「信用できない」と指摘した。

BBCが取材した元首相官邸職員2人は、カミングス氏が首相に対して飲み会の開催を認めないよう助言したと、飲み会の当日に語っていたのを覚えていると話した。

ジョンソン氏は18日の取材で、「断言できるが、このことがルールに違反している、新型ウイルス対策を破っているとは、誰からも言われていない」と反論した。

「過ち」について繰り返し謝罪

ジョンソン首相は取材中、12日の議会での首相質疑で行った、2020年5月20日のパーティーをめぐる「過ち」についての謝罪を繰り返した。

「下院で申し上げたように、私は庭に出た際、仕事上のイベントに出ているのだと思っていた」

また、レノルズ氏からの招待メールは見ていないと話した。レノルズ氏のメールには、「首相官邸の庭で社会的距離を保った飲み会」が行われると書かれていた。

「私はついこの間、そのメールを見た。報道されて初めて確認した」と首相は説明。

「私が覚えているのは、短い間だけ庭に出て、25分間、コロナ対策で忙しい職員たちをねぎらい、オフィスに戻ったことだけだ」と話した。

「もしあの時に戻るなら、同じことはさせていないだろう」

議会でのパーティーに関する説明でうそをついたのかという質問には、「それはない。パンデミック中に私の犯した誤判断、首相官邸やその他の場所で起きた過ちについて、皆さんへの謝罪を繰り返させてほしい」と答えた。

この日の取材では、昨年4月の故フィリップ殿下の葬儀前夜にも官邸で職員のパーティーが2つ開かれ、妻のエリザベス英女王に今月14日に公に謝罪した件についても問われた。

ジョンソン首相は、「女王陛下と国民に対しては、間違った判断について謝罪を繰り返すしかできない。全ての責任は私にある」と述べた。

与党議員が不信任案、閣僚は擁護

与党・保守党からは、これまでに6人の下院議員が、同党の党首選を実施する権限をもつ「1922年委員会」のサー・グレアム・ブレイディー委員長に、首相不信任の書簡を送ったと公表した。BBCの取材では、7人目の議員も書簡を送った。

BBCのローラ・クンスバーグ政治編集長は、2019年12月の総選挙で初当選した保守党議員20人ほどが集まり、首相不信任の書簡を送るかを協議していると報じた。ただし、この中の何人が実際に書簡を送るかはまだ分からないという。

任期満了以外の理由で1922年委員会が保守党党首選を実施するには、下院議員54人の書簡による要請が必要となる。

一方で、閣僚はジョンソン首相の擁護に回っている。

ある閣僚は、「道のりは険しいが、乗り越えるだろう」と述べ、ジョンソン首相に危機は迫っていないとの見解を示した。

リシ・スーナク財務相は、「もちろん」ジョンソン首相の発言内容を信じると発言。ドミニク・ラーブ副首相兼法相は、議会でうそをついていたら首相は辞任することになるが、ジョンソン氏が「これから先何年も」内閣を率いていくと信じていると話した。

野党の反応は

ジョンソン首相の発言について、最大野党・労働党のアンジェラ・レイナー副党首は、「ボリス・ジョンソンはここが道の終わりだと明らかに分かっている」と述べた。

「彼は首相で、ルールを作った人物だ。自分が参加したパーティーがそのルールを破ったことを、誰に指摘されるまでもない」

「イギリス国民を尊重しているなら、誠実に辞任するべきだ」

野党・自由民主党のサー・エド・デイヴィー党首は、ジョンソン氏は「空っぽの言い訳」と「明らかなうそ」で「自ら事態を悪化させている」と指摘した。

スコットランド国民党のカーステン・オズワルド議員は、首相官邸の庭での出来事について「首相が正直になっていないのは明らかだ」と話した。